「女子大寮に掟ができるまで3」

人物紹介

・アルテミス 美しい新入生。

・ゲオルガトス アルテミスの同室者。武道をやり、厳しい生活指導で有名。

・フィロソマ ショートカットの新入生。

 

 ゲオルガトスは、上半身裸になると、丸椅子の上にどんと座ると言った。

 「アルテミスだったね。今日は、武道の稽古で疲れてんだ。マッサージしな」

 「はい。しかしマッサージのやり方とかわかりませんが、よろしいのでしょうか」

 「かまわん。適当に揉めばいい」

 アルテミスは、肩をもみはじめた。

 (なんて広い肩なのかしら)

 ゲオルガトスの肩は、アルテミスの倍はあった。骨格も太いが、そこについている筋肉が隆々として、小学校のときにみた外国映画の主人公のようだ。

 「もっと、力入れて」

 「はい」

 アルテミスは力を入れた。しかし力が足りず、自分でも相手の筋肉をもみほぐしていないとわかる。

 「次は背中」

 「は、はい」

 母が疲れたときに、良く肩をもんであげていたが、背中を揉むのは初めてだった。だからどうして背中をマッサージをするのかわからなかった。だが、背中にふれてみると、どうしてマッサージするのか良くわかった。皮膚の中に木が入っているようなすごい筋肉なのだ。

 「次は、前」

 「はい。えっと、どうすれば?」

 このまま後ろから腹筋などをマッサージするのか、それとも前に回って良いかわからなかった。

 「前に回りなさい」

 「はい」

 ゲオルガトスのは、ほとんど胸がなかった。乳房はほとんどなく、真っ平らに近い。大きめの乳首だけが女であることを証明していた。

 「腹筋よ」

 「はい」

 おなかも、とてもおなかのようには思えなかった。腰のくびれがまったくないせいか、樽を思わせた。

 「もっと上よ」

 「はい」

 上に移動していく。

 「ここも揉むのよ」

 ゲオルガトスがアルテミスの手をとると、自分の胸にあてた。

 「きゃっ」

 「なんだ、その態度は!」

 「すいません。急だったので、びっくりしちゃって」

 「言い訳はいい。さっさとマッサージするんだ」

 「はい」

 アルテミスは、心の底が濁るような、なんとも言えない気持ちになりながらも、胸を揉みはじめた。

 乳首がある場所を中心に、マッサージする。

 「いたっ」

 「ご、ごめんなさい」

 「バカ、胸はデリケートなんだ。そんな事もわからんのか?」

 「き、気をつけます」

 「手本をみせるから、よく覚えておけ」

 ゲオルガトスは、アルテミスを左手でぐっと抱きよせた。

 「ひゃっ」

 「よく覚えておけ」

 ゲオルガトスは右手をアルテミスの服の中に入れた。

 「おや、ブラジャーが絹じゃないか」

 「お母様に買って頂いて」

 「ふふ、お嬢様なんだね」

 ゲオルガトスは、ブラジャーの中に手を入れ、揉みしだいた。

 「やわらかいな。割と大きいしな」

 「あ、ありがとうございます」

 アルテミスの声が慣れない感覚にうわずる。

 ゲオルガトスの指は、辛辣だった。アルテミスの胸をもみつつも、ひそかに乳首をくすぐり、彼女の幼い性感を高めていた。

 「おやっ、少ししこしこしてきたじゃないか」

 やわらかい乳房が、少しずつ充血してきていた。最初はマシュマロのようだったのが、今ではつきたての餅のようだ。

 「アルテミス、キスしような」

 ゲオルガトスの鬼のような顔が、アルテミスの美しい顔に近づいていく。

 「い、いや」

 「おや、先輩にさからうのかい?」

 「い、いえ、決して、そういうわけじゃ」

 「そうだよね。そんな事になったら、さっき食堂で何の話を聞いていたか、わからないもんね。よし、よし、いい子だ」

 ゲオルガトスの顔が近づいていく。アルテミスは背中をがっちりと左手で押さえられているので、逃げられないが、自然と、背がそって顔を逃がしていってしまう。

 「よし、よし、もう逃げられないよ」

 「せ、せんぱい、い、いや」

 「よし、ほっぺにちゅーだ」

 「ひゃっ」

 アルテミスは、頬にキスをされた。薄い唇がべったりと、

 そこでアルテミスは解放された。床にふせて、ゲオルガトスに見えないように手の甲で頬をぬぐう。

 「今度からは、ちゃんとマッサージするんだからね」

 「は、はい」

 その夜、アルテミスは怖くてなかなか眠れなかった。

 

