人物紹介
・アルテミス 美しい新入生。
・ゲオルガトス アルテミスの同室者。武道をやり、厳しい生活指導で有名。
・フィロソマ ショートカットの新入生。
ゲオルガトスは、上半身裸になると、丸椅子の上にどんと座ると言った。
「アルテミスだったね。今日は、武道の稽古で疲れてんだ。マッサージしな」
「はい。しかしマッサージのやり方とかわかりませんが、よろしいのでしょうか」
「かまわん。適当に揉めばいい」
アルテミスは、肩をもみはじめた。
(なんて広い肩なのかしら)
ゲオルガトスの肩は、アルテミスの倍はあった。骨格も太いが、そこについている筋肉が隆々として、小学校のときにみた外国映画の主人公のようだ。
「もっと、力入れて」
「はい」
アルテミスは力を入れた。しかし力が足りず、自分でも相手の筋肉をもみほぐしていないとわかる。
「次は背中」
「は、はい」
母が疲れたときに、良く肩をもんであげていたが、背中を揉むのは初めてだった。だからどうして背中をマッサージをするのかわからなかった。だが、背中にふれてみると、どうしてマッサージするのか良くわかった。皮膚の中に木が入っているようなすごい筋肉なのだ。
「次は、前」
「はい。えっと、どうすれば?」
このまま後ろから腹筋などをマッサージするのか、それとも前に回って良いかわからなかった。
「前に回りなさい」
「はい」
ゲオルガトスのは、ほとんど胸がなかった。乳房はほとんどなく、真っ平らに近い。大きめの乳首だけが女であることを証明していた。
「腹筋よ」
「はい」
おなかも、とてもおなかのようには思えなかった。腰のくびれがまったくないせいか、樽を思わせた。
「もっと上よ」
「はい」
上に移動していく。
「ここも揉むのよ」
ゲオルガトスがアルテミスの手をとると、自分の胸にあてた。
「きゃっ」
「なんだ、その態度は!」
「すいません。急だったので、びっくりしちゃって」
「言い訳はいい。さっさとマッサージするんだ」
「はい」
アルテミスは、心の底が濁るような、なんとも言えない気持ちになりながらも、胸を揉みはじめた。
乳首がある場所を中心に、マッサージする。
「いたっ」
「ご、ごめんなさい」
「バカ、胸はデリケートなんだ。そんな事もわからんのか?」
「き、気をつけます」
「手本をみせるから、よく覚えておけ」
ゲオルガトスは、アルテミスを左手でぐっと抱きよせた。
「ひゃっ」
「よく覚えておけ」
ゲオルガトスは右手をアルテミスの服の中に入れた。
「おや、ブラジャーが絹じゃないか」
「お母様に買って頂いて」
「ふふ、お嬢様なんだね」
ゲオルガトスは、ブラジャーの中に手を入れ、揉みしだいた。
「やわらかいな。割と大きいしな」
「あ、ありがとうございます」
アルテミスの声が慣れない感覚にうわずる。
ゲオルガトスの指は、辛辣だった。アルテミスの胸をもみつつも、ひそかに乳首をくすぐり、彼女の幼い性感を高めていた。
「おやっ、少ししこしこしてきたじゃないか」
やわらかい乳房が、少しずつ充血してきていた。最初はマシュマロのようだったのが、今ではつきたての餅のようだ。
「アルテミス、キスしような」
ゲオルガトスの鬼のような顔が、アルテミスの美しい顔に近づいていく。
「い、いや」
「おや、先輩にさからうのかい?」
「い、いえ、決して、そういうわけじゃ」
「そうだよね。そんな事になったら、さっき食堂で何の話を聞いていたか、わからないもんね。よし、よし、いい子だ」
ゲオルガトスの顔が近づいていく。アルテミスは背中をがっちりと左手で押さえられているので、逃げられないが、自然と、背がそって顔を逃がしていってしまう。
「よし、よし、もう逃げられないよ」
「せ、せんぱい、い、いや」
「よし、ほっぺにちゅーだ」
「ひゃっ」
アルテミスは、頬にキスをされた。薄い唇がべったりと、
