■マイクロソフト対ソニー ネット家電でぶつかる両雄
03/1/10 朝日新聞

 世界最大級の家電見本市「CES」が9日、米ラスベガス市で開幕した。高速・大容量通信(ブロードバンド)が急速に普及する中で、これまですみ分けていたパソコンメーカーと家電メーカーが、インターネットを利用した「ネット家電」の開発で正面からぶつかっている。ソフトウエア最大手のマイクロソフトがパソコン色の強い家庭内通信網の構想を打ち出せば、家電大手のソニーはテレビ中心の通信網構想を提案。「両雄」の対決色が強まっている。

 「テレビこそが、ブロードバンドの中心になる

 ソニーの安藤国威社長は、9日の基調講演でこう宣言した。前夜に、マイクロソフトの幹部が同じ会場で「(家庭ネットワークの)中心になっていくのはパソコン(PC)だ」と力を込めたのと対照的な講演になった。

 今年夏公開予定のソニー・ピクチャーズエンタテインメントの新作「チャーリーズ・エンジェル2」に出演する人気俳優ドリュー・バリモアさんを登場させるなど趣向をこらした基調講演で、安藤社長は、テレビが家庭内のさまざまなネット家電をつなぐ中心機器になるとの構想を説明した。

 日本で昨年11月に発売したチャンネルサーバー「コクーン」を世界的に展開していく意向も表明。番組録画などでテレビの使いやすさを向上させる仕組みを説明したほか、パソコンとテレビとを無線通信でつなぐ「ルームリンク」など、テレビ中心に広がるネット家電の将来像を描いてみせた。

 一方、マイクロソフトは昨年来、急速にネット家電の主導権を握る戦略を強めている。パソコン用の基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」をベースに、音響・映像(AV)機能を充実させた「ウィンドウズXPメディアセンター」を発表。テレビのリモコンを操作するようにして、テレビ画面上でパソコンを操作し、ビデオ、デジタル写真、音楽、DVDなどを簡単に楽しむ仕組みを提案し、売り込み攻勢をかけている。

 マイクロソフトは8日、日常的に持ち歩き、無線で天気・交通情報・ニュースなどを取り込める腕時計型などの携帯情報端末(スポット)の詳細を発表した。これに対し、ソニーの安藤社長は、利用者が持ち歩いて様々な用途に使える携帯型コンピューター端末「バイオEQ」の構想を約1500人の聴衆の前で紹介した。

 基調講演の後の記者会見では、記者から「マイクロソフトとの対決姿勢を強めていくのか」との質問が相次いだ。安藤社長は「マスコミが扇情的に取り上げているだけ」と受け流したが、一方で「バイオEQは、ビル・ゲイツが目指している聖域に触れたんじゃないかな」「消費者向けの領域では絶対に勝つ自信がある。消費者の目は肥えている」などマイクロソフトを意識した発言も目立った。