ウーパールーパーとは
ウーパールーパーとは?
日本ではアホロートルのアルビノ(白子)をこの名でよぶケースが多い。ペットとして量産されているアルビノ型のアホロートルをもとに作られたキャラクター商品名である。
アホロトールとは?
有尾目イモリ亜目マルクチサラマンダー科 Ambystomatidae
マルクチサラマンダー属の27種のうち、何らかの理由で幼形成熟(ネオテニー)した個体の総称。もっとも代表的な種であるメキシコサラマンダーを指す場合が多い。北アメリカに分布。
和名:アホロートル
ラテン名:Ambystoma属(マルクチサラマンダー)
英名:axolotl
【名の由来】
属名アンビストマは、ギリシア語で<コップ状のambyx、口stoma>の意。体に比して大きな口をもつことから。
各国名に使われているアホロートルの由来については〔博物誌〕を参照のこと。
【博物誌】
<鰓のあるイモリ>としてひろく知られるメキシコの不思議な両生類。マルクチサラマンダー科に含まれ、北アメリカの南部にすむ。まずなによりも、その姿が興味ぶかく、イモリ類としては特別な関心が寄せられてきた。すなわちインディオにとっては、神界から逃げだした身勝手な神(ショロトル)の変身した姿として、西洋の博物学者にとっては、世にも神秘な<幼形成熟>をする両生類として、そして一般市民にとっては、梅毒の特効薬として。
アホロートルaxolotlは、元来アショロトルと発音されたらしい。次のようなアステカの神話が残っている。神々がみずからを犠牲として、太陽を生き返らせようとしたとき、風(エエカトル)がみなを殺す役目を引き受けた。しかし死をのがれようとして隠れた神がいた。彼はトウモロコシ畑にはいりこみ、ふたまたの穂(ショロトル)になるが、見つけられたので、今度は竜舌蘭畑に逃げこみ、ふたまたの竜舌蘭(メショロトル)になる。が、またもや見つかり、水中に隠れて両生類(アショロトル)になった。けれども結局は捕えられ殺されてしまったという。殺されたショロトルは太陽と月の栄養となった。こうしてアホロートルがアステカの神の名を受けついだのは、まさにそのグロテスクな外形と水陸両生の生活スタイルによっていたわけだ。
しかし、にもかかわらずアホロートルという名称は<水中の奴隷><水中の従者><水中の妖精><水中の遊び屋><水中の怪物><水中の双生児>などの意味を含めて訳されてきた。これは、アステカ語がひじょうに複雑な言語だからである。そして極論では、<水atl>の<犬xolotl>と解釈するのが適切だともいわれる。これはすべてアステカの神ショロトルが、多重性をそなえた神だからである。
←ショロトルの神像。16世紀ころ製作されたもので、死者の国に君臨する骨だけの怪物として表現されている。この神は永遠に水中におり、奇怪なその姿とともにアホロートルに関連づけられる原因となった。
ショロトルは、死と再生の神として犬の姿をとり、また遊戯の神として水中の妖精や遊び屋になり、また、双子、あるいは怪物という意味ももつ。しかも、これらのイメージのどれもがアホロートルに似合っているのがおもしろい。事実、この動物は永遠に水中にいる<やんちゃ坊主>の妖精だからである。
その証拠に、19世紀前半のもっとも権威ある博物学者だったキュヴィエは、大著《動物界》において次のように述べている。<アホロートルはあらゆる点で、イモリの幼生に似ている。前肢は4指で後肢は5指の点。3つに枝分かれした長い房状の鰓をもつ点などである>。つまり、アホロートルは、変態前のイモリの幼生をそのまま大きくした動物といえるのだ。
有尾類の幼生の特徴である大きな外鰓をいつまでも失わず、幼生段階のままで性的に成熟する。この現象を今日では<幼形成熟(ネオテニー)>とよぶ。古くは1570年、スペインのフェリペ2世に派遣されて新大陸に渡った侍医フランシスコ・エルナンデスが、旅行記に次のような記載を残した。<メキシコの近くに、皮膚がやわらかく、トカゲのように4本肢のある一種の魚がいる。アホロートル、つまり水中の伊達者とよばれる。こんな名がついたのは異様なおどけた姿のためである。メキシコ人はシチューにしたり、あるいは煮たりしたうえ、赤唐辛子で味付けして食べる。味もよく、健康によい>。
キュヴィエはフンボルトがメキシコから持ちかえったアホロートルが生涯幼生のまま産卵し繁殖することを観察し、これを永久に鰓をもつ動物のなかまに加えた。キュヴィエの死後も、この見解を裏づける研究が続いた。ところが1865年9月28日、パリ植物園で、その年の3月に生まれた4匹のアホロートルが突然変態をはじめた。鰓を失い、色が変わり、陸地に這い上がったのである。その変態後の姿は既知のイモリで、それまでシレノドン・ピシフォルミスSirenodon pisciformisとよばれていたアホロートルは、じつはメキシコ産のメキシコサラマンダーAmbystoma mexicanumにほかならなかったことが判明した。
しかし、アホロートルもほかのイモリと同じように変態を行うにちがいないと見抜いた人物が、すでに早くから存在したのである。キュヴィエのライヴァルといわれ、進化論の原型をきずいたといわれるフランスの博物学者ラマルクである。
ラマルクは、フンボルトがもたらしたアホロートルの子孫が変態を行うはるか以前に、みずからの自然環境説にもとづいて、陸生の両生類が陸上環境の変化によって水中に逃げ帰り、水中で便利な鰓をもつ動物に変わりうると主張していたのである。そこでアホロートルの変態が目撃された1865年以降、ふたたびこの説が脚光を浴び、多くの動物学者たちが人工的に水生のアホロートルを陸生動物に変態させようと試みた。アホロートルの鰓を切りとって、無理に肺で呼吸させてみたり、浅い水のなかで飼って、たえず空気にさらしてみたりした。そしてついにドイツの昆虫学者マリー・フォン・ショーヴァンが、アホロートルを人為的に陸生動物に変えることに成功したという。
ちなみにエルナンデスの旅行記にあるように、アホロートルはアステカ時代以前からメキシコの人びとの重要な食料だった。生のまま売られたり、焼いてすぐに食べられる状態で売られたりすることもある。
現地の料理法はトマト・ソース、地理・ソースなどで味つけし、トルティーヤ(メキシコ風のパン)やカボチャの花で包む。ゆでても、焼いても、蒸しても、また切り裂いて、タマネギ、ニンニク、チリなどをまぶしてもよい。味はウナギに似ているという。
現地民はアホロートルを薬としても用いたらしい。結核や梅毒など、治癒に時間のかかる病気になった患者には、とくによいとされた。かつては呼吸器系の疾患のために、アホロートルのエキスを入れたシロップが売られたこともある。だが、いまもってアホロートルの薬用効果を調べた専門家はいない。
フランスで、食用のためにアホロートルの養殖が企図されたことがあったが、美観上の問題から敬遠された。しかし、もしアホロートルを養殖しようとするならば、魚と混在させないことが肝要であろう。アホロートルが魚の餌になってしまうからである。

