建築問題公開セミナー                          
 施工者から見た悪い建築主?悪い設計者?   【 記 録 】

パネリスト (建築主)被害者 K (建築家/アドバイザー)柴 和彦 (弁護士)高橋謙治
     (建築主/構造家)松岡浩一  (ライター)田中文世  
ディレクター (建築家)江口征男 (施工者)後関和之 (弁護士)中野剛史
コンダクター (建築家)河野 進
日時   1999年12月09日(木)18:00〜20:00(前半 講演、後半 Q & A)
会場   弁護士会館 10階 1003号室(千代田区霞ヶ関1-1-3)
主催   99建築問題研究会 / 幹事 / 稲垣隆一(弁護士)、米田耕司(建築家)、増沢幸尋(建築家)
         4:30 準備係は集合 (椅子、掲示、マイク調整)
         5:30 受付開始 
6:00
   ●開会あいさつ(稲垣弁護士)
   ●配布資料の説明 
6:09
   ● 補足説明(米田氏)
      ・建築家と弁護士のスタンスの違い、一致点を探る。
6:13  
   ●コンダクター/河野氏の問題提起
      ・今までの2回は議論中心、今回は事例を題材にバトルを!
6:15
   ●パネリスト/高橋弁護士
    K氏の事例紹介
      ・土地を最初に購入、地元の施工会社を下見、請負契約〜施l工〜竣工
      ・部屋のコンセントの隙間風を調べ始めて、基礎パッキンの施工不良を発見.。竣工2ヶ月後。
      ・不安に感じて、欠陥住宅の苦情相談を受けた。
      ・現在、控訴中。
6:20
   ●パネリスト/柴 氏 K氏の住宅の調査報告、OHPの写真を見ながら。 
      ・在来軸組木造の住宅。
      ・外観写真2枚、一見支障なし。
      ・不同沈下5B、欠陥を発見したきっかけは室内コンセントの隙間風から、床下調査。
      ・施工中の基礎、土間コンクリートの施工写真、目視では問題ない写真。
      ・施工者は地耐力3t/Fのサウンディング試験データの提示あり。
      ・土間コンクリートの厚み調査写真、施工不良。
      ・基礎パッキンの施工状況、アンカーボルトの施工未完、パッキンの施工はずさん。
      ・設備工事が火打ち土台を破壊した写真。
      ・小屋組みの不良箇所の写真。
      ・断熱材の施工がずさん。
      ・外壁内換気の方法を理解していない施工。
      ・レーザー測定器による測定実施写真、垂直、水平、各所に問題。
   ●コンダクター/河野氏
      ・続いて、K氏に解説をお願いします。
6:45
   ●パネリスト/被害者K氏
      ・千葉の地方裁判所の法律相談:問題を起こした工務店が紛争委員の経験あり
                     →相談にのってくれない。
      ・千葉県の建築相談会:具体的な相談にはのってくれない。     
      ・警察:ダメでした。
      ・そして欠陥住宅110番にたどり着いて、やっと問題点がはっきりしてきました。            ・消費者のとって、なかなか相談窓口がないと実感しました。
      ・行政側は逃げ腰です。
      ・主には敷地の不同沈下と基礎、土台廻りの施工不良が相関している欠陥です。       
6:53
   ●パネリスト/松岡氏
      ・建築構造家で最近、自宅を建てました。
      ・構造家であってもK氏の問題と同様に、地盤には苦労をしました。
      ・地盤の調査をしない敷地は、役所では一律に3t/Fの地耐力を認めています。
      ・実際には3t/Fもない地盤もあります。
      ・地盤に対する考え方には、とても問題があります。
6:57
   ●パネリスト/田中氏
      ・仕事がら、住宅作りに成功している例の取材が多い、欠陥住宅の発生にも興味あり。
      ・どうすれば、住宅作りに成功するかの要素(取材した実例から)
          ○ユーザーとして、勉強家が多い
          ○自分のライフスタイルがしっかりしている
          ○よりよい選択肢を求める頑固な人が多い
          ○良い住宅を施工している施工者に依頼している
          ○友人から住宅問題に関連している情報をきちんと得ている
      ・サクセスのキーは
          ○時間をかける=急がないという要素ではないでしょうか。
7:05
   ●パネリスト/高橋弁護士                                          ・ K氏の事例は住宅としての最低条件を満たしていないもの。
      ・施工者の責任が大である。
      ・消費者の無知や不勉強のせいではないと考えています。
7:06
   ●ディレクター/江口氏(建築家)
      ・建築の悪に潜むことに関して、消費者は勉強する必要はないという高橋弁護士の指摘には
       共感します。
      ・それをハウツーブックで勉強する必要はないと思う。
      ・消費者の視点にたつと、どんな選択肢があるかの情報の問題でもある。
   ●コンダクター/河野氏
      ・K氏の事例は、トラブル防止マップのBルートの問題にあてはまります。
7:08
   ●ディレクター/後関氏(施工者)
      ・ K氏の事例は欠陥というより手抜き工事といってよい。
      ・施工に携わった集団全般が未熟工だったと言える。
      ・アメリカのチェック体制はもっときびしい。
      ・品質確保促進法に期待はしている。
7:15
   ●ディレクター/中野氏(弁護士)
      ・ K氏の事例では、千葉での各所の対応は弁護士として疑問に思う。
      ・設計、施工、監理の責任追究の問題と消費者の自己防衛の方法を考えていかなければ。
      ・原因が判明した時に、どのような方向性をもつかも難しい問題です。
10分休憩
7:25
   ●パネリスト/被害者K氏
      ・施工をした会社のほかの施工例は見ていませんが、お隣に施工をした会社です。
      ・問題が起こってからの、施工者の対応な無知、無責任。
      ・確認申請書の設計者、工事監理者は設計、施工一貫で。
      ・金融公庫の融資付き、中間検査も行った。
      ・現場監督、設計士に対しても大いに不満であった。
   ●パネリスト/柴 氏
      ・基礎パッキン工法の追加説明。(平成8年の認定品)
7:36  ー会場からの質問を受けてー
   ○質問01 何を基準に施工者を選んだのですか?
   ●パネリスト/被害者K氏
        地場での実績を見てということですが。
   ○質問02 1600万円の工事費は妥当でしたか?
   ●パネリスト/被害者K氏 
       延べ、92F(30坪弱)、工期10/20〜03/29、冷暖房別途
   ●ディレクター/後関氏(施工者)
       一般的な建て売り住宅との価格としては妥当、工期も普通。
   ○質問03 他の例ですが、設計者がのんびり仕事をしていて困っているという質問?
   ●ディレクター/江口氏(建築家) 
       設計と施工は別契約ですか?そうであるとすると、その設計者に責任は大いにあります。
   ○質問04 売り建てマンションを購入したい、その手順は?
   ●ディレクター/後関氏(施工者)
       信頼できる設計監理者に依頼すべき。(意味が違うかも!)
   ○質問05 K氏の事例の欠陥発生のポイントは?
   ●パネリスト/松岡氏(構造家)
       やはり地盤の問題が大きい、なかなか難しい問題です。行政の対応も含めて。
   ●パネリスト/柴 氏 
        K氏の事例は公庫の割り増し融資も受けてたが、K氏には知らされていませんでした。          公庫の仕様書も添付されていますが、実質がともなってこない。
       今回の調査をしてみて判ったことは、調査に関する建築士の能力や資質にも力をいれるべき        だと感じました。
○会場からの質問をまとめて コンダクター/河野氏 
       住宅は竣工してすぐには、住み手はある種の満足感に酔う時期があって、その内冷静になっ        てくると、質の問題になってきます。信用できる設計者や施工者にどのようにアプローチし        たら良いか、コストは最低限のことで良いかなどの問題があります。
   ●パネリスト/田中氏 
       家づくりには一般論がないということでしょか。
   ●ディレクター/後関氏(施工者)
       品質確保促進法は、ある程度救いの手だてとなるのでは。 ●幹事/米田氏(建築家)
       確認申請は図面上の合法判定、竣工検査(検査済証の取得)は品質確保の重点材料、来年度        から中間検査制度が実施されるが、住宅規模には適応されていないのは問題。
       品質確保促進法は万能ではない、第3者の監理を立てることによって、担保するととらえた        方が良い。
しめくくり
   ■幹事/稲垣弁護士
      最後の方の議論が実は消費者にとって切実な問題ではないでしょうか!
      一定の水準以下のものはダメなのか!第3者監理の良さは判っても誰に依頼いたら良いのか!
      その保証はどのように担保されるのか!
      そのシステムの構築が是非必要であると考えていある。
      今回をもって、6月、9月そして12月と続けてきた99建築問題研究会の公開セミナーは、ひと      区切りではありますが、もっと掘り下げて細部の研究を重ねていこうと思っています。
8:10 終了

