奥秩父西部   ―静かな森の道をたどる―
   三宝山2483m〜甲武信岳2475m〜国師岳2592m〜北奥千丈岳2601m〜金峰山2599m

  夏休みの残りが2日残っていたので、秋の連休にくっつけて取ることにしました。本当は北アルプスに行こうと思ったのですが、天気があまり思わしくなさそうなので、まだ好天が期待できそうな奥秩父に行くことにしました。今回も秩父側から入り、そして今度は甲武信の先へと歩いてみることにしました。
1日目  Date:2003/9/11   晴のちくもり
栃本関所跡発10:45−(昼食15分)−白泰山避難小屋14:15/14:25−十文字峠18:20     歩行合計時間:7時間10分

2日目  Date:2003/9/12   晴のちくもり
十文字峠6:35−甲武信岳9:45/10:15−(休憩10分)−国師岳15:30−北奥千丈岳15:40/15:50−大弛峠16:25    歩行合計時間:9時間00分

3日目  Date:2003/9/13   くもりのちはれ
大弛峠5:55−朝日岳7:00−金峰山8:10/8:30−(昼食20分)−大日小屋11:00−瑞牆山荘バス停12:10    歩行合計時間:5時間35分

写真は上から「栃本関所跡から雁坂峠方面を望む」  「大山から小川山方面を見る」  「ガスから現れた五丈岩」

wokuchi1 1日目  三峰口から西武観光バス・秩父鉄道バスと乗り継ぎ、栃本関所跡で降りる。天気が良くて真夏のように暑い。雁坂峠方面がきれいに見える。関所の横から車道を上がる。しばらく車道を歩いて行くと、登山口に着く。ここから杉の植林帯を登って行く。ものすごく暑い。一度林道を横切りなおも登って行く。かなり登った頃、広葉樹林の森になる。更に高度を上げていくと針葉樹林の森に入る。相変わらず暑い。適当な場所がないため、立ったまま食事を取る。虫が多い。12時を過ぎて曇ってくるが湿度は相変わらず高く、汗が滴り落ちる。

  13時30分頃に白泰山頂上の下を通る。しばらく暗い森を歩くと、白泰山避難小屋に着く。その横にのぞき岩という展望地がある。和名倉方面が見えるがガスが上がってきていて、その姿を隠してしまう。それから長々と続く針葉樹林の道を坦々と辿る。ほとんど変化がなく、当然展望もない。たいした登りはないが、とにかく長い。行けども行けども終わりにならない。途中で舗装されていない林道に出る。しかしいつのまにか林道は消えてまた山道になる。途中、トリカブトがたくさん咲いている個所があった。白い花もある。だんだん日が暮れてくるが、なかなか十文字峠に着かない。四里避難小屋を過ぎたあたりで暗くなり、ヘッドランプを着ける。それからしばらく歩くと、川又からの道を合わせ、それから縦走路へ出る。そこから少し下ると十文字峠小屋があった。

  小屋に着いたときには既に真っ暗になっていた。小屋番の男性はこんなに遅く到着する者がいるとは思っていなかったようで、驚かれる。栃本からのルートは長いので、普通、8時間はかかる、という。今日は小屋には客はいないようだった。テントも他になかった。夜は暖かかった。途中でテントの外がひどく明るいので外を見ると満月が昇っていた。 kobushi1

2日目  朝はよく晴れていた。テントを撤収して歩き始める。道はゆるやかに登って行く。しばらく登ると大山に着く。小川山方面が良く見える。その左に甲斐駒が覗いている。八が岳もきれいに見えていた。そこからいくつかピークを登り下りをしていくと、三宝山が近づいてくる。なかなか大きく、深い森に包まれている。しかしこのあたりでガスが出てきて行く手の展望をさえぎり始める。このあたりではじめて人に会う。三宝山の登りはゆるやかなので、あまり登っているという感じがしない。着いた山頂は展望はない。すこし下って、しばらく歩くと甲武信の登りにかかる。少しの登りで山頂に着く。だれもいない。ガスにつつまれ展望もない。

