THE MAJESTIC FOUR/Magic Fun Fair
(WONDER GIRL Records:WFMD-1001)
2000.1.25 ON SALE

 さて、僕は今最高にエキサイトしてるところだ。何にだって? そんな野暮はここじゃ言いっこなしだ。最高にポップでモダンなビートグループ、ザ・マジェスティック・フォーのデビュー・アルバムを前にして冷静な気分になれってほうがおかしいんだよ。
  思えばあれは去年の夏頃。知り合いのプロモーターから「最高にイカしたグループがいるんだ。イギリス人だかアメリカ人だかわからないんだけど、とにかくゴキゲンなんだ、ちょっと聞いてみてよ」って一本のテープを渡されたんだ。「ああ、ヒマな時にでも聴いておくよ」と僕。でも家に帰って、デッキにそのテープを差し込むなり思わず僕は飛び上がってしまった。『MAGIC FUN FAIR』とマジックで大きくインデックスに書かれたその一本のカセット...。。それからの僕はこの正体不明のグループにすっかり心を奪われたばかりでなく、人と会うたびにこのグループのことを喋り捲るようになっていった。
  60年代の香りを漂わせながらもそれでだけではなく、超ド級の最新ロック・サウンドが、鋭利なビートとポップでキャッチーなメロディー・ラインが、圧倒的なパワーとエナジーをもって、これでもかこれでもかと、リスナーの体温を刺激する。こいつはノスタルジーなんかじゃないさ、あくまでも現在進行形なんだよ。

 実は昨年、来日中の彼らからリハーサルに招かれたのだが、残念ながら、スケジュールがかみ合わずに取材を断念せざるを得なかった。だから彼らのアルバムがどのような制作過程を経て制作されたのは謎のまんまなんだ。でもね、かえってそれで良かったとも思ってるんだ。謎は謎のまま残しておいたほうがイイ場合もあるんだよ。ロックに夢がなくなってきたと言われる昨今、僕はそう思うんだよ、こいつは真実さ。
  さあ、このマジェスティック・フォーのアルバム。僕がそうだったように、みなさんもとことんノックダウンされて欲しい。マジェスティック・フォー、奴等は最高にポップでクールでファニーな4人組。今回、我等がワンダー・ガール・レコードから世界に先駆けて発売されることとなったこの事実、僕は本当に心から誇りに思う。そして同時に、こう叫ばずにはいられないんだ。「OK,マジェスティックス、とことんタフにやってくれ、君たちが何者なのか、そんなこと大した問題じゃない。でも真実はかくせないさ」ってね。そう、とことん、ブチ切れるまでロックンロールしておくれ。

<ザ・マジェスティック・フォー・メモ>
1:




THE MAJESTIC FOURは4人組のロック・グループだ。メンバーはシンガーのジェリー・イール(JERRY EEL)、ギターのナナシー・イール(NANASY EEL)、ベースのフランシスB.B(FRANCIS B.B)、ドラムスのムーン・ヌーン(MOON NOON)。国籍、年齢その他、一切不明だが、このうちジェリーとナナシーは、キンクスのデイヴィス兄弟のように血縁者ではないか、との説もあったりする。
2:




先日、国際電話にてジェリーとのインタビューを果たしたが、かなりの日本通のようで、日本語もお上手。一応、通訳に有名な川口奈津子さんを立てたのだが、川口さんも「ジェリーのジャパニーズは完璧よ」と太鼓判をおすほどだった。「好きな飲みものは?」との質問に「アルコールダッタラ、ビールトショーチューダネ。アトダイエットコークモスキデスネ」と日本語でハッキリと答えてくれた。(この国際電話によるジェリーとのインタビューは、次回アップの予定)
3:

歌詞は英国生まれの詩人ブライアン・ペックといジェリーとの共作。このブライアン・ペックなる詩人、ジェリーによれば、クリームに於けるピート・ブラウン、プロコル・ハルムに於けるキース・リード、クリムゾンに於けるピート・シンフィールド的存在とのことだ。
4:
プロデュースは、これまた謎の人物ピーター・ラビシャンカールとマジェスティックスとの共同によるもの。
5:

