『ヤンヤン 夏の思い出』
(1999年/台湾/173分/監督:エドワード・ヤン 出演:ウー・ニエンジェン、イッセー尾形、エレン・ジン他) @渋東シネタワー3
ある家族の風景。小学生のヤンヤン、お姉ちゃん、お父さん、お母さん、おばあちゃん。
台湾の町はざわついている。絶え間ない車の騒音。しかしこの家族の住む高層の高級マンションは瀟洒でシンと静まりかえっている。その中に住む家族は、ほとんど家族の体をなさないほどにバラバラだ。寝たきりになったおばあちゃんの世話をする母親。リハビリのために、毎日おばあちゃんにその日あったことを話してあげていたのだが、ある日彼女はおばあちゃんに話すべき出来事が自分にはなんにも無いことに気付く。空っぽな生活に愕然としてた母親は、突然家族を捨てて山にこもってしまう。気のやさしい父親は妻の力になることもできず、うろたえるばかり。その父親も何十年かぶりで昔の恋人と再開する。お互いに既婚者だが、青春時代の情熱が甦る予感を感じる二人。二人がデートする日本の神社の情景が美しい。ヤンヤンは寡黙な少年で、カメラで人の後ろ頭の写真ばかり撮ったりしている。姉は少女らしく夢見がちで、隣にすむ同世代の少女と友達になるが、その恋人とつきあって、そしてまた別れる。そういった家族の光景が静かに、淡々と語られて行く。
結婚式で始まり、お葬式で終わる物語。この重苦しさは、淡々と続く人生の長い道のりを表しているのかもしれないが、抑揚なくエンエンと続く物語はどうも苦手。最後には息苦しくなってしまうのだった。またしてもエドワードヤンとは相性悪し。
(OCT 28 2000)
『心のままに』 Hum Dil De Chuke Sanam
(1999年/インド/187分/監督:サンジャイ・リーラー・バンサーリー 出演:アイシュワリア・ライ、サルマン・カーン、アジャイ・デーヴガン他) @渋谷パンテオン
1999年インド(ヒンディー語圏)でもっともヒットした映画。主演は、この映画でフィルムフェア最優秀女優賞をとったアイシュワリア・ライ。フィルモグラフィーを見ると、この監督は『Khamoshi』でデヴューしたとある。これを見てないので本来どのような映画を作る人なのかはわからないが、この『心のままに』はあまり好きになれないタイプの映画。豪華な衣装に舞台セット、華やかなミュージカルシーン…一見非常にきらびやかに見えるが、とっても空疎なのだ。底の浅さを表面的な豪華さでカモフラージュしている。ミュージカルシーンが、いかにもとってつけたように感じられるので、そういう印象を与えてしまうのかもしれない。両親の反対で愛する人と結ばれず、紆余曲折があるが結局は親にあてがわれた相手の誠実さにそちらを選ぶという保守的な筋書きは、インド映画によくある教育的意図の込められたストーリー。一見ヒロインが自ら相手を選んでいるようにも見えるが、本当のところは制度に選ばされているだけなので、彼女の意志はあまり感じられない。それぞれの人物表現もステレオタイプ。インドにはもっとパワーのある映画がいっぱいあると思うんだけど。
『タイガー 炎の三兄弟』 Hum
(1991年/インド/178分/監督:ムクル・S・アーナンド 出演:アミターブ・バッチャン、ゴーヴィンダ、ラジニカーント、アヌパム・ケール他) @渋谷パンテオン
なぜいきなり10年近く前の古い映画がここで登場したのかは知らねど、思いがけず楽しい映画だった。往年の大スター、アミターブ・バッチャンの作品はあまり見たことない。この人はなんとなく常にしかめ面した演技をする俳優なんじゃないか、という勝手な先入観を持っていたのだが、ここでは意外にもコミカルでユーモアのある演技がとても良く似合っている。
