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交響曲第9番ホ短調「新世界より」作品95


概要

聴きどころ

有名な旋律が盛沢山

 クラシック音楽の中でも抜群の人気を誇るこの交響曲,やはりその人気の秘訣の第一は数々の名旋律である。
 抜群に有名なのが第2楽章の主題 [♪] ,次に有名なのが第4楽章の前奏と第一主題 [♪] ではないだろうか。他にも,黒人霊歌風の第1楽章第二主題 [♪] や,ボヘミア民謡風の第3楽章トリオ主題 [♪] なども名旋律のうちの一つに入るだろう。
 もちろん,単に名旋律というだけではわざわざ交響曲にする必要もないわけで,細かい動機をつなぎ変えたり展開したりする,構成を中心としたいわばブラームス的手法も,第1楽章第一主題や第3楽章スケルツォ主題などを利用する上では多く用いられている。チャイコフスキーなどと同様で,ドヴォルザークも旋律開発力と構成力の両方を持ち合わせていた折衷派の作曲家だったのかもしれない。

回想

 この曲では,後の楽章で前の楽章の主題が顔を見せることがよくある。たとえば第2楽章の中間部が終わる寸前や,第3楽章の終わる寸前には,第1楽章の第一主題 [♪] と第二主題 [♪] が組み合わせられた形で現れるし,第4楽章の展開部には第2楽章の主題 [♪] を中心として,第3楽章スケルツォ主題 [♪] ,第1楽章第一主題 [♪] などが次々と現れる。どの主題がどういう形で現れるのかを聞いてみると面白い(特に第3楽章スケルツォ主題は隠し味的に入っているので,気をつけて聴いていないとなかなか気がつきにくいだろう)。第4楽章のコーダには,第2楽章前奏 [♪] も現れるが,第2楽章に現れた時とはずいぶんと雰囲気が違うので驚くことだろう。
 全曲を貫く主題を設置する手法は,古くはベートーヴェン交響曲第5番などで用いられているが,以降数々の作曲家によって使われている。この手法をもっと強く推し進めたのがリストやワーグナーの交響曲に使用されている『循環形式』という事になるが,この曲は循環形式というほど1つの主題に執着しているわけではない。

第1楽章の提示部と再現部

 第1楽章は,ソナタ形式の楽章としては少し異例の造りになっており,提示部では第一主題をホ短調(主調),第二主題をト長調(平行調)とふつう通りに提示するが,再現部では第一主題がホ短調なのはいいとして,第二主題が半音下の調である,変ト長調という遠隔調で再現されている。ふつうは同主調であるホ長調で再現されるものであるが……。そのため,再現部の中ではかなりコンストラストの強い転調が見られる。
 第二主題を提示部の半音下の調で再現している理由は,コーダに入るときにわかるだろう。コーダに入るときに半音上がってト長調(ホ短調)に戻るが,半音上がることが独特の盛り上がりを構成している。

 また,第二主題 [♪] の5小節目2拍目のリズムが,提示部と再現部で異なっているのも興味深い点である(下図参照)。これについては指揮者の裁量で,どちらかに統一されて演奏されることもある。

提示部の場合
再現部の場合

ひとめぐり

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