そこでアルテミスは解放された。床にふせて、ゲオルガトスに見えないように手の甲で頬をぬぐう。
「今度からは、ちゃんとマッサージするんだからね」
「は、はい」
その夜、アルテミスは怖くてなかなか眠れなかった。
次の朝、アルテミスが洗面所に行くと、ソフィアが顔を洗っていた。
「ソフィアさん、おはよう」
「アルテミス?」
ソフィアはかすかに名前を覚えていたようだった。
「えぇ。今朝は早いのね」
「夜はあまり眠らないから」
「わたしも、あまり眠れなくて、すぐ起きちゃったわ。ソフィアさんは同じ部屋の先輩はどんな方?」
「4年生」
「わたしはゲオルガトス先輩なの。ねぇ、もしよかったら、今度お部屋に遊びに行ってもいいかしら」
ソフィアは何の返事もせず、洗面所を出ていった。
今年からは大学のカリキュラムが一新された。男子は、集団体育の時間ができ、精神鍛錬、学業の時間が増えた。これは肉体的、精神的、学問的のレベルを強力にあげるためだ。
一方、女子は学業の時間が半分近くまで減り、かわりに礼法の時間が大幅にふえることとなった。
これにより、女子学生の学業の低下はやむを得ないだろう。
この決定に第三学生寮の寮監は、賛成していた。
「女子学生は男子学生の下なのです」
新入生は、最初に礼法の基礎を、教官と先輩の共同指導により学ぶことになる。普段は私服だが、礼法の時間は膝上までのスカートとブレザーという制服をきなければない。そして生徒一人につき、二年生が一人つき、徹底した指導が行われる。これは二年生の指導の能力をみる授業をでもあるので、二年生も真剣である。
アルテミスが教室に入ると、そこは40人教室になっていた。まだ席には、まだらにしか人が座っていない。自由な席にすわれるので、入学式で隣同士だったフィロソマの隣にすわった。
「あれ? きみは?」
フィロソマが彼女に気づく。
「ほら、入学式で隣同士だったアルテミスよ」
「そうか。えっと、自己紹介がまだだったね。僕はフィロソマというんだ」
彼女は自分のことを「僕」と呼んだ。おそらく軍人か何かの子女なのだろう。男の子が生まれないと、女の子を男として育てると、男が生まれるという言い伝えがある。
アルテミスはその話題をさけ、
「フィロソマさんは、どこの寮に入ったの?」
「僕は第八女子寮。君は?」
「わたしは第三女子寮よ。もし良かったら、遊びにきて」
アルテミスは声をひそめた。
「でも、同じ部屋の人、ゲオルガトス先輩っていうんだけど、ちょっと厳しい方なの。どうしてあんなに厳しくするのかしら」
「僕のところは、2年生でディグヌス先輩って言うんだけど、すごいわがままお嬢さんでさ。名門だかなんだか知らないけど、あういうのは好きになれないね」
「肩もまされたりとか?」
「それに掃除やれだの、宿題やれだの、大忙しだよ」
「あなた、そんな風に思っていたの」
突然、後ろから意地の悪い声がした。ふりかえると、セミロングに軽くソバージュをかけた女性が二人をじっと見ている。上品な髪型だった。それに軽くソバージュをかけるのは、名門の証でもある。
「ディグヌス先輩、聞いていたんですか? やだなぁ。そうなら、そうって早く言ってくだされば良いのに」
「なんで、わたしがそんな事言わなければいけないのよ。だいたいねぇ、あうやって掃除させたり、宿題やらせるのだって、あなたの能力があがって欲しいから、やらせてるのよ」
「もちろん、わかってますよ。先輩の、やさしさがそうさせてるんですよね」
「あたりまえじゃない」
するとフィロソマは小声で言った。
「でも、宿題くらい自分でやれよ」
「あら、何かウジ虫がうめくような声が聞こえたんだけど」
「いえ、それは先輩の気のせいですよ」
「ところで、あなたは?」
ディグヌスはアルテミスを見た。
「わたしは、フィロソマさんのお友達で、アルテミスと言います」