冒頭ナレーションで、ながながと状況説明が続く。舞台である港のドックは労働者達が群がる荒くれ者の世界。ウジャウジャいる人の中からすっくと登場する長身のアミターブは、踊りよし、アクションよし、の強烈な存在感だ。演出のひとつひとつがものすごく濃くてクドくていかにもインド映画らしく、そこがまた楽しい。音楽も軽快で思わず口ずさみたくなった。港でならしたタイガー(アミターブ)は両親を失い、幼い弟達をつれて遠い町に移り住む。インド映画を見ていると、年の離れたお兄さんが苦労して幼い弟たちを育て上げる、という物語がよくあるが、現実にもそういうことが多いのだろうか。ゴヴィンダとラジニカーントという似ても似つかない二人の兄弟と、弟嫁、その子供という一家は「Hum(我ら)木材店」を経営し、ガッチリとした家族愛に包まれて幸せに暮らしていた。だがその日々も束の間、タイガーを逆恨みする港のヤクザが彼への復讐をたくらんでいたのだった...。ぜひもう一度見たい映画。
『星願 あなたにもういちど』
(1999年/香港/93分/監督:ジングル・マ(馬楚成) 出演:リッチー・レン、セシリア・チャン、ウィリアム・ソー、エリック・ツァン、エリック・コット他) @渋谷東急
物語の主人公は、見ることも話すこともできない障害者の青年オニオン(リッチー・レン)と、彼を暖かく見守る看護婦のオータム(セシリア・チャン)。しかし、オニオンは交通事故であっけなく命を落としてしまう。優しかったオータムに別れの言葉を告げる間もなく。もういちど会いたい、彼女に思いを伝えるために − 天国の入り口でオニオンは5日間だけ地上に戻ることを許された ...
設定がいけない。これは泣かずにはいられないではないか。不自由な体ながら懸命に生きる青年をリッチー・レンが好演、また可憐な美貌の若手俳優セシリア・チャンの演技も素晴らしい。ただのメロドラマなんだけど、素直に感動できるのは監督の手腕か。地上に戻った青年オニオンは同じリッチー・レンなのに誰も気がつかない(容姿が変っていた)、というストーリーがうまい。自分のことをオニオンだと気付かない彼女に、空白の日記を読みながら思いを伝えるシーンなど、今思い出しても目頭が熱くなる。
(OCT 29 2000)
『恋戦沖縄』
(2000年/香港/99分/監督:ゴードン・チャン(陳嘉上) 出演:レスリー・チャン、フェイ・ウォン、レオン・カーファイ、加藤雅也他) @渋谷東急
沖縄を舞台に、憎めない泥棒やうだつのあがらない警官、間抜けなヤクザ、クールな女、振られる女…が恋模様を繰り広げる軽快で愉快なコメディ。レスリーは、「金枝玉葉」などに通じるこの手のちょっとコミカルな役がいい。レオン・カーファイも可笑しい。そして久しぶりに映画のスクリーンで見るフェイ・ウォン。彼女はなにか特別なオーラを持っているようだ。まるでフランス娘のようにキュートで愛らしく、そしてカッコいい。すごい演技をしているわけじゃないのに、存在だけで絵になる。背景の沖縄の風景はリゾート感覚にあふれ、夏休みのような、のんびりした開放的な気分にひたれる映画。悪くない。
(OCT 30 2000)
『花様年華』 In the Mood For Love
(2000年/香港/98分/監督:ウォン・カーウァイ(王家衛) 出演:トニー・レオン、マギー・チャン、ライ・チン、レベッカ・パン) @オーチャードホール
冒頭、髪をなでつけオールバックにしたトニー・レオンが登場したとき、「ははん、これは『欲望の翼』の続編なんだな」と思った。ストーリーは全く違うが、時代もトーンもあの映画の雰囲気を色濃く漂わせている。登場するのはほとんど、トニー・レオンとマギー・チャンの二人。この二人だけに物語りを語らせる。
王家衛の描く、暗く人気の無い街、怠惰で甘い宵闇、降りしきる雨、船、旅。時は1962年、香港。 これは上海から香港へと移ってきた王家衛自身の原風景?最後に唐突に挿入される寺院の遠い空。これが鮮烈だった。映画自体がひとつの巧緻な工芸品のような、そんな思いにとらわれた。
『ロンゲストナイト』暗花
(1997年/香港/81分/監督:パトリック・ヤウ 出演:トニー・レオン、ラウ・チンワン、マギー・シュウ、ロイ・フォン他) @渋谷東急
久しぶりに「凄い」と思った香港映画。アクション映画は苦手なんだけど、この映画は息を呑んで見入ってしまった。マカオの夜の闇の中で、血で血を洗う抗争をつづける男たち。マフィアの手先でもある悪徳警官のサム(トニーレオン)の前に現われた謎の男イウトン(ラウ・チンワン)。それはサムの悪夢の始まりだった. ...
