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VOL.2 レレレの床屋さん

 中学生になってようやく色気付き始めた頃、オトコだったら必ずやってみたいことが一つある。それは、そう、自分の思い通りの髪型にしてみることなんである。このサイトを読んでくださってる方の男女比がどれくらいか、それは僕にもワカランが、ともあれ男性だったら、これから僕の言わんとすることに「そうだよなぁ、オレもそうだったんだよなぁ」って相づちの一つでも打ってくれることだろう。
 はっきし言って、小学6年生あたりまでは、帝国男子たるもの(?)、そのヘアスタイルは恐らくは、親父さんやらお袋さんの意のままになっていた、というよりも意のままにさせておかなければならないのである。しか〜しだ、諸君!中学あがりゃぁ、自由意志の世界である。まさにお気に召すまま、ヘアスタイルを楽しもうではないか。お気に入りの映画俳優やらロックスター、芸能人あたりのポートレートを胸に忍ばせて、床屋さんのドアをノックしようじゃないか。怪訝そうにこちらを伺う、ご主人にその写真を突きつけて「こういうアタマにしてください」ってボツリと言おうじゃないか。
 さてさて、かくいう僕も中坊の頃はポール・マッカートニーやらの写真を持って、床屋に駆け込んだクチなんだよね。でもね、これがまたウマクいかないんだな。昔の床屋さんには「マッシュルーム=(イコール)坊ちゃんガリ」ってイメージが根強くってね。自分としてはポールみたいなアタマになるはずが、一歩床屋の外に出てみると、ただのマコトちゃん、もしくはタラちゃんみたくになっている。僕の中学時代のロック仲間の鈴木クンなんてザ・ジャムの「イン・ザ・シティ」のアルバム・ジャケットを持ってったところ、渡哲也からヒサシを取ったような、ただの板前になってたからね。だから、あの当時、僕らの間では、床屋さんって信用できないものの代名詞だったんだよ。たまにシャンプー後に「おっ、結構いいじゃん、いいじゃん」って思ってても、最後の5分でヘア・リキッドやらポマードやら塗りたくられて、ガチンガチンのアタマにさせられたりとか。だから床屋さん行くくらいだったら、自分とか、あとは友人に頼んで髪切ってもらってたの。今の若い子たちは、だから、恵まれてるよね、「こういう髪型にしてくれ」って言えば一発でそうなれるんだからさ。
 てなわけで、生まれてこのかた床屋不信の続いていた僕だけども(だったら美容院行けって、良く言われるのだが、あの目隠しされてのけぞってシャンプーさせられるのがどうも肌に合わないのだ。やっぱオトコは下向いてこそのシャンプーでしょ。それに床屋だと髭剃りに耳かきにマッサージだってしてくれる。あと待ってる時に「女性自身」やら「セブン」やら読むよりも、つまんないけどビッグコミックで「釣りバカ日誌」の方がまだ粋でしょ?)、ここにきてようやっと信頼のおける床屋さんに巡り合えたのだ。
 それが東京は江古田にある「MOBO(モボ)」ってお店。通い出したのは2年ほど前からだけども、とにかくオーナーの松本信さんがロックに詳しいってのがポイント。だから、それこそ66年当時のマッカートニーみたいに、とか67年のブライアン・ジョーンズみたく、とか、そういったリクエストがすべてウェルカムなのだ。マイナーなアーティストの場合でも、写真を持っていけばまずパーフェクト。それに松本さんはここ近年はレゲエの大ファンなので、ドレッドなんかももちオッケー。それにね、このMOBO、青山とか原宿あたりにあるポッと出のバーバーと違って歴史があるからね(信さんがCI(?!)でMOBOとする前は、戦前から続く松本理容店でした)。なんたって3代目だもん。「いやー、3代目で身代潰すって言われますが、アタシなんざぁその典型ですね」とご本人はおっしゃるがなんのその。僕はそう語る信さんに「余は生まれながらにして将軍じゃい」と啖呵をきった徳川家光公の姿をなぞらえてしまうのだ(ウソウソでもホント)。
 素顔の信さんは音楽(特にレゲエ、ロックステディ)と釣り(海中心)をこよなく愛するイカしたガイである。お好みのミュージシャンの髪型にしたくてしたくてたまらない皆さん、是非一度、MOBOに行かれてみては如何かな。西武池袋線江古田駅下車徒歩3分。反対側には、境内に江戸時代の富士山信仰(当時は富士山は神様のシンボル。でもって近隣の住民の中で年に一回代表を決めて富士山に一人お参りに行かせた。残された人々は近所にある富士山のミニチュア版みたいな塚にお参りしてた。祭神はコノハナノサクヤヒメ)でお馴染みの富士塚が国指定の史跡となってる浅間神社もあるし、レコードショップだって「おと虫」(ここはメチャ安い)に「サムディ」(70年代のSSWが豊富)があったりと、観光にも最適です。
 ヘタな世間話(「いや〜、アタシが会社勤めしてた頃はですね〜」みたいな類)を聞くよりも、MOBOのマスターからフリートウッド・マック時代のピーター・グリーンのスゴサを聞きながら、お髭ジョリジョリしてもらうほうが100倍楽しいでしょ? ってわけで皆さんもMOBOを宜しく。店内にはCDもドッチャリとあるし、壁にはなんとレスポールまで...。それとね、信さんの丁寧な接客振りにも是非注目あれ。やっぱ接客業の基本でしょ?あ、そうそう、このHP見てきたっていったら、ひょっとして耳かきサービス、いつもの倍やってくれるかもよ?!?!

MOBO : 176−0006 東京都練馬区栄町6−12
TEL/03−3991−8688


http://www05.u-page.so-net.ne.jp/ya2/mobo64/

というわけで来月のコラムは、モッズ御用達(!)にしてオリジナルなシャンプーまでありの美容院、モッズ・ヘアの登場です(ウソウソ)。

(2000.2.5 記)