バティックのカンタン解説


日本では古くから「ジャワ更紗」という名で親しまれている
インドネシアのろうけつ染め「バティック」
ジャワ島を中心に作られているインドネシアの伝統工芸品です


■ バティックはこんな順番で作られています ■



■ バティックの種類 ■



*** 手描バティックの工程 ***
(中部ジャワ・ソロ)

手描バティックとは、文字通り人の手によって描かれるバティックを指します。
下絵から模様を興した精密なものから、直接、蝋で描く粗いものなど、
様々なクラスのバティックが存在します。

白場を生かしたテンボックならチレボン、装飾模様イセンの精密さならプカロンガン、
深い染めの伝統文様ならジョグジャカルタ・ソロでしょうか・・。
マドゥーラやラッスム、インドラマユの躍動感溢れる作風にも、
興味深いものがあります。

それぞれの産地によって、その技法は異なり、
様々な表情をみせてくれる手描バティックです。


白生地に下絵を描き、輪郭を蝋描きする


輪郭・装飾・地伏せは、
それぞれ専門の職人が分業で担う

色数の分だけ染・洗・蝋描を繰返す


2回目の工程


装飾模様イセンの仕上げ


*** 型押バティックの工程 ***
(中部ジャワ・ソロ)

型押バティックとは、銅版を使い蝋で文様を描くバティックを指します。
銅版自体も専門の職人が銅板を加工して手作りしたものですので、
どこか線が柔らかく、人の手の温もりを感じることができます。

大量生産が可能な機械プリント布に押され、残念なことにめっきり数が少なくなっていますが、
表面と裏面を合わせて版を重ねる技法は、まさに職人芸。
素朴で味わい深いバティックです。



銅版に蝋を浸し、白生地に押し当てる


継ぎ目をあわせるのが職人の技術


銅版チャップは、工房独自の注文品


表と裏用に対の版が作られている


整然とした美しさがチャップの特徴


螺旋状の花なども作られる


チャップを施した後に青を染め、
その後に手描を加える技法コンビナシ


*** サブロナンの工程 ***
(中部ジャワ・ソロ)

サブロナンとは、シルクスクリーン方式で下絵を描いたバティックを指します。
(別名Batik Catat)
白生地に布と同等の大きな版で下絵をプリントし、染色をします。
中にはその上に手描を施したコンビネーション仕上げもありますが、
殆どはプリントした模様のみのものが主流です。

量産が叶うことから、
最近ではジョグジャカルタ・ソロ・プカロンガンを中心に、
どこの産地でもサブロナンが多くみられます



実寸大の版を使いプリントされる


様々な模様の版がある


黒でプリントした後に水洗いし陰干し


下絵がこのような状態に仕上がり
その後に染色される


画像でご紹介しておりますソロの工房では
シルクスクリーンで絵付けした後、型押や手描バティックと同様の制作工程を重ね、
伝統のソガ染めで染色を施しています。

サブロナン=プリント・バティックといっても
上記のような工程で仕上げられているバティックもあれば、
ロール状の反物を機械に通して大量にプリントされたバティックもあり、
玉石混合です。



*** バティックの材料 ***


手描バティックの白生地
プリミシマと呼ばれる
インドネシア製の上質木綿の白生地です。
4種類のクラスがあります。



バティックの線を描くチャンチン
ポット状の部分に熱した蝋を入れ、
細い口から蝋を出して線を描きます。
数種のチャンチンを使い分けます。

小さなコンロで蝋を熱して
バティックを施します。


蝋の原料マラム
装飾用、伏せ地用、線引き用と
3種の蝋が使われます。



*** 白生地の下処理 ***

バティックを施す前に、白生地を精錬します。
精錬を充分にすることで、染めを安定させ、すべらかな質感が生まれます。

産地によって、その方法は様々ですが、中部ジャワやマドゥーラでは
白生地に熱湯をくぐらせ不純物を取り除いたのち、
豆油汁や灰汁、黒もち米の汁などで練り、砧打ちを施します。

北岸の産地では豆油汁や灰汁、ソーダで練り、
砧打ちは施さないことが多いようです。


*** バティックの染料 ***
中部ジャワ・ソロ)

バティックといえばカイン・ソガン。
中部ジャワの伝統的な茶色のバティックです。

今でも天然染料で染めている工房もありますが、
殆どは合成染料に変っています。



茶の天然染料ソガン
主にジャンバール・ティンギ・トゥグランなどの
3種の木から煮出した染料を
使用します。

その調合によって、赤系・黄系・黒系と
それぞれ独自の茶色が生まれます。


茜の天然染料パチェ(ヤエヤマアオキ)
青はインド藍、
緑はアカール(草木の根)などが

かつては使われていました。
その他、地域によって
様々な天然の染料が使われています。


*** 染色の工程 ***
(中部ジャワ・ソロ)

工房ではバティックの作業場に染色場が隣接しています。
染色は男性の仕事。
熱く煮えたぎった釜場の仕事は大変です。


蝋を落とすのに使われる釜

ドラム缶など使い、熱湯で蝋落としをする

染色後の水洗い

染めムラなどをチェック

水洗い完了

これから干します

風にゆらゆら

染色・蝋落とし・水洗いを繰返す

工房内の干し場

外にも干し場




■ バティックの種類と用語 ■



■ バティックのデザイン参考例 ■

*** カインパンジャン ***

布一面に同一文様が描かれています。
身体に巻きつけて着用するため、やや長め(240センチ〜)になっています。

上質なものほど、長めに作られています。


*** サルン ***

サルンの場合は、このように2種の文様が配置されています。
小さな文様部(濃紺)はクパラ、全体部はバダンと呼ばれ、
着用時に、前面と背面に2種の模様が出るように作られています。

筒状に縫い合わせて着用するため、やや短め(200センチ前後)となっています。
上質なものほど、長めに作られています。


*** パギ・ソレ ***

カインパンジャンと同様のサイズに、
左右異なる文様、または上下に異なる配置で描かれています。
最近では作られなくなっており、アンティーククラスの
バティックに多いデザインです。

上質なものほど、長めに作られています。


*** スレンダン ***

肩掛け布として作られているスレンダンは、
通常、左右端部に細い線や三角模様のトゥンパルが描かれています。
幅は約55センチ、長さは150〜220センチ前後。
上質なものほど、長めに作られています。






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