「白い射精」

 

隆明が解剖されたのは小学六年生の秋だった。クラスの女の子の胸はふくらみ、発毛を始めた男子が何人おり、そして中学に入るまで半年というという微妙な時期だった。

クラスは4月に3つのグループを決められ、グループ活動はそのグループごとにやっていた。その日はグループの子の家に集まって劇の練習をしていて、ただグループごとにやる劇なのでさほど大きな劇ではなく、その日集まったのも真面目な隆明と女子が6人だけ、あとの男子はさぼりというありさまだった。

劇は浦島太郎をモチーフにしたもので、タヌキをいじめていた子供たちがネバーランドに無理矢理連れていかれるというストーリーだった。

男子が隆明だけなので、隆明が何役もこなしてサボりたちの代役を務めた。午後一時頃、練習はいったん休みになった。出されたコーラを飲んでると、飲み物の支度を終えた素子がその隣に座った。

素子はクラスで一番かわいいと評判の子で、特にえくぼができる笑顔がかわいらしい。それに匂い。隆明には何の匂いかわからないが、こうして隣に座ると清潔そうな中にほのかに若い木のような匂いが混じっている匂いがする。それは思春期に入る前の少女の一部がもつ体臭なのだ。

その日の素子は膝くらいの茶色のスカートをはいていて、座るとちっちゃな膝頭がのぞいた。

「隆明君、いろいろさせちゃってごめんね」

隆明は素子のそういう心遣いが嬉しかった。素子は単にかわいいだけではなく、そういう性格も魅力なのだ。だから素子の人気は抜群なのだ。

「素子ちゃんこそ大変な役だよ。ヒロインだし、台詞も多いし」

「それほどじゃないよ。でも昨日は遅くまで練習してて、お父さんに怒られちゃった」

素子はぺろんと小さな舌をだした。その仕草がたまらなくかわいい。

劇は何度か通しで練習し、最後にきちんと服をきて練習することになった。その最後の練習のあるシーンのときだった。

「いたーい」

ある子が強く別の子を叩いた。叩いた子は得意そうな顔をし、叩かれた子はちょっと悔しそうな顔をしている。劇では誰もが叩かれたりするようなシーンがあるが、誰かを強く叩いたりすれば自分が叩かれるシーンに逆襲される。ところが最後の練習となれば、自分が叩かれるシーンがなくなった子は普段より強く叩けるのだ。叩いた子はそれをやったのである。

叩くといっても思い切ってというほどではないが、叩かれた方にとっては結構痛い。そして強く叩かれた子は、今度は自分が別の子を叩くときに強く叩く側に加わるのである。

やがて劇が進み、最後のシーンになった。ここではタヌキの役目は隆明であった。浦島太郎は主人公はおじいさんになって終わりだが、この劇では女の子たちが急に太ってしまう事になっていた。こうしたのは老人になるのは顔のメークが必要だが、太るだけなら一瞬で着替えられるためと、女の子が老人になるのを嫌がったので、その妥協点が太ることになったのだ。そして太ったあとは、シュールなストーリーにするために、タヌキは再び女の子たちにいじめられるのである。

劇中のタヌキは二足歩行で、歩いているところを転ばされて、仰向けになったところを蹴られる事になっていた。素子が玉手箱を開けると、女の子たちは用意してある分厚い布を身にまとい太った風を装った。

タヌキを転ばせるのは蘭子だ。蘭子は少し太った子で、こういう意地悪な役が良く似合うのである。

「あっ、ごめーん」

まず台詞を言ってから足を出した。最初に台詞を言ってしまったのは、分厚い布を身にまとっているため思うように動けず、頭と体がバラバラになっているためだ。

ところが隆明は転ばなかった。布がジャマして、蘭子の足を伸びなかったのだ。そこで隆明は自分で転ぶはめになった。

「それー!」

女の子たち一斉に転んだ隆明に襲いかかってきた。ここは最後のシーンなので、叩くのも最後。つまり全員が強く叩いてくる。隆明は仰向けのまま、タヌキのように身を縮めた。

女の子たちはタヌキになった隆明を思い思いに蹴った。しかし、それは予想外の痛さだった。

(良かった、それほど痛くない)

女の子は服が邪魔してうまく動作が鈍いのでそれほど痛くなかったのだ。ときどき、脇のあたりを蹴ろうとした足がうまくいかずに顔の方にむかってくるが、顔はうまく腕で守れる。足で顔をグリグリ踏みつけられたりもしたが、その子は別の子の服とぶつかって、足は別の方に飛んでいった。

女の子たちが6人もの集団で来たのは少し怖いが、それだけだった。一方、女の子たちは服が邪魔してうまく動けない感覚がものすごく楽しくてたまらないようだった。

それほど痛くないので、隆明も少し上を見る余裕があった。隆明は蹴ってる女の子をちらっと見た。そのとき、素子の茶色のスカートの中が隆明の目に飛び込んできた。

(白、それも真っ白だ)

ほかの子は布を太股の方まで布を巻いてしまっているのだが、素子はかわいらしくお腹の少し下までにしており、そのぶんスカートがめくれあがって太股までのミニスカートのようになっていたのだ。

