予告編
新西暦――。
未知なる異星人との遭遇を発端に、バルマー戦役を初めとする数々の戦闘が跋扈し、人類が史上かつて無いほどの戦乱に見舞われることになった暦であり、一時のものとはいえ同時に人類が平和という名の平穏な瞬間を手にした暦でもあった。
新西暦最後の年にソール11遊星主達の手によって引き起こされた全宇宙規模の収縮現象は、プリベンターが中心となって再結成された伝説のスーパーロボット部隊『αナンバーズ』による決死の行動と多大な犠牲によって食い止められたが、宇宙収縮により全土に深刻な影響を被った地球圏は文明の衰退を余儀なくされることになる。
宇宙収縮現象の翌年を人類は復興の名の下に新暦『C.E.』とし、地球圏は新たな時代を迎えることになったのである。
C.E.――新時代の到来。
それは同時に地球人類にとって冬の時代の到来を意味していた。
宇宙収縮現象という未曾有の大災害は、機械的に記憶されていたありとあらゆるメディア・データの消滅という、最悪の置土産を残していったのだ。
歴史、技術、経験……己達が培ってきた必要不可欠なデータの消失は、全人類を震撼させる。
磁場障害の影響?
何者かの破壊工作?
それとも収縮現象による空間範囲の二次的災害――?
直接の原因がなんであれ、人類の歩むべき道は、高い壁の内側……闇が覆い尽くす通路を手探りで進む以外無く、一時代前の生活水準まで引き下げられた地球文明が、生活環境において前時代と同程度の技術的水準を取り戻すには数十年の歳月が必要だった。
そんな文明の衰退は人類に結束を促し、人々は争う間もなく文明復興に全ての力を注ぎ込むことになったのは皮肉なことだったが、実にその数十年もの間、復興に追われる地球人類は多忙ながらも、束の間の平穏を得たのである。
文明復興が最盛期を迎えていた40年代。
エネルギー問題が持ち上がっていた地球にとって、地球圏から火星圏までの豊富な宇宙資源の確保……宇宙再開発は目下の最優先事項となっていた。
過酷な宇宙環境の中、開拓者の中心的役割を担ったのは、宇宙収縮の被害を免れた各ラグランジュポイント・コロニーの「スペースノイド」達と、受精卵の段階から遺伝子をコーディネイトされ、旧人類「ナチュラル」より高い能力を持つ故に地上で迫害を受け安住の地を宇宙へ移した「コーディネイター」達だった。
スペースノイドとコーディネイター……宇宙に住まう者達の手によってもたらされる豊富な宇宙資源と無重力を生かした工業生産物は、大西洋連合やユーラシア連邦等、一部の地球に置けるオーナー国が独占し、彼らは宇宙に住む者達に武器の所有と生産を禁じる事で、自らの支配を堅実なものとしていた。
謂れのない支配と搾取。
スペースノイドやコーディネイター達は、当然それに反発し、一国としての独立及び対等の関係を地球側に求めたが、その求めが報われることは無かった。
C.E.69年1月。
地球、そして宇宙……両者の高まっていた緊張は、やがて目に見える形となって現れた。
「紫紺の月」を総帥とする新生ネオジオン軍が、宇宙に住まう者達の開放を掲げ、地球に対し宣戦布告を行なったのである。
スペースノイドとコーディネイターによって構成された組織の結束は強かったが、規模自体は一国の軍隊にも及ばないような小さなものだったため、地球の重鎮達はそろって冷笑した。
だが、当初事態を軽視していた各国の首脳陣の考えは、開戦初戦で呆気なく覆る結果となる。
規模自体は地球側の何十分の一でしかなかったネオジオンだったが、軍を構成するのはコーディネイターやニュータイプ、強化人間といった常人よりもより高い能力を持った者が多く、更に前世紀の失われた技術・人型機動兵器MSを有するネオジオン軍の戦力は、小型MAや艦艇しかもたない平和に慣れきった各国の軍隊を完全に圧倒した。
事態を重く見た各国は対ネオジオン包囲網の一環として、各国の戦時同盟を強化し『地球連合軍』を設立。
同時期に、『東方統合政府』(旧日本を中心とする東アジア企業連合国家)は前世紀の複数の大企業を母体とする『KURATA財閥』に、秘匿されていた技術の提供とそれに伴う人型機動兵器の開発を依頼。『大西洋連合政府』もまた、マサチューセッツ州アーカムを拠点とする『覇道財閥』に、同様の依頼を行なった。
水面下で進む人型機動兵器全軍配備の風潮。
