イシヤンのデザイン事務所は表参道から2〜3本外れた裏道にある。そこは閑静な住宅街で、彼はその静かな雰囲気が気に入って神保町から引っ越したのだった。ドアーをノックすると、イシヤンはちょうど一仕事終えた後だと言って歓待してくれた。
マーミ星人はその事務所と仕事内容を見たり聞いたりして感心し、さすがに東京は違うねと感想を言った。イシヤンはまあ仕事にもピンからキリまであるよと答えて、バブル崩壊後は安直な態度ではデザイナーとして生き残れないぞと、マーミ星人にこんこんと教え諭していた。
私はデザイン関係の専門用語が飛び交う会話についていけないので、136、136.5ときた数の続きである137について一人で考え始めた。
137といえば、やはり先ずは微細構造定数<fine
structure constant>を押さえておくべきだろう。さてではその定義。『e2/hバーc=137.0359895(hバーはプランク定数,cは光速)。原子スペクトルの微細構造を表すためのパラメーターで、ゾンマーフェルトの微細構造定数とも言う。無次元量で(7.297351ア0.000011)ラlO-5,約1/137に相当する。』・・・難しいがまあ気にする事はない。科学者にもその137という数の真に意味するところが分かっていないのだから。
真に意味するところなんで実は誰にもわかってはいない。だからたとえば古神道を引っ張り出してきて、137を1<い>、3<ざ>、7<な>と解して、古事記とか古神道などで言うイザナ(ミ)、イザナ(ギ)とタイアップして考えてみると、イザナ(ミ)からイザナ(ギ)へのアプローチとはミ・ギ(右)回りだから正逆のスピンが反対になってしまい、うまくいかなかったのではないだろうか、などという解釈もひねり出すことができるだろう。
しかしこのような一見こじつけに過ぎないような表現すらも、そこから何かを見出せる可能性を切り捨てない、否定も肯定もしない第3の立場から見ていきたいものだ。BOBによれば、逆の回転にすればイザ<13>が<ナミ>波立っていたものが、<ナギ>凪ぎになるという表現にもなる。
137の平方根は11.704699…だから、だいたい11.7だ。この10倍の117は水星の会合周期116+1である。137の逆数(1/137)は電卓で出してみると0.00729927で、ほぼ<730ラ10のマイナス5乗>、すなわち<365ラ2ラ
10のマイナス5乗>になる。こんなところにも1年365日が顔を出してきている。
また137ラ5=685で、火星の公転周期687日と2日しか違わない。なお海王星と水星の公転周期の比率はほぼ684対1である(※)。そして金星の会合周期は584日だから、これに100を足すと684になる。
(※ より正確には60182.418:87.986845=683.9933629:1)。
原宿の街は初めてだというので、昔マーミ星人のお父さんがこの辺に自分の会社の東京事務所を出そうとしてて、その家賃の高さに驚いていたという話を彼女にしてあげた。すると吉祥寺などで少し不動産屋でも覗いて見たのか、マーミ星人は東京の住宅事情は全くおかしいと主張し始めた。
「4畳半とか3畳だけの部屋とかがあるなんて絶対ヘンだよ、おかしいよ!バカにしているとしか思えない!」
「そうだよなあ。福岡とかなら、3〜4LDKとかって見ても結構安いもんなあ。」
「東京って、風呂なしのアパートがあるでしょ?信じらんなーい。」
「ギャルリ・ウィもお風呂ないじゃん。」
「そうなのよ。だからお風呂入りたくって。」
するとコーヒーを入れていたイシヤンが言った。
「なら、ここで入っていけば?」
「え、本当にいいの?ラッキー!実は2日間入ってなくてさー。あたし福岡じゃ毎日お風呂入ってたから気持ち悪くって。」
そう言うが早いか、マーミ星人は近くのコンビニエンス・ストアーに代えの下着を買いに走るのだった。せっかくだから私も入れてもらう事にした。そしてさっさと先にお湯につかりながら、また137という数を脳みその上で転がし始めるのだった。
金星と天王星の公転周期比が1対136・5もしくは1対137に近似しているという事は前述したが、1対137というと一番低い軌道(第1ボーア軌道)にある電子の速度と光速との比率でもある。したがって水素原子の第1軌道にある電子の速度に137を掛ければ光速になる。