 次の朝、アルテミスが洗面所に行くと、ソフィアが顔を洗っていた。

 「ソフィアさん、おはよう」

 「アルテミス?」

 ソフィアはかすかに名前を覚えていたようだった。

 「えぇ。今朝は早いのね」

 「夜はあまり眠らないから」

 「わたしも、あまり眠れなくて、すぐ起きちゃったわ。ソフィアさんは同じ部屋の先輩はどんな方?」

 「4年生」 

 「わたしはゲオルガトス先輩なの。ねぇ、もしよかったら、今度お部屋に遊びに行ってもいいかしら」

 ソフィアは何の返事もせず、洗面所を出ていった。

 

 今年からは大学のカリキュラムが一新された。男子は、集団体育の時間ができ、精神鍛錬、学業の時間が増えた。これは肉体的、精神的、学問的のレベルを強力にあげるためだ。

 一方、女子は学業の時間が半分近くまで減り、かわりに礼法の時間が大幅にふえることとなった。

 これにより、女子学生の学業の低下はやむを得ないだろう。

 この決定に第三学生寮の寮監は、賛成していた。

 「女子学生は男子学生の下なのです」

 新入生は、最初に礼法の基礎を、教官と先輩の共同指導により学ぶことになる。普段は私服だが、礼法の時間は膝上までのスカートとブレザーという制服をきなければない。そして生徒一人につき、二年生が一人つき、徹底した指導が行われる。これは二年生の指導の能力をみる授業をでもあるので、二年生も真剣である。

 アルテミスが教室に入ると、そこは40人教室になっていた。まだ席には、まだらにしか人が座っていない。自由な席にすわれるので、入学式で隣同士だったフィロソマの隣にすわった。

 「あれ? きみは?」

 フィロソマが彼女に気づく。

 「ほら、入学式で隣同士だったアルテミスよ」

 「そうか。えっと、自己紹介がまだだったね。僕はフィロソマというんだ」

 彼女は自分のことを「僕」と呼んだ。おそらく軍人か何かの子女なのだろう。男の子が生まれないと、女の子を男として育てると、男が生まれるという言い伝えがある。

 アルテミスはその話題をさけ、

 「フィロソマさんは、どこの寮に入ったの?」

 「僕は第八女子寮。君は?」

 「わたしは第三女子寮よ。もし良かったら、遊びにきて」

 アルテミスは声をひそめた。

 「でも、同じ部屋の人、ゲオルガトス先輩っていうんだけど、ちょっと厳しい方なの。どうしてあんなに厳しくするのかしら」

 「僕のところは、2年生でディグヌス先輩って言うんだけど、すごいわがままお嬢さんでさ。名門だかなんだか知らないけど、あういうのは好きになれないね」

 「肩もまされたりとか?」

 「それに掃除やれだの、宿題やれだの、大忙しだよ」

 「あなた、そんな風に思っていたの」

 突然、後ろから意地の悪い声がした。ふりかえると、セミロングに軽くソバージュをかけた女性が二人をじっと見ている。上品な髪型だった。それに軽くソバージュをかけるのは、名門の証でもある。

 「ディグヌス先輩、聞いていたんですか? やだなぁ。そうなら、そうって早く言ってくだされば良いのに」

 「なんで、わたしがそんな事言わなければいけないのよ。だいたいねぇ、あうやって掃除させたり、宿題やらせるのだって、あなたの能力があがって欲しいから、やらせてるのよ」

