硝子成形技法 粟玉(あわたま)

粟玉(あわたま)粟の実を知ってますか?
ご飯の中に入っていたりキビと一緒におじやにしたり・・・
すごく小さな穀物と云う意味でこの名が付いたようです。
小玉より小さく糸一本しか入らないような玉で、玉スダレや玉鬘(たまかずら)・玉灯篭などに使われ、
単体で使用、装飾される事は少なく、大量に発見される事が多い。

当然従来考えられている鉄芯棒に巻きつける工法では出来ません。

奈良県の藤ノ木古墳でも、被葬者の頭の位置から腰のあたりにかけ1万個以上もの粟
玉が発見されています。
これはスダレ状のベールのような玉鬘(たまかずら)と考えられています。

この数からすると当方のようにちんたら作っていたのでは一生かかってしまうでしょ
う。
これは多くの工人の手がかかっていたに違いない・・・本当かな〜

形状的には大体揃ってはいるものの、穴の太さは一定しておらず、肉厚の物から、薄
いものまでまちまちで製法的に推測すると、吹きガラスで製作した細いガラスパイプ
を細かく切断したものと考えられる、(当HP古代ガラスの項目の中で紹介した成形
技法管玉編1を参考にされたい)

ところが成形技法管玉編1で紹介した製法では細かいシードと呼ばれる空気の泡は、
引き伸ばしの段階で細くのびガラス内に泡と確認できる状態では存在できない、では
粟玉に見られる小さな泡はどのように発生したのだろう?玉内の小さな気泡は球状で
あり製法自体の再確認をしいられる。

日本考古学会が昭和62年12月に発刊した考古学雑誌(第73巻 第2号)の中に
管切り法による小玉の成形(小瀬康行)の論文を見つける事が出来るが、この方法で
説明で微細泡の形状説明は可能であるが、管の切断後、心棒(鉄、竹、粘土)を使っ
た成形説及びエッチング(腐食)説に関する記述においては、首をかしげるものがあ
る。
ここで問題なのは、あまりにも近代的は溶融炉、ガラス、加工工具を使用する事に問
題があり、蜻蛉玉久雄で製作している工法からすると、締めくくりのコメントであん
なにも否定される事は無く、クリヤーできるであろう。
吹きガラスによる管切りに関しては良い所に着眼してると思います。それでは粟玉の
製作工程を検証してみましょう。

使用ガラスはいずれお目見えすることとなる
ここでのコメントは控えよう。

鉄とコバルトで発色させたソーダ石灰ガラス
この硬質硝子を使用して溶融成形できれば、
他のガラス組成(クリスタルガラス、カリガラス)でも
間違い無く成形できるでしょう。
坩堝は粘土型

既に素焼きは行ってある物を使用する。
基本的には熱伝導が良く、
耐火性・耐熱性に優れた物を使用するといいだろう 
当HP古代ガラスの項目の中で紹介した
成形技法 管玉編1の工法でガラス管を成形する

ガラス管にヤスリや砥石で傷を付け指で折る
(指を切る危険があるのでみんなはそんな事しちゃだめだよ)
管の中には無数の泡の筋が入り
切断面は鋭利で手を切りそうだ。
表面は通常の硝子同様つるつるしているぞ。

形状、気泡は吹きによる成形の特徴で間違いない
作った本人が云ってるのだから・・・
 坩堝の中にわら灰を入れる。

 細かく切断した管
管玉を一緒に入れる。

 細かく切断した管をわら灰の中に沈める。

量はかなり多くてもだいじょうぶだ。
今回の窯は火床を使う

坩堝を、窯の中にいれ加熱。
 坩堝が赤くなったころ棒で攪拌
ちょうどごまを炒る感じかな?

この時の棒は木の枝でも何でもいいのだ。
ときどき様子を見てみよう。丸くなったら火から下ろす。
 一応徐冷をする。(冷めるまで触らない)

出来てるかな〜?
ほらね完成〜

手と比較するとこんなに小さい
灰の中に埋もれているとまず区別がつかない
ちょっと拡大してみよう
表面は灰と接していた為ザラザラに・・・・
穴はふさがっていないようだ。
糸を通して腕に巻いてみました。
今回は切断・実験の関係上不揃い物が多く
そんな所がまた面白かったりする。

検証結果

切断した管の端は鋭利にとがっているが、玉炒りした物は全体的に丸くなっている

通常、わら灰を入れずに加熱した物はガラス同士が融着してしまい、くっついてしまうが、
わら灰と一緒に加熱した物は、わら灰が離形材の役目をしガラス同士が接することなく、玉同士の癒着は確認されない。

単にガラス管の溶融を行うと穴は塞がりただのガラス玉となってしまうが、揉み解さ
れたわら灰は穴の中にも入り、ガラスが溶け穴が塞がってしまう事も無い。
冷却後息を吹きかける程度で穴の中に入ってしまった灰は吹き飛びちゃんと穴が開い
ている。

わら灰の使用により坩堝との融着も無い。

吹きの時に確認されたガラス内のスジ状の泡はガラスの溶融時に細かく分かれ、小さ
な球状の泡となり、吹きで成形されたガラス管でも再加熱によりシード(微細な泡)
として確認する事ができた。

エッチング(腐食)ですが、2000年に薬品があるわけも無く、任意にきれいなガ
ラスをわざわざ汚くする事もないと考えると、綺麗な物が出来なかった(技術が無
かった)と考えるほうが妥当で、玉炒り成形時に表面が溶け出した表面に灰が付きざ
らざらとした表面になってしまったガラスだと見れば分かる。
(風化とエッチングは腐食・侵食の仕方が違うのが、素人目にはなかなか区別がつか
ないようです)

坩堝は形状を改良する事により一回一回降ろすことなく、中のガラス玉だけを入れか
えるようにすれば連続成形が出来る。
微細なガラス玉なので徐冷はほとんど行われなかったんでしょうね〜出土時にもろく
崩れやすいのはそのためによるものではないでしょうか?

風鈴用の小型溶融炉で風鈴の管を作る技術と窯を使いガラス管を作り、土鍋みたいな
形状の坩堝で成形すれば、一人で1万個生産するのに一週間かからないでしょう。
(そんなには作りたくないな・・・・)


備考



この方法で成形された管玉は穴の中が波打つ事が確認された。
現在心棒を使用して成形したと考えられている管玉の一部も、上記の製作方法で成形
する事により吹きガラスによる管切り玉炒りによる成形が行われていた可能性がでて
きた。

上記の小玉の作り方は蜻蛉玉 久雄で出土品資料を元に推測製作したものです。
全ての粟玉がこのような形で製作されたわけではありません。

ここの資料を元に実験や研究をして、火傷,殺傷,火災等が起きましても責任は負えません。


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