隆明はスカートを凝視してしまっていた。素子が足を出した瞬間、細い太股と真っ白な下着がまた見えた。下着は大きな子供パンツで、隆明の目からは白い一枚布とそれを取り囲む少し厚くなっている周囲の部分が見えただけだった。しかし、清潔感あふれる木綿の生地と白い色は、小学生の隆明には十分過ぎる色気があるものだ。

見えたのは一瞬だったが、いわゆるパンチラは隆明の下半身に熱い血をたぎらせていく。

(まずい)

隆明たちの年頃の男の子にとって、勃起している事を女子に知られるのは、たまらなく恥ずかしい事だ。隆明は、仰向けになった体を横向きにして隠そうとした。しかし、女の子たちが足で踏みつぶすようにしているのが災いし、横向きになっても足で元通りにされるのである。

そうしている時だ。

「うわ、こいつデカチンになってるぜー!」

蘭子が勃起した性器に気がついて、大声を出した。デカチンというのは、他の人より大きいという意味ではなく、大きくなったチンチンという意味だ。つまり勃起している事が知られてしまったのだ。

(蘭子のバカ、女のくせになんてこと言うんだよ)

「デカチン隆明! デカチン隆明!」

ほかの一斉に女子も騒ぎ立てる。蘭子はともかく、ほかの女の子は一人でいる時には、デカチンなんて単語は絶対言わないような女の子たちばかりだ。それを言わせているのは女子の集団パワーなのだろう。

「隆明を解剖しちゃおうぜ!」

そう言ったのは蘭子だった。蘭子は、クラスでも男女と言われるほど活発な女の子なのだ。隆明は女の子をわざと怒らせる時以外は呼び捨てにしないのだが、この蘭子は普段から平気で男子を呼び捨てにしてる。

(やめろよ、やめろよ)

しかし言葉にならない。女の子の前で勃起したという事が恥ずかしくて、唇が動かないのだ。

「隆明祭りだ! 隆明祭り! 隆明祭り!」

そう言って女の子の一人と、素子がしゃがんで隆明の腕を抱え込んだ。素子は隆明の腕を腹に包むこむようにした。ほとんど胸の感触はないが、こんな時でもなければ素子の胸にふれることは永遠にないだろう。

もう一方の子は、もっとすごかった。なんと、隆明の手を自分の袖から服の中に入れてしまったのだ。これでは、隆明は手を動かそうとしても、動かせない。しかし、それは胸との距離がさらに縮まったことを意味している。

(なんかプニプニしてる。まさか、これって・・・)

初めての胸の感触に激しい興奮を覚えたが、すぐに蘭子の手が半ズボンにかかって隆明を青ざめさせた。隆明は自分が興奮しているのか恥ずかしいのかわからなくなった。

「隆明を脱がせるぜー!」

蘭子が言うと、女の子が「おー!」とかけ声をかける。

「それだけはやめろー」

ようやく声が出た。勃起したおちんちんを女の子に見られるなんて絶対嫌だ。ましてや、クラス一かわいて憧れの素子に見られるなんて耐えられない。

(く、くそ、蘭子の馬鹿力が!)

蘭子の力もあったが、それよりも蘭子の体重の乗せ方がうまかったのだ。それだけ蘭子はパンツを脱がせるという役に慣れているのである。おかげで隆明はろくな抵抗もできずに半ズボンと白のグンゼパンツは一緒に下ろされていっている。

「知之(ともゆき)君も脱がされたんだよ」

素子は悪戯っぽい目で隆明を見つめた。知之は隆明の親友で、隆明も一度知之から解剖されたという話を聴いていた。

(確かに知之は女子に解剖されたって言っていた。でも、パンツまで脱がせるっていうのは、知之君の悪い冗談なんだ。そうだ、きっと、そうだ)

下半身が急に涼しくなった。冷たい空気が下半身をなでていた。下半身に何もない感じだった。しかし隆明は思った。

(これはパンツだけになったんだ。きっと、そうだ)

そして甘い考えは蘭子の一言でうち砕かれた。蘭子が死刑宣告を発したのである。

「隆明チンチン登場!」

「見ないでー」

隆明は女言葉になった。

「出てるぜー、完全に出てるぜー」

隆明のおちんちんは青白くすべすべしていた。陽の光の当たらないパンツ内、その肌がきめの細かいのは小学生の特徴だ。真性包茎の性器は、ごくわずかな亀頭のふくらみはあるが、根本から亀頭までほぼ一直線の性器といっても差しつかえないだろう。

根本には袋が完全に顔を見せていた。くびれないないヒョウタンのように、すべすべした形で、シワはほとんどなく破裂しそうなほど膨らんでいる。

素子は隆明のスマートなおちんちんを見て、いつみても男の子のおちんちんは不思議だなって思った。なんだか男の子の体とおちんちんはまったく別物のような印象を受ける。隆明のおちんちんがビクビクと脈をうっていることで、よけいそう感じさせたし、それに他の部分はこんなに勝手に動くことはなかった。男の子の体で、本人の意識とは無関係に動いてしまうのはおちんちんだけなのだ。

