モリスダンスという中世から続く伝統芸能がありますが、この伴奏として演奏されるモリス・チューンやフォークダンス的なイングリッシュ・カントリーダンス・チューンをベースとしています。イングリッシュはD/GのメロディオンやD/Gの2ロー半の他、G/C、D/Gのコンサティーナもよくつかわれます。5度チューニングのため左手のベース&コードをフルに入れる事が可能なので左手部の演奏も趣向を凝らしたものが増えてきました。コンサティーナの演奏も右手でメロディ、左手でコードを入れることが多いです。
アイリッシュ・トラッドにアコが導入され、バンドの花形になったのは割と最近のことのようです。
アイルランドのアコーディオンはどこよりも独自のスタイルで変化してきました。古い録音などではイングランドのスタイルとあまり差のない弾き方をされてきたようで1列のアコーディオンもよく使われています。現在はアイリッシュというとB/Cといったキーの選択が一般的ですが、そこに至るまでも様々なものが入り乱れていたようです。ピアノの配列を模したC/C#等もよく使われていました。しかし、アコーディオンをメロディオン的なダイアトニックな楽器として捉えるか、あるいはC調を基本としたピアノ的な楽器とした楽器として捉えるかで、スタイルは2分していったようです。
前者の"アコーディオンをメロディオン的な楽器として捉えるスタイル"というのはいわゆる"リズミックスタイル"と呼ばれるものです。具体的に言えば、アイリッシュで一番多いD のキーの曲をずばりDあるいはC#/D(Dのキーを基準に半音の列を足す事で他のキーの演奏をカバーすることができる)の楽器で演奏し、左手のベース&コードも効果的に入れることが多いようです。このスタイルはよりパーカッシブでビートを強調するところに特徴があり、非常にパワフルな印象があります。ケリー州など一部ポルカやスライドの盛んな地方ではこの"リズミック・スタイル"の偉大な奏者を多く排出しているようです。(ジャッキー・デイリー、トミー・マクマホン、シェイマス・ベグリー、コナー・キーン、などなど。)
また、後者の"C調を基本としたピアノ的な楽器"として捉える、B/Cのアコーディオンの奏者はよりなめらかでメロディックなスタイルの演奏をすることが多いようです。(ジョー・バーク、シャロン・シャノン、アルタンのダーモット・バーンなど)
個人的な見解なのですが、アイリッシュのアコーディオンの奏法はドローンやコードなど、イリアンパイプの奏法を模しているように思えます。
コンサティーナは基本的にG/Cコンサーティナが使われます。
同じ機種でもD/GとB/Cのキーでは呼び名が違う?
ダイアトニック・ボタンアコーディオンを「Melodeon」と呼ぶのはイングランドの中だけのようで、アイルランドでは1列のダイアトニック・アコーディオンだけを「Melodeon」と呼びます。また、同じ機種のアコーディオンであっても、キーの違いだけで、アイルランドとイングランドではアコーディオン、メロディオンと呼び名が違ったりします。これは単に呼び名だけの違いだけではなく、移動ドを基準とした発想の「メロディオン」、絶対音階(C)を基準にした発想のアコーディオンの違いとも考えられます。まどろっこしい話ですが、最初は私にとって素朴な疑問でした。要は外見が同じ2ローでもD/Gはメロディオン、B/C、C#/Dはアコーディオンと呼ぶのです。
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