「どこかで見たことあるわね。高校はどこ?」
「王家第一高等学校です」
「私と同じじゃない。それでどこかで見た事あるのね。この子、わたしの同室の子だから、仲良くしてちょうだいね」
ディグヌスは、フィロソマの髪をぐしゃぐしゃっとしながら言った。
「そういえば、あなたたちは決闘の話を聞いてるの? うちの学校でも今年からやりだしたんだけど」
「決闘って、昔、軍人同士がやっていたっていう?」
フィロソマは、父に話してもらった事がある。お互い武器をもたず、闘技場で戦いあう。戦えなくなった方が負けで、その負けの代償は死だという。
「たしか、負けた方は死ななくちゃならないやつですよね」
「ばかねー。学生で、そこまでやるわけないじゃない。わたしたちは、この国を育てる金の卵なのよ。私たちが死んだら、国の大損害じゃない。特に、この私はね」
「はあ」
フィロソマは、少しあきれていた。
「ただし、男が女と決闘して負けたら、死ぬことになってるんだけどね」
「女が負けたら?」
すると、ディグヌスは顔を赤らめた。
「そんなこと、話せるわけないじゃない」
アルテミスは部屋に戻り、ゲオルガトスに肩をもまされていた。ゲオルガトスがおしゃべりしたいというので、今日の出来事を話した。フィロソマのこと、ディグヌスのこと、決闘のこと。
「ゲオルガトス先輩は決闘を見たことがありますか?」
「まだやったやつはいないんだ」
「そうなんですか」
ひそかにアルテミスは、先輩なら男にも勝てると思った。もちろん口には出せないが。
「男は女からの決闘は断れない。男から男、女から女、男から女への申し込みは断れる。アルテミスは、ちゃんと断れよ」
「はい。わたしは、どうせ勝てませんし」
「よし、よし。おまえは、私のものだからな」
ゲオルガトスは、肩を揉んでいるアルテミスの手に、自分の手を載せる。
「先輩・・・」
「今日は、同じベッドで寝るんだ。いいな」
「は、はい」
ベッドに入ってからのゲオルガトスの求愛は執拗だった。アルテミスにのしかかり、さかんにキスをもとめる。
「寝る前のちゅーをしような」
「せんぱい、わたし、困ります」
「なんだ、お母さんにやってもらわなかったのか? 寝る前のちゅーをすると、安心して眠れるぞ」
「で、でも」
「よし、それなら次のうちの二つから選べ、1、寝る前のちゅー、2、寝る前に私がアルテミスの胸のマッサージ」
「そ、そんな・・・」
「マッサージにしようか。服の上からたっぷりマッサージしてやるよ」
そういって、胸の表面を軽くなでた。
「きゃっ」
アルテミスが体を丸める。
「やっぱり、寝る前のちゅーだ」
そう言うと、すきができたアルテミスの唇をうばった。やや冷たい感触がアルテミスの唇にふれる。
「ふふふ、おやすみ」
アルテミスは、布団にもぐると、何度も何度も唇をシーツで拭いた。
フィロソマの場合は、別の意味で大変だった。
「宿題、4ヶ所以上間違えたら、許さないわよ」
ディグヌスが宿題を山ほどやらせるのだ。
「だって、先輩。ぼく、まだ一年生だしさ。やっぱり二年生のはしょっちゅう間違えちゃうよ」
「あら、一年生だって根性と、先輩を思いやる心があれば、間違えないわよ。それとも、あなたはわたくしを思いやる心がないのかしら」
「そんな理屈、無茶苦茶だぁ」
「もし間違えたら、徹夜で徹底指導しないとね。それが先輩の親切心ってやつよ」
ディグヌスはあくびを一つした。
「そろそろ、わたし寝るから、ちゃんとやっておくよ。それからこの部屋の電球が明るいのは、うちの家からの仕送りのおかげなんだから、私の家にちゃんと感謝するのよ」
「やれやれしょうがないなぁ」
「なんか言った」
ディグヌスがにらむ。
「やだなぁ。おやすみなさいって言ったんですよ」
「おやすみ」
結局、宿題を終えたのは、夜の2時過ぎだった。
(女子大寮に掟ができるまで3 おしまい)