 「もちろん、わかってますよ。先輩の、やさしさがそうさせてるんですよね」

 「あたりまえじゃない」

 するとフィロソマは小声で言った。

 「でも、宿題くらい自分でやれよ」

 「あら、何かウジ虫がうめくような声が聞こえたんだけど」

 「いえ、それは先輩の気のせいですよ」

 「ところで、あなたは?」

 ディグヌスはアルテミスを見た。

 「わたしは、フィロソマさんのお友達で、アルテミスと言います」

 「どこかで見たことあるわね。高校はどこ?」

 「王家第一高等学校です」

 「私と同じじゃない。それでどこかで見た事あるのね。この子、わたしの同室の子だから、仲良くしてちょうだいね」

 ディグヌスは、フィロソマの髪をぐしゃぐしゃっとしながら言った。

 「そういえば、あなたたちは決闘の話を聞いてるの? うちの学校でも今年からやりだしたんだけど」

 「決闘って、昔、軍人同士がやっていたっていう?」

 フィロソマは、父に話してもらった事がある。お互い武器をもたず、闘技場で戦いあう。戦えなくなった方が負けで、その負けの代償は死だという。

 「たしか、負けた方は死ななくちゃならないやつですよね」

 「ばかねー。学生で、そこまでやるわけないじゃない。わたしたちは、この国を育てる金の卵なのよ。私たちが死んだら、国の大損害じゃない。特に、この私はね」

 「はあ」

 フィロソマは、少しあきれていた。

 「ただし、男が女と決闘して負けたら、死ぬことになってるんだけどね」

 「女が負けたら?」

 すると、ディグヌスは顔を赤らめた。

 「そんなこと、話せるわけないじゃない」

 

 アルテミスは部屋に戻り、ゲオルガトスに肩をもまされていた。ゲオルガトスがおしゃべりしたいというので、今日の出来事を話した。フィロソマのこと、ディグヌスのこと、決闘のこと。

 「ゲオルガトス先輩は決闘を見たことがありますか?」

 「まだやったやつはいないんだ」

 「そうなんですか」

 ひそかにアルテミスは、先輩なら男にも勝てると思った。もちろん口には出せないが。

 「男は女からの決闘は断れない。男から男、女から女、男から女への申し込みは断れる。アルテミスは、ちゃんと断れよ」

 「はい。わたしは、どうせ勝てませんし」

 「よし、よし。おまえは、私のものだからな」

 ゲオルガトスは、肩を揉んでいるアルテミスの手に、自分の手を載せる。

 「先輩・・・」

 「今日は、同じベッドで寝るんだ。いいな」

 「は、はい」

 ベッドに入ってからのゲオルガトスの求愛は執拗だった。アルテミスにのしかかり、さかんにキスをもとめる。

 「寝る前のちゅーをしような」

 「せんぱい、わたし、困ります」

 「なんだ、お母さんにやってもらわなかったのか? 寝る前のちゅーをすると、安心して眠れるぞ」

 「で、でも」

 「よし、それなら次のうちの二つから選べ、1、寝る前のちゅー、2、寝る前に私がアルテミスの胸のマッサージ」

 「そ、そんな・・・」

 「マッサージにしようか。服の上からたっぷりマッサージしてやるよ」

 そういって、胸の表面を軽くなでた。

 「きゃっ」

 アルテミスが体を丸める。

 「やっぱり、寝る前のちゅーだ」

 そう言うと、すきができたアルテミスの唇をうばった。やや冷たい感触がアルテミスの唇にふれる。

 「ふふふ、おやすみ」

 アルテミスは、布団にもぐると、何度も何度も唇をシーツで拭いた。

 

 フィロソマの場合は、別の意味で大変だった。

 「宿題、4ヶ所以上間違えたら、許さないわよ」

 ディグヌスが宿題を山ほどやらせるのだ。

 「だって、先輩。ぼく、まだ一年生だしさ。やっぱり二年生のはしょっちゅう間違えちゃうよ」

 「あら、一年生だって根性と、先輩を思いやる心があれば、間違えないわよ。それとも、あなたはわたくしを思いやる心がないのかしら」

 「そんな理屈、無茶苦茶だぁ」

 「もし間違えたら、徹夜で徹底指導しないとね。それが先輩の親切心ってやつよ」

 ディグヌスはあくびを一つした。

 「そろそろ、わたし寝るから、ちゃんとやっておくよ。それからこの部屋の電球が明るいのは、うちの家からの仕送りのおかげなんだから、私の家にちゃんと感謝するのよ」

 「やれやれしょうがないなぁ」

 「なんか言った」

 ディグヌスがにらむ。

 「やだなぁ。おやすみなさいって言ったんですよ」

 「おやすみ」

 結局、宿題を終えたのは、夜の2時過ぎだった。

 (女子大寮に掟ができるまで3  おしまい)