幸せの音
グレーのカーテンの隙間から、頼りない光が差し込む。
わずかに顔をおこしてビデオのデジタル表示を確認する。
大丈夫、起きなきゃいけない時間にはまだだいぶある。
テーブルの上には昨夜の食べ残しとビール缶が転がっている。
だらしなく脱ぎ散らかした服は、まるで蛇の抜け殻のよう。
起きて片付けた方がいいのかしら。
そっと身を起こしかけるけれど、あなたの腕が無意識に動いて私を探すから、
もう一度あなたの横に身を横たえ、その胸に頬を寄せる。
Tシャツごしのあなたのぬくもり。
胸のゆるやかな隆起に併せて、かすかに視線が上下する。
目の前でゆれる顎のラインにそっと指を伸ばす。
顎から首、首から胸へと指をすべらす。
反応のないあなたの胸の上で、私の指先があなたの鼓動と同化する。
耳からも伝わる、ゆっくりと、でも力強く伝わる振動。
そっと足をすりよせてみると、むき出しの腿からもあなたの脈動が伝わる。
ちいさなリズムが私の全身に広がっていく。
完
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