冒頭の、彼方からやってくる車のライトの光で始まるショットを見た瞬間に、この映画に対する期待が一挙に高まる。映像センスが素晴らしい。そしてその期待は最後まで全く裏切られることはなかった。音楽の使い方も優れている。驚くべきは、俳優達だ。まず、悪徳警官を演じるトニー・レオン。平気で人を拷問し、悪事に手を染める悪人のくせに、恐ろしくカッコいいのだ。彼は悪役やニヒルな役のほうが絶対に似合う。あの「シクロ」の時の素敵さ。一方、非常に評価の高い王家衛映画におけるトニー・レオンは、私にはそれほど魅力的に感じられない。なんだか、どれもが「不器用ないい人」すぎて彼のもつ激しさが押さえつけられてしまっている気さえするのだ。本当は、この映画のような暗い屈折した人物のほうが似合っているのではないか。後半、警察としての立場が逆転してジワジワと追いつめられていく様子は凄まじいの一言。そうして、もう一人の驚くべき人物、ラウ・チンワン。この人もまた寡黙な殺し屋が憎たらしいほど似合う。常に限界地点に立ち尽くしているような不敵な表情がたまらない。過剰なものをそぎ落としたストイックな演技が、物語の緊迫感を高めているようだ。
闇の中でうごめく男たち。深い闇はどこまでも果てしなく漆黒で、そこには決して夜明けが訪れることはない...
(OCT 31 2000)
『Dancer in the Dark』
(2000年/デンマーク/140分/監督:ラース・フォン・トリアー 出演:ビョーク、カトリーヌ・ドヌーヴ、デヴィッド・モース、ジャン・マルク・バール他)
無垢。それも完全なる無垢。あなたはこの映画のなかできっとそれに出会うだろう。その無垢の純粋な表象として登場するビョークの存在に言葉を失う。小さく、色褪せた、ぼろ布のようなセルマ(ビョーク)は、絶望と汚泥の淵にありながら、ほとんど神聖な輝きを放っている。その姿は、十字架を背負ってゴルゴダの丘へと歩いて行く人と重なりはしないか。人として考えられうる限りの、ありとあらゆる悲惨さの極致にありながら、その魂の高貴さはいささかも損なわれることがない。セルマにとっての音楽。それはまた、なんと無情な音楽であろう。私達の苦渋にみちた生に、一筋の慰安、一筋の希望、一瞬の愉悦を与えてくれるはずの音楽が、ここでは青白く色ざめ決してセルマを救うことはない。そして歌声は無残に途切れる。
この救いの無い暴力的な「生」の姿を目の当たりにして、私のなかにひとつの言葉が浮かんでいた。confrontation - 直視すること。悲惨さから目を背けずに、すべて見つくしてしまおうという意志。いかにもヨーロッパ的、それも北方的だ。
舞台は暗転する。歌声は白い壁に吸い込まれてもう二度と響くことはない。それでもセルマは永遠に私達の心の中で生き続ける。 (NOV 1 2000)
DANCER IN THE DARK
『カル』 Tell me something
(1999年/韓国/118分/監督:チャン・ユニョン 出演:ハン・ソッキュ、シム・ウナ、ヨム・ジョンア、チャン・ハンソン)
「8月のクリスマス」のハン・ソッキュ、シム・ウナのコンビによる猟奇殺人モノ。シム・ウナは相変わらず美しいが、筋立てにやや無理が。ハン・ソッキュがなぜ韓国でそんなに人気があるのか知らないが、なんとなく安心できるキャラクター。顔が知り合いに似ている。
『ユリョン』 Phantom, The Submarine
(1999年/韓国/103分/監督:ミン・ビョンチョン 出演:チェ・ミンス、チョン・ウソン、ソル・ギョング他)
潜水艦モノ。舞台は特殊工作部隊の乗る韓国の原子力潜水艦、「幽霊」(=ユリョン)。深海にひそむその黒い潜水艦の中では、反乱が起きて艦長が殺害された。艦内の指揮をとるのは狂信的な副艦長のチェ・ミンス。そして今その魚雷が日本へと矛先を向けた!