メキシコサラマンダー
(参考文献・平凡社・著=荒俣宏 世界大博物図鑑B両生類・爬虫類)
一般にウーパールーパーと呼ばれるものは学名をアホロートル(Axolotl)という。アホロートルとは土着語で「水に遊ぶ」という意味である。
本来アホロートルは「トラフサンショウウオ」の中で幼生の形のまま成熟したものの事をいう。トラフサンショウウオの幼生は普通10cmぐらいであるが、アホロートルの場合は、もっと大きくなり27cmぐらいになるものもある。

トラフサンショウウオについて
トラフサンショウウオ Tiger Salamander トラフサンショウウオ科(虎斑山椒魚科)

アメリカ合衆国全域(ニューイングランド、アパラチア山脈、フロリダの中部および南部、ネバダ・カリフォルニアを除く)に広く分布する。もっとも普通の種であり、地方によってかなりの変異があり、いくつかの亜種に分けられている。
全長は15cmくらいであるが、地方によっては25cmぐらいになるものもある。からだは太く筋肉がよく発達している。頭部は大きく、横幅が広く、押しつぶしたような形をしている。目は大きく突き出している。4肢は太くがんじょうであるが、さほど長くはない。体色もいろいろな変異があるが、一般には黒かっ色で、背面から体側にかけて黄色のスポットやしみのような模様がある。あるものではこの黄色の模様が、トラのしま模様のようになっている。腹面は淡黄色あるいは灰色をしている。
かなりの乾燥地でも生息でき、雨の降らない乾期には、長い間穴にもぐってじっとしている。ほかの動物、例えばマーモットやプレーリードッグなどの掘った穴などに潜んでいることがよくある。このような穴は乾期でもかなり湿っているので、からだが乾くのを防いでくれるのであろう。雨の多い時期には地表に出てきて、樹皮や朽木や岩などの下に隠れている。おもに夜活動し、ミミズ・貝類・こん虫・魚・他のサンショウウオやカエル、時にはネズミの子どもなども食べる。
産卵期も地方によってまちまちであるが、北部では早春(3月ごろ)、南部の乾燥地では、雨の多い時期(11月ごろから2月ごろまで)に行われる。この時期になると、各個体がいっせいに産卵池へ移動する。乾燥地での産卵のための池は、雨期の間だけ出現するものであり、夏の間は干上がってしまう。したがって、このような地方での産卵は、雨の有無に関係する。卵は3mm前後で1個ずつばらばらにうんだり、あるいは小さな塊としてうむこともある。また、亜種では、平均50個ぐらいの卵を大きな袋状の卵嚢(らんのう)としてうむ。卵は2〜3週間でふ化し、ふ化時の幼生は1.5cmぐらいである。幼生はイトミミズ・小型の貝類・小型の甲殻類・水生こん虫・小魚・オタマジャクシなどを食べ、時には共食いもする。2〜4ヵ月で変態し、変態時の大きさは10cm前後である。

トラフサンショウウオの分布
なぜアホロートルのようなものが出現したか?
トラフサンショウウオの普通に変態を行なう幼生の甲状腺を実験的に除去すると、その幼生は変態しなくなり、この幼生に再び甲状腺を移植してやると、正常に変態することが知られている。同様にアホロートルに甲状腺を移植してやると、鰓(えら)を消失して変態することが確かめられている。したがってアホロートルは何らかの原因で、例えば水温が低すぎるとか、ヨードが十分摂取できないということで、甲状腺の働きが弱められて、変態ができなくなったのかも知れない。

(参考文献・保育社・標準図鑑全集第19巻「動物T」)