しかし、国際的な秘密結社『ブラックロッジ』によるテロや破壊工作が幾度と無く覇道を脅かしその結果、覇道の技術躍進は停滞の兆しを見せ始めてしまう。
魔人「マスターテリオン」率いる凶悪な魔術集団ブラックロッジは、ネオジオンの資金源の一つともされ、二つの組織は相互関係があるとの未確認情報まであった。
同年6月、第二回地球連合大会議の席上。
業を煮やした各国は苦肉の策として、地球に敵対する全てに対し隊の判断で動き、力を振るう特殊戦闘部隊の設立を全会一致で承認する。
『αナンバーズ』
東方統合政府軍中将「水瀬秋子」を総司令官とするこの部隊は、地球の総意を背景に前世紀最強の部隊名を頂き、ここに新生したのである。
部隊を構成する隊員達は様々だった。
その身に宿る魔と究極の魔導書を相棒に、邪悪を憎み、己が手にした無垢なる刃を振るう者。
ただ肉親のためだけに、己を捨て、掴んだ魔の書を懸命にたぐり寄せる者。
拾った命を、ただ成り行きに任せるまま、己が命を拾い上げた者のために再び投げ出す者。
自身が背負うものではなく、ただ信じる道のために、慕う者との再会のために、己が技を行使し、運命に立ち向かう者達。
永遠を求め、永遠を得、そして……幼き頃届かなかった己の半身を追いながら永遠と戦う者。
長き刻の果て、めぐり逢った暗き闇の翼を持つ少女と共に、宇宙を駆ける者。
部隊ではあったが、完全な軍隊と呼ぶには余りにもイレギュラーな者達。
軍人、民間人であることは問われず、彼らはただ平和を望み、勝ち取るために戦場へと足を踏み入れた。
立ち塞がる敵。
尊い犠牲。
新たなる仲間……。
新生αナンバーズとネオジオン・ブラックロッジとの戦いは苛烈を極めた。
戦いの末に、マスターテリオンの存在消失と組織自体の瓦解によってブラックロッジは壊滅。
量産化された地球連合軍のMS部隊とEFA実験PT部隊の後押し、更にネオジオン内部で多くの人望を集めていた橘の副官が土壇場でαナンバーズ側へ離反したこと、それに続く橘の戦死により、ネオジオンは事実上空中分解。
C.E.69年12月15日、後に『橘の反乱』と呼ばれたこの戦いは数多くの犠牲を払いここに終結し、ネオジオン打倒を最終目標に結束していたαナンバーズもまた解体され、隊員達はそれぞれの生活へと戻っていった。
しかし。
ネオジオンの決起は永きに渡る戦争の、ほんの序章に過ぎなかったのである。
この反乱は、地球圏を蝕む対立の構図を明確に浮き彫りにした。
ナチュラル、そしてコーディネイター。
力を持たざる者と、力を持つ者……人の心は脆く、長い年月をかけて築いたものであっても、ふとしたきっかけで簡単に崩壊する。
不安、疑念、恐怖。
肥大化した猜疑心は、ついに最悪の事態を招いてしまう。
C.E.70年2月14日
コーディネイター達の本拠地、ラグランジュ5コロニー群『プラント』の一つ農業系コロニー『ユニウスセブン』が、地球連合軍強行派の手による核ミサイルの攻撃を受け消滅。
『血のバレンタインの悲劇』と呼ばれたこの事件によって、地球、プラント間の緊張は頂点に達し、一気に本格的武力衝突へと発展した。
誰もが疑わなかった、数で勝る地球軍の勝利。
だが、当初の予想は大きく裏切られ、戦局は疲弊したまま、すでに十一ヶ月余りが過ぎようとしていた……。
平和な街。
学舎で勉強し、友と馬鹿やって笑い合う。
ずっと、このままでいられる。
これからもずっと続いていく……相沢祐一の持っていた思いは、ある日突然、突きつけられた現実によって崩れ去った。
祐一「……おれ達、何でこんなことになってるんだ?」
名雪「……」
後ろにいるはずの名雪はその問いに答えない。
答えられる状況に無い、といった方が正しいだろうか。
モニター正面にある巨大な物体は、今にもその腕の刃を自分達に振り下ろしそうだ。
そう思った祐一は、いとこの少女に答えを求めることを諦め、とりあえず目の前の非現実に向き合うことにした――。
突如襲来した外宇宙からの敵、金属生命体『ゼラバイア』によって、戦時の地球は混沌を深める。
謎の大富豪「クライン・サンドマン」は、各国の首脳や財界の大物達を招いたパーティー会場の席で、対ゼラバイア用に開発した戦闘ロボットのお披露目を行なう。
果たして彼は、人類にとっての敵か? 味方か?
サンドマン「グランナイツの諸君、合神せよ!!!!!!」
グランナイツの駆る五機の戦闘メカ『グランディーヴァ』が一つに交わる時、超重神『グラヴィオン』は誕生する!!
