キュービットはシュメール起源になる古代オリエントの基本的な単位で、その意味はひじである。キュービットの定義は「ひじの角から中指の先までの長さ」であり、地域や時代によってわずかな違いはあるとしてもだいたい500mm前後になっている。その単位は様々な地域にその国のひじを意味する言葉などと共に広まっていった。エジプトのキュービットを表す象形文字は「ひじ」そのものである。
メソポタミアの1キュービットは30ディジットに分割されており、2キュービットで60進法との整合性を保っていた。一方時代にもよるが、エジプトの固定キュービットは7パルム=28ディジットに分割されていた(1パルム=4ディジット)。この2者は暦との対応も見て取れる。つまり1年30日×12ヶ月(+5日)=365日と、1年28日×13ヶ月(+1日)=365日である。したがってシュメールとエジプトでは、この単位相互の数値が異なる部分がある。
近年古代バビロニアの遺跡からは、長さがほぼ1mの棒(振り子)が発掘されている。ガリレオが<振り子の等時性>として(再)発見した通り、決まった長さの振り子は決まった周期で振動する。そして1メートルの長さの振り子は周期2秒で1往復する<秒振り子>となるという現実がある。なお言うまでもなくこのほぼ1メートルの棒はダブルキュービットなのである。またダブル・キュービット≒1メートル=地球の1/1010であることも失念してはならない。
前節で見た、太陽が天空をその視直径分移動するのに要する時間がちょうど2分=120秒であること、そしてその時間に人間が歩行する平均距離である1スタジオンがほぼ180mであったことなどを考え合わせてみても、この60進法をベースにした古代の計測法における自然との精緻な整合性は、驚くべきものである。
ディジット(digit) 指幅 (現在のデジタルの語源である)
シュメールでは30ディジット=1キューピッド
スパン(span) =3パルム
パルム(palm) 親指を除いた4指の幅
| 様々なキュービット |
| バビロニア出土の像より |
531mm |
1062mm |
| 小アジア出土のもの |
531mm |
1032mm |
| 小アジア出土のもの |
521mm |
1042mm |
| 初期ユダヤ王国のもの |
525mm |
1050mm |
| エルサレムの墓から出土 |
522mm |
1044mm |
| パルテノンから |
463mm |
926mm |
| アッシリアの建物から |
506mm |
1012mm |
| ペルセポリスから |
487mm |
974mm |
| マルサバットから |
549mm |
1098mm |
| フェニキア、カルタゴ、サルジニアその他から |
563mm |
1126mm |
| パレスチナ、ペルシャの建物から |
637mm |
1274mm |
| インド固有のセイロンの「コビド」 |
464mm |
928mm |
| マドラスの「コビド」 |
472mm |
944mm |
| カルカッタの「グズ」91.5mmの1/2 |
458mm |
916mm |
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