電気伝導には一種の最大−最小の関係があるが、そこにも1対137が見て取れる。自由空間には376オームのインピーダンス(抵抗あるいは障害要素〜アンテナ等のチューニングに利用されている)があるが、一方フォン・クリツィクという1985年のノーベル賞受賞者が薄いシリコン半導体面を用いた実験から導き出したところの、25813オームの「自然抵抗」というものも存在している。この2量の比は1対68・5なのだが、電子のペアリングというものを考えれば1対137になる。
太陽の平均照度は137000ルクスである。また自然界でのランダムパッキングにおける、最小表面積で最大容積を持つ多面体の面数の平均値は13.7である。福岡の11:11のところでも触れたが、2進法だと1、3、7はそれぞれ1、11、111と書かれる。
| <10進法> |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
| <2進法> |
1 |
10 |
11 |
100 |
101 |
110 |
111 |
1000 |
1001 |
1010 |
1011 |
1100 |
1101 |
風呂から上がってからもマーミ星人とイシヤンはデザインの話で盛り上がり続けていた。私は私でどうも一人で少しディープな数字の世界に入り込み過ぎてしまっていたようで、ふと現実に戻るとすでに夜中の12時をかなり回っていた。
私たちは吉祥寺のギャルリ・ウィに戻るつもりだったが、電車がまだあるか不安になり、あわてふためいてそこを退出した。昼間は若者でごった返す竹下通りも、さすがに深夜は人通りが少ない。
原宿駅に入るとさっそくホームの駅員さんに電車の接続があるか尋ねた。もうすぐ入線する山手線の外回り最終に乗り、中央線最終の三鷹行きに飛び乗れば帰り着けるという事を、そこの駅員さんは親切に教えてくれた。取り敢えず一安心すると、私は電車の中で飽きもせず今度は4則計算で137の続きを考えていた。
137+7=144=122 その5/2は360だ。
137−7=130 マヤの神聖暦ツォルキンの260日の半分。聖数13の10倍。
137+123=260 123=111+11+1。
137×73=10001 つまり105+15。
137−73=64 これは26でもある。
137+73=210 210は20の3角数。
137・7=3.7027027… という事は、137はほぼ(3.7)2×10だ。
137×106≒11112×111=1234321×111=137009631でもある。
(e+π+φ)×10−1=137.17312…。これは3つの超越数の和の10倍から1を引いた値だ。ただしeは自然対数の底(2.718281828…)、πは円周率(3,1415926…)、φは黄金比(1.618…)である。またプラトン立体を見れば、正20面体の2面角は<138度ll分=137度+1度ll分>だ。角度で言えば、オクタビアンスすなわち360度の円の円周長を黄金比φで分割した時の角度の事だが、そのひとつは222・5度であり、もうひとつの方が137.5度だ。さらには地球上の水の推算総数は約13.8億立方キロメートル(より正確には1,384,518,000km3)である。
有名なノストラダムスの自らの予言の限界年が3797年だが、この数字3797から1を引いた3796は52×73である。この52と73という2数は、マヤの農耕暦ハアブ1年365日の52年と、神聖暦ツォルキン1サイクル260日の73スピンでシンクロする最小公倍数で出てくる(365日×52年=18980日=1ツォルキン260日×73スピン)。 これから『現行のマヤの暦が終わって地球自身が次の次元に入る』とドリームスペルで言及しているところの2013年を引くと1784なのだが、この1784を13で割ると137・23076…。この1784のほうは<10の3乗+28の2乗>でもある。
いつもながら終電なのに込み合う中央線だったが、吉祥寺駅で降りたらさすがに冬の街は、寒風の中でもう眠りかけていた。137はほかにも惑星の運行などいろいろな所でも重要な数として出てくるが、それについてはまた後日に考えようと思いつつ、井の頭公園を抜けてさらに20分ほど歩き、ギャルリ・ウィに着いた時はすでに夜中の2時半を回っていた。
それでもそこではいつものように宵っ張りの人間が何人もたむろして語り合っている。結局そこでも朝までいろいろと話してしまい、眠りに着いたのは明るくなってからだった。ここでは寒い朝方には何セットかある寝具の奪い合いと譲り合いが見られる。そして気の弱い者はかなり震えながら眠る事になる。その夜私は、できる事なら性格を変えてでも温かくして眠りたいとしみじみ思った。
5(倍音)の月21日/KIN121 赤い自己存在の龍/G暦12月5日
|