事態についていけず、ただ翻弄される少年。
混乱する状況を整理する間も無いまま、彼はスピーカーからの声に反応する。
エイジ「!! ……今の声、まさかっ!?」
斗牙 「Gアタッカーコクピット、勝手な行動は慎め」
エイジ「うるせぇっ!! アレには……俺のダチが乗ってるンだっ!!!!!!」
リィル「……」
代わり映えのない日常。
それを当たり前のように貪る者、そしてそんな日常がどれだけ大切なものかを知る者。
椋 「えーと、相沢くん……と、水瀬さんは今日も欠席ですね。美坂さん、何か聞いていますか?」
香里「知らないわ」
潤 「今日で四日目か……なあ美坂。そろそろ二人こと、秋子さんに聞いといた方がいいんじゃないか?」
香里「相沢君達に変わったことがあったら、倉田君あたりが何か言ってくると思うんだけど……そうね。今日の放課後あたり、連絡してみるわ」
だが、彼らはまだ知らない。
同じ場所にあった存在が、すでに遠いところまで追いやられたことを……。
コーディネイターの少年との突然の邂逅。
力を持つ少年同士……二つの運命が今、交錯する。
祐一 「なんだ? おまえもか」
キラ 「いきなり何をするんですかっ!?」
祐一 「何って、決まってるだろ? 初対面の見知らぬ他人同士が打ち解けるのに必要な、友好的コミュニケーションてヤツだ」
この出会いが、それぞれにもたらすものとは――。
EFAの特殊精鋭部隊『戦術の鍵』。
封印されていた前世紀のテクノロジーの粋を結集して創られたMSを駆る者達。
往人「敵は少数だが、油断するな」
神奈『誰にものを言っておる。おぬしこそ、増長して足元をすくわれてくれるな?』
美凪「……そろそろいきましょう。痺れを切らしてしまいますから」
往人「同感だ。あいつを待たせると全部いいところを持っていかれるからな。全機、突貫するぞっ!!!」
人形使いの操る漆黒の機神が大宇宙を舞い、戦場を色とりどりの彩に染め上げる!
親友ともいうべき存在。
だが、例え友人であろうと戦場で出会えば互いが敵と化す。
キラ 「………………アスラァンっ!!!!!!!」
アスラン「キラっ!! ……おまえも俺が討つっ!!!!!!!」
友に向かって差し伸べるべき手に剣を握り、目の前の敵に振り下ろす少年の慟哭が戦域に木霊する……。
ただ、他人に寄りかかるだけでよかった。
――これまでは。
だが極限的状況の下、己が頼っていた者に頼られた時、少女は自分の無力な様に恐怖した。
???「名雪、操縦を代われ。私に代わって戦い、この場を乗り切ってみせろ……」
名雪 「え……!?」
???「声が小さかったか? 操縦を代われと言った。Mk―Xで連中と戦え……!」
名雪 「そんな、無理だよ! わたしMSで戦ったことなんてないし、貴女みたいに上手に動かすなんて……絶対できっこない」
???「シミュレーターの経験はあるとヤツから聞いている。何もエース級の活躍をしろと言っているわけじゃない。三十分ほど……シートに座ってレイカーを操作するだけでいい。それ以上は、期待しない」
名雪 「できないよっ! ……そんなの、無理に決まってるよ!!!!」
???「ふふ、そうか……なら仕方がない。二人ともここで、死ぬだけだな?」
名雪 「っ!?」
ザフトの執拗な追撃を振り切ろうとするアークエンジェル。
だが、一つの戦いを終えた直後、姿無き追跡者は大天使にその牙を剥いた。
マリュー「今の攻撃っ!!? 何なの、あれはっ!?」
ナタル 「ザフトの新型か!? 状況を報告しろ! あんな大きなモノ、一体何処から出てきたっ!?」
カズィ 「わ、わかりませんっ!! レーダー上に……いきなり現れました!」
???? 「これが弱き友らの手を煩わせた足付き『大天使』――だが、この私とまみえた以上、ここがお前達の旅の終着点となる」
キラ 「新手? いつの間にっ!?」
祐一 「キラ、ストライクを下げろっ! 補給に戻るんだ! ……ここはおれ達が食い止める!!」
???? 「向かってくるのは『白い奴』か? フッ、相手はたかが一機。最終地獄をみせるまでもない」
祐一 「コイツ……今までのヤツと違う!?」
???? 「冥皇の腕に抱かれながら、刻の海に眠れ――!!!」
迫り来る冥皇の影。
正体不明の敵を前に、アークエンジェルの運命は――!?
新世紀を舞台に、新たなる戦いが幕を開ける……!!!!!!
祐一 「戦わなければ生き残れないなら……戦うしかないだろうがっ!!!!」
スーパーロボット大戦
Generation α
それは、この世界に刻まれた戦いの記憶――。
平成16年9月
第一話 公開予定!