  甲武信の山頂で食事をしていると、毛木平から来たという人が登ってくる。食後出発する。森の道を下っていく。千曲川源流の道を分けてからは、展望もない、とにかく長い森の道を辿ることになる。ちいさなアップダウンを繰り返す。唯一の展望地の富士見からは富士は見えなかったが、ガスが晴れた南面の大菩薩や御坂の山々、遠くに丹沢も見ることができた。そこからまた展望がなくなる。長い縦走路を歩いて行くと、行く手に国師が大きく立ちはだかっているように見える。いくつかのピークを超えて最後の国師の登りにかかる。かなりきつく長い登りだった。最後に登りきった国師は静かな山頂だった。誰もいない。すぐ目の前に北奥千丈岳が見える。

  国師の山頂を過ぎて少し歩いたところで分岐を左に入る。わずか5分で北奥千丈の山頂に着く。わずかに森林限界を超えていて這い松に囲まれた山頂にはいくつかの岩がある。奥秩父の最高峰は誰もいなくて静かだった。金峰はガスにつつまれているが、小川山方面が見えていた。来た道を戻り、分岐を大弛峠に向かう。少し下ると、工事中の標識があり、直接下る道は通行止めになっていた。夢の庭園のルートを下る。木の階段は歩きやすく、ながめも良い。それから森の道を少し下ると大弛小屋に着く。結局、甲武信から大弛峠まで誰にも会わなかった。テントは他にないので、好きなところに適当に張って良い、と小屋番の女性に言われる。テント場のすぐ下が車道だった。既にいくつか車が止まっていた。
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3日目  3日めの朝は厚いガスに閉ざされていた。気温が下がっている。テントを撤収して歩き始める。はじめは軽い登りだった。雨は降っていないが、木々についたしずくが風に飛ばされて雨のようにばらばらと落ちてくる。小さなアップダウンを繰り返し、朝日峠からしばらく登っていくと朝日岳に着く。風が強く、濃いガスがたえまなく吹きつけてくる。本来は金峰方面がきれいに見えているはずだが、何も見えない。そこからいったん下り、森の道を辿って行く。しばらく歩いて、金峰への最後の登りにかかる。ゆるやかな道を辿ると森林限界になり、強風が吹きつけてくる。ガスが濃いため、山頂がどこかもわからない。しばらく道をたどるとやがて大きな石が積み重なった個所に出る。大岩の下をくぐったところに山頂標識があった。

  山頂はひときわ風が強かった。誰もいない。ひっきりなしにガスが吹きつけてきて、じっとしていると寒い。標識の写真を撮った後、少し下ると、急にガスの中から巨大な岩のかたまりが姿をあらわす。そのあまりの大きさに声を失う。空が明るくなり、一瞬薄日もさしてくる。青い空をバックにした五丈岩は神秘的で、そしてこれまで見た何物にも似てはいなかった。しばらく五丈岩の前で立ち尽くしたが、またガスが厚くなり、空も青さを失ってしまった。五丈岩の脇から下ると、ほんの少し下っただけでもう五丈岩はガスの中に見えなくなる。しばらく岩稜帯を下っていく。西側は森林限界が低く、なかなか森の道に入らない。金峰小屋の道を分けて、なおも下っていくと、やっと森が始まる。

  そこから針葉樹の森を下る。途中で空腹になったので、森の中の空き地で食事にする。今日は土曜日なので、登ってくる人が多い。食事をした場所から少し降りると大日岩に到着する。これも大きい。ベンチがあり、休んでいる人もいる。大日岩の横から下る。大日岩の基部に見晴らしがよい個所があった。瑞牆山の岩峰群がガスの中から一瞬姿を現す。しかしすぐにガスにつつまれる。そこからしばらく下ると大日小屋につく。そこから森の中のゆるい登りになる。しばらく歩くとゆるやかな下りになり富士見小屋に着く。ここから広葉樹の森を下っていく。林道を横切り、なおも下っていくと、ほどなく瑞牆山荘前に着く。いつのまにか青空が広がっていた。
  展望はあまり得られませんでしたが、雨にも降られること無く長い縦走路を歩きとおすことができました。これで雲取山からの奥秩父縦走路をすべて歩きとおしたことになります。今回、一番登りたかった奥秩父最高峰の北奥千丈の山頂は、とても静かでいつまでも座っていたいと思えるような場所でした。大弛峠まで車で来たのでは、何の変哲も無い地味な山頂に過ぎないかも知れませんが、甲武信からの長いルートを経て辿りついた私にとっては何よりも大切な場所に思えました。

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