と、なかなか穏やかではない内容。以前だったらこんな映画はとてもじゃないが、日本で上映されることはなかっただろう。が、それよりも見所はチェ・ミンスとチョン・ウソンの2大俳優の共演。チョン・ウソンは加勢大周似の甘いハンサムガイ、チェ・ミンスの方は渋目の二枚目。(NOV 2 2000)
『千言萬語』
(1999年/香港/128分/監督:アン・ホイ(許鞍華) 出演:レイチェル・リー、リー・カンション(李康生)、アンソニー・ウォン(黄秋生)、ツェー・クワン・ホウ(謝君豪))
1995年の「女人、四十。」が素晴らしかったので楽しみにしていたアン・ホイだったが、今回はちょっと期待はずれ。1980年代の香港での社会運動をモチーフとしているのだが、その部分がやや解りにくく、普遍的なテーマになっているとは言い難い。ヒロインのソーホン(レイチェル・リー)と革命グループのリーダーとの恋愛、アトン(リー・カンション)との関係、アトン自身の生き方 .... いずれもが中途半端で、もどかしい思いだけが残る。ツァイ・ミンリャン映画で、寡黙で不思議な役が多い台湾俳優のリー・カンションは、こういう普通の役柄でもいい感じ。(NOV 3 2000)
『2001年宇宙の旅』 2001:a space odyssey
(1968年/148分/監督:スタンリー・キューブリック 出演:キア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド、ウィリアム・シルベスター、ダニエル・リクター)
数え切れないくらい繰り返し見て、それでもまだ新鮮さを失わない最高の映画。
それにしても不思議な映画だ。テクノロジーを含んだハードSF映画などどいうのは、一番に時間の洗礼をうけてゆくもの。時が経てばその先鋭さが失われ、完全なノスタルジーに変形してしまうはずのものなのに、この映画の時間に対する耐久性は驚くべきものがある。ここにはテクノロジーを「優雅なもの」としてとらえる感性がある。sense of wonderのピュアな結晶としての「2001年」。しかし、その行き着く先は、足跡のない荒涼たる地平。そこにはいかなる人影もなく、いまだ誰の目にも触れることのない未知の世界が待ち受けている。
(NOV 3 2000)
『吠える犬は噛まない』
(2000年/韓国/106分/監督:ボン・ジュンホ 出演:イ・ソンジェ、パエ・ドナ)シネマプリズム
韓国映画ブームとかで今年の映画祭はやたら韓国映画が多かったが、真に賞賛すべきはこの映画。こういう映画に出会えるのはそうあることではない。
すこぶる愉快、それもブラック・ユーモア満載で、どこもかしこも思わずニヤリと笑ってしまいそうな場面ばかり。韓国映画にこれ程のユーモアがあるのかと心底驚かされた。冒頭、まだ暗い画面の奥からちいさく犬のキャンキャンいう声が聞こえてくる。そして「この映画撮影では、決して一匹の犬をも傷つけておりません。」という断り書き。もう、この瞬間にこの映画はきっとおもしろいはずだ、と確信した。
犬の大嫌いな主人公のユンジュ(イ・ソンジュ)は大学講師だが、年上のキツい妻にはまったく頭があらがあず、奴隷のようにこき使われている。部屋に閉じこもってモンモンとした日を過している彼は、遠くから絶えず聞こえてくる犬の鳴き声に我慢ならず、その犬をつかまえて殺そうとする。一方大学でも要領の悪い主人公は昇進の機会もつかめずにいたが、同僚の不慮の事故死で思いがけず大学教授のポストを得るチャンスがころがりこんできた。いろいろ画策を始めようとしたがその矢先、殺してしまったはずなのにまた遠くから犬の鳴き声が。
