Professor Kapparの
モ ロ ッ コ 紀 行

 スペイン最南端の港町Algeciras。
 浅黒い肌、ギョロギョロとし目をアラビア文化特有の織物で包んだ男性・女性が目立ち始めた。
 そこに着いた2日目、私は、決心した。「よし、やっぱりモロッコに渡ろう」。
 たしかに今回の旅の目的はヨーロッパ、特にスペインを味わうことにあったはずだった。しかし 遠くに微かにその大地の顔を覗かせるアフリカ大陸にご挨拶もせずに帰るのは失礼だ!なんて勝手に 言い訳を作り出した。つまり私はその決定的な「吸引力」にぐんぐんたぐり寄せられたのだ。

 船中で静かに流れ始めたアラビアンミュージックに耳を傾けつつ、一週間ほど前にグラナダで出会 った旅人から譲り受けたモロッコのガイドブックを開く。
    ふむふむ、悪質な犯罪はあまりないが、
    偽ガイドやスリ、ぼったくりにご用心・・・か。

 そして、到着。
 港には予想通り自称「政府公認ガイド」がわんさかいた。中には意味不明の日本語(ダイブツ・スキ デス!、ワタシトアルケバ・タナカラボタモチ・オチテクル!etc)で話し掛けてくるおじさんたち もいた。
 私はとりあえず中心地に出るまでの案内人がほしいと思っていたので、そのガイド群の中から、 アブドゥルという、いささか胡散臭いがとても上手に英語を話すおじさんを選んだ。
 この時ははっきり言って95%は疑ってかかっていたのだが、結果的にはこれがうれしい誤算。 その後の滞在は彼のおかげで実に充実した、最高のものとなった。
 いつを境にか、アブドゥルは道端で会う友人たちに(モロッコの男たちはとにかく外に出ている) 私を「客」ではなく「友だち」だと紹介してくれるようになった。そして、自分の大家族の住む家に まで招待してくれ、ヒツジの脳味噌(!)やアラビアンダンスでもって最高の歓迎をしてくれた。
 私がたった4日間の滞在で、期待以上にいろんな角度のモロッコの顔に出会えたのはひとえに彼の おかげだ。心からShokran(=ありがとう)!
 そして私は再びスペインに戻り、フラメンコのリズムにおなかをドコドコたたかれながら、長かった 旅を、終えた。

 最後に今、こうして母国日本のパソコンの前に座って強く思うことがある。
 確かに世界は思ったよりでっかく、想像以上にあまりにたくさんのものが詰まっている。まったく と言っていいほどの違った考え方がたくさんたくさん存在している。
 しかし、私は思う。もともとは皆、同じなんだ。
 つまりどこにいようが、結局すべてはちゃんと「ある」。土があり水があり、空があり風があり ・・・・、心の中には光も闇も涙の池も、みんなみんな同じようにもっている。
 問題はその既に「ある」ものたちを各々の「自分」がどうとらえるか、選び出すか、ってことなんだ と思う。その結果、「違い」が生まれてくるのだと思う。言うならば、何をどうとらえるかを判断する ためのメジャーがみんな「違う」のだ。
 だから私は、そのメジャーをたくさん持ちたいと思う。そしてこの欲望が、私を旅へと向かわせる のかもしれない。三角定規ではプリンのおいしさをはかれないから。
 うん…、つまりそういうことなんだと思う。


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