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13年ごとの軌跡
M & M house・2002
「M & M house・2002」の設計は、「自邸+事務所」の3階アトリエに於いて進められた。そのアトリエの南の庭部分に計画するので、実質的な敷地は目の前にある。敷地のほぼ中央に配置されていた「自邸+事務所」から見ると、南の庭は9m程の奥行きがあっても樹木が育ち、建築をするにはとても狭く感じられた。今までの空きスペースに計画する方法は「空から実への変換」であり、新築計画の工事が完了し、今居るところの解体整備は「実から空への変換」である。「現在から未来への変換作業」は始まった。
敷地図と「自邸+事務所」の設計図と土地分割案を見比べ、庭先やその前の路地を何回も往復し、屋上から眺め回してのエスキース作業であった。幅20m、奥行き10mの横長の敷地にアプローチの路地が取り付く敷地は妙なL型をしている。この妙なL型敷地に想定したことは、設計意欲をあげるひとつの要素でもあった。
「自邸+事務所」は眺望と独立性からアトリエが3階、訪ねてくる人々に「住まいが下でアトリエが上で珍しい」と言われてきた。(普通はお店が下の階なのでしょう。)「M
& M house」では周辺に広さのある庭を設定することが困難であることから、住宅部分を上の階に、アトリエを半地下とした三層構成、半地階+2階建て、スキップフロアーの断面スケッチが始まった。
基準寸法は「最小限住居」の5.4m×5.4m(18帖)をベースに3帖を意識しながら4帖半を感じ、18帖のユニットを展開する設計である。主空間は18帖、18帖÷2=祖母の部屋、18帖÷3=個室、18帖×2=アトリエで、2階部分は「最小限住居」の吹抜けを感じられる空間構成とした。南側の細い路地(公道)に接近した配置計画であるため、その路地に合ったスケールの建築が必要であり、低く小さなスケールが求められた。高さを低く押さえるために、コンクリートスラブの直天井にすることを決め、全体をRC構造とすることを決定した。
主空間の10.8mのスパンをフラットスラブ構造の直天井、2本のRCの小柱とダブルコアが支える。サブ空間は壁量の多いダブルコアで、設備と階段5.4m×3.9mのスペース、全体は18.6m×5.4m平面の直方体の上に45度勾配の三角屋根が乗るフォルムである。半地下+2階建ての高さは、2.6m+2.6m+2.4m+屋根で、GLから-1.2mをMBFLとして、軒高6.4m、最高高さ8.65m、三層構成としているが、一般住宅の2階建ての高さに押さえている。
「M & M house・2002」建築の構成要素は、BE(ビルディングエレメント)+ IE(インテリアエレメント)+
EE(環境エレメント)である。
BE(ビルディングエレメント)
1. 開口部(外部に面する建具は3種類)
建具01:光(嵌殺し)と風(片開き)の組合せ窓(18ヶ所)
建具02:350@角の小窓(28ヶ所)
建具03:出入口のドア(5ヶ所)
2. 樋と小庇
三角樋:スチール300×300×160×9 グラファイト塗装
窓小庇:スチールL-125×75×7 グラファイト塗装
3. 庇と設備台
コンクリートの片持ちスラブ、庇と設備機器の置台
IE(インテリアエレメント)
1. 階段(透明感のあるスキップフロアーの階段)
踊場:コンクリート造、段板:ナラ集成材280×36UC 2R+T=621@
2. コーナー(ゆとりのスペース)
1階デスクコーナー、2階デスクコーナー
3. 造付家具(キッチン、洗面台、収納家具は木製家具工事)
収納家具: 900@モジュールユニット化(側板15@組合せ式)
EE(環境エレメント)
1. 路地(南側の路地は法42条2項道路)
後退部分:地覆植物(ビンカマジョール)
見切材:「M事務所+M住宅」の既存石再利用
サイドコート:ブンゴザサと雑木(四季のうつろい)
2. アプローチ(北側メインアプローチ)
パスコート:さびみかげ石(60@厚)、枕木(ユウカリ、120@厚)のペーブメント
3. 掲示板
町の掲示板:スチール1800×1950×100 グラファイト塗装、ガラススクリーン10@
「M & M house・2002」は1月末に新築部分が完成し、移転後に「自邸+事務所」の解体工事と周辺整備工事を行い3月末に竣工した。「路地や町並みに溶け込むような建築」をテーマに設計、竣工して半年が過ぎた。
「だいぶ周辺にもなじんできた」と感じる現在である。
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