素材は日常にあるものばかりなのに、個々の表現がめちゃくちゃ可笑しい。登場するキャラクターがみな妙な人たちばかりなのだ。まず大学講師のイ・ソンジュ。情けなくて小心者で、そのくせ出世欲は人並みにもっている。共働きの妻は身重だが家計を助けるためにOLとして働いている。夫を粗大ゴミのように扱う。彼らが住む無機質な巨大アパートメント。どこか胡散臭い管理人のオヤジは「犬鍋」が大好物!しかもその管理人が出入りする地下室からはウォーン、ウォーンと謎の声が。その昔ここで殺された「ボイラー・キム」の伝説があった。パエ・ドナは、その団地の管理室で働くしがない女事務員だ。「銀行強盗と戦い手柄をあげた女性銀行員」のテレビニュースをみながら、自分にもなにか事件がおきてテレビに出れないものか...と白昼夢をみている。そう、ごく普通の日常のはずが、気がつくとみんな白昼夢のような奇妙な世界に入りこんでいるのだった。不思議なのは、妙な人たちばかりが登場するのに、それぞれが愛すべきキャラクターで決して憎めない。しかも、小さな脇役に至るまで妙にいとおしい。見終わったあとに幸せな気分だけが余韻として残る。最後のシーンもいい。これは、エリック・ロメールの映画を見終わったあとにいつも感じる「ああ、人生って悪くない」というささやかな幸せの気分に似ている。素敵な映画の証拠だ。
監督のボン・ジュンホは弱冠31歳の若手で、これが長編デヴュー作。上映後のティーチインでの話。この映画は自分の小さい頃思い出を集めて作ったもので、自身映画の中に出てくるようなマンションに住んでいたそうだ。そういった日常での経験や周囲の人々を観察して、日々の細かいディティールを素材にした。実際に子供のころ、マンションの屋上で犬の皮がちらばっているのを見て大変なショックをうけた経験がある。ユニークな魅力を発揮した女優のパエ・ドナはこれが全くのデヴュー作で、経験が無いことを危惧する周囲の声をおして彼女を起用した。彼女自身は監督が考えていた映画の人物にピッタリの女優だったそうだ。
(NOV 4 2000)
『燃ゆる月』
(2000年/韓国/監督:パク・チョヒョン 出演:ソル・ギョング、キム・ユンジン、チェ・ジンシル、キム・ソックン、イ・ミスク)
去年の大ヒット作『シュリ』のカン・ジェギュ監督が制作総指揮、韓国のトップスター5人を使った話題の超大作....という前評判とはうらはらに、ストーリーが平板すぎて退屈なことこの上なし。本当は、巨費を投じた古代ファンタジーになるはずだったのにね。
キム・ユンジンがヒロインかと思いきや、主役は「ピ」を演じる女性のほうで、この人に華が全く無いのでストーリーの説得力に欠ける。ヒーローの方は、『ペパーミント・キャンディ』のソル・ギョング。この人はちょっと苦手。この映画、今回の上映は暫定版で監督は現在撮り直し作業をやってるとか。完成前から日本での上映が決まってるらしいが、この程度ではヒットは無理? (NOV 4 2000)
『真犯人』 Kaun
(1999年/インド/99分/監督:ラム・ゴーパル・ヴァルマ 出演:ウルミラ・マートンドカル、マノジ・バジパイ、スシャント・クマール、小猫)
今年の東京国際映画祭で上映されたインド映画はたったの3本。しかも、その選択が思いきり投げやりなのはミエミエ。良質のインド映画を紹介しよう、という意志は全く感じられない!映画祭はインド映画を劇場で見れる数少ないチャンスで、会場に集まった老若男女を見るにつけインド映画を楽しみにしている人はまだまだ沢山いると思うだけに、残念至極。唯一、福岡のアジアフォーカスでインド映画が多く上映されているが、そちらはどちらかと言うと社会派映画が多いようだ。もっとインド娯楽映画が見たい!!
この『真犯人』は、去年東京国際で上映された傑作『サティヤ』と同じラム・ゴーパル・ヴァルマ監督作品で、ミュージカル・シーンの無いユニークな映画ではあるのだが、まず去年と同じラム・ゴーパル・ヴァルマというのが芸が無い。また同監督作品の中でも、これはハッキリ言ってそれ程おもしろい映画ではない。どういう基準でこの映画が選ばれたのか、そこらへんが理解できない。インド映画にしては短い99分という上映時間が良かったのか?と勘ぐりたくなる。『真犯人』は物語の展開にかなり無理があるものの、ヴァルマ監督作品の常連ウルミラ、マノージ・バジパイの演技は素敵。とりわけウルミラは、演技派としての素質を見せつけたと言ってもいいのではないか。表現力のある表情の使い分けが巧みで、気になる女優のひとり。
(NOV 5 2000)
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