レコーディング場所は、イギリス(ロンドン)説と日本説、さらには常夏のハワイ説の3つがあるが、まだはっきりとしたデータは明かされていない。
6:



ワンダーガール・レコードのロンドン支社で試聴会が開かれた際、興奮した女性スタッフ、オリビアは「オー、マジェスティックス!! ユー・アー・モッド・グルーヴィン!!」と叫ぶや失神、それに他の女性スタッフ数名が続き、病院に運ばれる騒ぎを起こした。これは翌日の一般紙「ウルトラ・モッド・タイムス」によっても大々的に報じられた。
7: 収録曲は全6曲、個々のナンバーについて最後に簡単に触れておこう。
  (1) マジック・ファン・フェア
「魔法の移動遊園地」を歌った、サイケの香りも漂う極上のオープニング・チューン。ザ・フーで言うと『フーズ・ネクスト』あたりにも近いかも。サビ部分でもザ・フーの「クイック・ワン」に敬意を表したコーラスがお目見え。ジョン・エントウィッスルばりのフレンチ・ホーンも登場、やってくれるぜハニー。
  (2) ビッグ・ファット・カウボーイ・ハット
アルバムに先駆け日本でのみシングル・カットされ、都内の外資系レコード・ショップでヒットを記録(アルバムとシングルとでテイクが異なる)。過食症のことを歌ったハード・ロック的なビート・チューン。エッジの効いたギター・サウンドはスプーキー・トゥースばりのヘヴィーさだ。
  (3) プラグ・ミー・イン
「さあ、ボクにつないでおくれ。いい気持ちにさせてあげるよ」。シンプルな歌詞のようだが、意味深なナンバー。ビートルズ中期にも近いかな。ゴリゴリでオリオリ?なフランシスの骨太ベースがイカしてる。女性コーラスは、これまた謎のシンガー、ペイズリー・ブルー。スモール・フェイセスの「ティン・ソルジャー」で言えば、マリオットとP.Pアーノルドみたいな最高の掛け合いが聴かれる。
  (4) スマイル・フォー・ミー・デイジー
歌詞が感動的。60年代後期のドノヴァンとか、ポール・マッカートニーでいうと『ワイルド・ライフ』にも近いフォーキーなタッチが懐かしくも心地よい。愛らしいコーラス・ワークもたまらない。
  (5) ドリー
レイ・デイヴィス(キンクス)にも通じるシニカルな世界。遺伝子組み換えによって生まれた羊、ドリーについて歌ったナンバーがコレ。ジェリーのヴォーカルは、往年のバリー・ギブ(ビー・ジーズ)をも思わせるドラマチックなものだ。サイケの残り香もうっすらと感じさせるフォーキー・ヘヴィ・ロック。 ドリー レイ・デイヴィス(キンクス)にも通じるシニカルな世界。遺伝子組み換えによって生まれた羊、ドリーについて歌ったナンバーがコレ。ジェリーのヴォーカルは、往年のバリー・ギブ(ビー・ジーズ)をも思わせるドラマチックなものだ。サイケの残り香もうっすらと感じさせるフォーキー・ヘヴィ・ロック。
  (6) ジュディ・オーヴァー・ザ・レインボウ
ジェリーの声が一瞬ジェフ・リン(ELO)に重なったよ。さてさてジュディって一体何者なのか?「夢見心地な連中ってのはユニオンジャックにくるまってニセモノの金髪ババアと寝ているような奴等さ」。ムーン・ヌーンのパーカッシヴなスティックさばきにもご注目。ビートルズ後期風の極上のポップ・チューンだ。そしてラストに「マジック・ファン・フェア」のインストがさらりと流れ、アルバムは、幕を下ろす。
TEXT BY TAKEO KOMATSUZAKI(2000.1.5)