蘭子は意地が悪いことに隆明が解剖された事をはっきりと自覚させるため、勃起した性器に息を吹きかけた。生温かい風が解剖されたという冷酷な事実をつきつけた。

「やめてー」

「女言葉になるなんて、おまえの友達の知之と同じじゃん」

隆明は二人ともこの蘭子にパンツを剥かれたかと思うと、情けない思いでいっぱいになる。

「でも、知之のが大きくない?」

女子の一人がよけいな事を言った。

「あいつはデカチンじゃなかった(つまり勃起してなかった)けど、あいつのが太そうだったよな」

「でも、長さでは隆明君かな」

「長さは隆明の勝ちじゃん、でも、あいつ毛少し生えてたからなあ」

そう言って、蘭子がチンチンをわしづかみにした。

「うわわわわ」

「なにびびってんだよ。生えてっかどうか、良く見てやるんじゃん。友達に負けるなんて、恥ずかしくないのかよ」

「負けるな、隆明君」

素子までそんな事を言う。

蘭子はコチコチのチンチンをいじりまわした。チンチン自体に陰毛は生えないのだが、蘭子にはそういう知識がないため、チンチン自体の腹にくっついている方を見ているのである。

「うーん、わかんないけど、毛では知之に完敗なんじゃん?」

すると、素子が小さな声で言った。

「・・・皮の中に生えてるのかも」

それは成人男性からみれば、一笑される意見だっただろう。しかし、それがわからないのが小学生女子である。

「皮、剥く?」

蘭子が言うと、女の子たちは口々に言った。

「うん! うん! うん!」

「剥いて、剥いて」

「絶対剥いてー!」

女の子たちは、そんなところに毛が生えないのを知っていて、好奇心からそう言ってるだけかもしれないが、なんとも恐ろしい事態になってしまった。隆明は自分で皮を剥いたことがない。

チンチンを握っていた蘭子が自然と剥く役目になった。、

「ちょっとずつ、ちょっとずつ剥くからね」

「やめてったら、やめて」

隆明の性器は皮を剥かれることに激しく抵抗していて、皮は先っちょまでつっぱるようにしていて、いっこうに剥ける気配がなかった。蘭子は単純に剥こうとするのをやめて、少し皮を戻したり、また剥きにいったりするなどしていた。それはいわゆる自慰を小刻みにしてスローペースにしたのと同じ動きなのだが、女の子たちはもちろんの事、自慰行為の経験のない隆明もそれに気付かなかった。

ただ隆明がすでに自慰行為をしていたとしても、動きが小刻みな事や、動きがスローな事から、自慰と同じとはわからなかった可能性は高いだろう。しかし、どちらにしろその蘭子の手の動きは、隆明を性器を激しく刺激している事は確かだった。

「やめて、なんか、変だよ。やめて」

「やめてやらーーーん!」

すでに性器の先からは先走り液が出ていたが、蘭子たちはいっこうに気にしない。性教育のたまものというやつだが、隆明にとっては地獄に落とす教育だった。

部屋の中は、隆明の不規則な息づかいと、女の子たちの熱い息づかい、それにときどき隣の女の子同士で顔を見合わせて笑うクスクス笑いの声がおきている。

「今度はいけるか?」

「いけ、いけ、いけー!」

最後に激しく抵抗したかのように生白い皮が伸びた。しかし、抵抗はそれまでだった。ご主人である隆明が蘭子に完敗し解剖されたように、生白い皮も蘭子の悪戯な指に敗北したのだ。生白い皮は伸びきったあとまた縮んでいったが、皮は元通りに縮んだのではなく、蘭子の指に向かって縮んだのである。そのかわりに薄いピンク色の亀頭がにゅーっと露出した。

「でたー!」

「ピンクー!」

「白ピンクー!」

隆明の頭は真っ白になった。性器に生まれて初めて当たる空気の感触が、心地よいのだが、それがかえって恥ずかしかった。

「ふー」

皮を剥けている事を知らせるために、蘭子が息を性器に吹きかけた。生まれて初めてあたる風。

「くさーい。なに、これー」

その息のせいで性器の匂いをかいでしまった女の子が鼻をつまんだ。

隆明はもう限界だった。下半身が砕けたようだった。性器が熱くて火傷しそうだし、実際火傷したかのようにうずいていた。頭の中で何かが弾けた。そして、女の子の目の前で、隆明は精通を迎えた。

「きゃー」

「いやー」

「隆明が白いおしっこもらしたー! 知之と同じだー!」

「隆明君が白いおしっこ、白いおしっこ!」

素子から見れば、男の子たちは誰もが力強い男の子たちばかりだった。だから、こんな事で傷つくなんて夢にも思っていなかった。解剖の次の日から男の子が素子と目を合わせられなくなっても、すぐ忘れるものだと思った。だって素子にとって男の子は短気だけど単純でいつまでもいじいじしていないものなのだ。解剖は女の子にとって明るく楽しい遊びだったのだ。

(白い射精 おしまい)