『本の雑誌』 3月号
そして、トリを飾ったのは小酒井不木との往復書簡集『子不語の夢』(乱歩蔵びらき委員会発行/皓星社発売)である。
小酒井家の屋根裏で発見された乱歩の手紙は、成田山の書道博物館で見る機会があったが、乱歩邸に製本保存されていた不木からの手紙と併せて、ふたりの往復書簡がここに浜田雄介氏らの努力によって翻刻されたのである。この往復書簡は、乱歩の習作発表からプロ作家へと転出する間の機微を克明に炙りだし、同時に、その間、ふたりの関係に微妙な変化が生ずる様をも、赤裸々に暴きだしている。まさに第一級の資料と言えよう。
『年報』 第二十五冊 蟹江町歴史民俗資料館 3月26日発行
○文化財研修会
平成十六年一月二十四日〜二月二十二日開催の「小酒井不木の世界」期間中に関連事業として行った。
期日 平成十六年二月二十二日
場所 蟹江町中央公民館分館 三階会議室
テーマ 「インターネットで読む小酒井不木」
講師 小酒井不木研究家・HP「奈落の井戸」主宰 阿部崇氏
参加者 八十四名
『年報』 第二十五冊 蟹江町歴史民俗資料館 3月26日発行
『第二回「小酒井不木賞」俳句コンテスト 俳句抄 折々草句集』 小酒井不木俳句コンテスト実行委員会 6月19日発行
『オール読物』 60巻7号 文藝春秋 7月1日発行
(前略)
『子不語の夢』は、書簡集として構成するよりも、むしろめちゃめちゃ面白い脚注を前面に出して、手紙は引用的な従属物にした方が、より評論として完成したのではないかという論議になりました(もっとも、編者の皆さんが一歩下がったのは、大乱歩と小酒井不木への敬愛ゆえで、とてもよくわかるのですが)。
『オール読物』 60巻7号 文藝春秋 7月1日発行
(前略)
『子不語の夢』については、書簡が主体となっているが、実は脚注の方が数倍面白い、という論議が交わされた。同感である。
『オール読物』 60巻7号 文藝春秋 7月1日発行
(前略)
『子不語の夢』は注釈が非常に面白かった。注釈でこんなに愉しんだのは生まれて初めてである。この部分だけで一冊の本になっていたら受賞したと思う。他の選考委員から、誰に賞を渡すのか分からない作品という意見が出て、受賞は見送られた。
『国語国文研究』 第128号 北海道大学国語国文学会 8月発行
平凡社の六月四日の広告では「各巻何れも世界的名篇!! 訳者は斯界の権威揃ひ!!」と大きく宣伝されている。確かに広告の訳者名を見ると、乱歩、横溝正史、小酒井不木など探偵小説を牽引的に引っ張っていた名前を見付けることが出来る。だが先に見た乱歩や中島の述懐によると、平凡社の翻訳は著名人の名前を貸しただけで、実際は下請けの代訳者を起用していたということになる。では実状はどうだったのであろうか。(中略)
平凡社版全集の訳者として名前を挙げられている一五人のうち、博文館と重なっている人物は江戸川乱歩、延原謙、横溝正史、小酒井不木、田中早苗、平林初之輔の六人であるが、これらの全てが『新青年』上において探偵小説の指導的立場にいた人物である。またこの六人の内、二つの全集で作家と訳者が共通するものはコナン・ドイルの延原謙、ドゥーゼの小酒井不木、ヴァン・ダインの平林初之輔であるが、この三人はいずれも『新青年』で作品を積極的に翻訳していた人物である。(中略)
こうして見てゆくと、平凡社が喧伝する「斯界の権威」の訳者とはいずれも、実は『新青年』と深い繋がりを持っていることがわかる。つまり平凡社の言う「権威」とは博文館の『新青年』に拠るところが大きいのである。
『岡山大学大学院文化科学研究科紀要』 第20号 岡山大学 11月発行
論文の事に関しては第一回の様に論文を行列させると人が飽きますから、巧みに処々へ織り込めば幾つあつても差支ないと思ひます。殊に「狂人の暗黒時代」とか「胎児の夢」及「脳髄論」などはどうしても削つては駄目です。会話で平たく書くよりも寧ろ説明にして学理的な所を見せた方が可いのです。小酒井博士の恋愛曲線などでも兎の心臓をリンゲル氏液に入れて働かせると働くと云ふ事は夙に私は鍼医から聞いて居りましたが博士が勿体振つて書くと新発明かなんぞの様に世間では驚いて居ります。あれなどから比べると此三論文の方は私には耳新しく面白いのです(。)
『時代小説盛衰史』 大村彦次郎 筑摩書房 11月10日発行
この会の発足は最初、仕事の息抜きに世間話にでも興じようか、という趣旨だったが、第一回の会合日が大正十四年七月二十一日だったことから、「二十一日会」と命名された。だが、一同血気盛んであった。無駄話にもすぐ厭きが来て、折柄の大衆文芸勃興の機運に乗じ、このさい自分たちの同人雑誌を出したらどうか、ということで、衆議一決した。雑誌名は『大衆文藝』。同人には当初のメンバーに加えて、あと数人を勧誘することにした。大阪在住の江戸川乱歩、土師清二、名古屋の小酒井不木、国枝史郎の四人に案内状が出された。
『維納の殺人容疑者』 佐藤春夫 講談社文芸文庫 12月10日発行
江戸川乱歩が作家として独立するにあたって、小酒井不木に「心理試験」(『新青年』一九二五年二月号)を読んでもらって、判断を仰いだというのはよく知られている。