建築問題公開セミナー 第3回                       

 建築主から見た悪い設計者?悪い施工者?を振りかえって 

  • 被害者K氏の具体例、OHPの写真、調査をした柴氏の解説、高橋弁護士の法律的、社会的追究と多くの視点と密度によって、欠陥を抱えた住宅の問題点の大きさを再確認できました。
  • それに加えて、構造家のパネリスト松岡氏の専門家としての構造の見識とややもすると、専門家でも陥る可能性のある構造欠陥問題という性質が判ってきたり、ライターのパネリスト田中氏からの住宅と言っても幅がとても広く、成功する住宅作りは「いそがない」のがコツという名言を聞けたり、収穫ありというところ。 
  • 中間検査の問題、竣工検査を受けない問題点などが強く指摘されました。
  • 「悪い」何々というキャッチフレーズで議論を重ねてきましたが、その実、「良い」を探すことの難しさも判ってきました。「確実な」、「着実な」設計者や施工者はどこにいるのか、それを探す方法は?という疑問も多く発生してきました。そして昔に比べて、専門職種にかかわる人々が専門的なことを知らずに、仕事をしていたりすることもあります。他の職種や元請会社に助言や指摘をする職人気質も少なくなってきています。やはり数や量の論理で早く仕上げることを優先してきた弊害と言っても良いでしょう。
  • 3回の公開セミナーでは業務の発注形態別にそのフローとトラブルの発生を表示したトラブルマップ(建築家/江口氏作成)を、このセミナーでは毎回題材として使用させていただきました。それも回を重ねるたびに若干修正、加筆して最終的には、指針となる「トラブル防止マップ」が完成してきています。
  • 第3者監理の必要性も議論になって、これから具体的な方法を考える段階にきています。普通に「第3者」という言葉は他人とか関係者以外のことです。ただでさえ建築作りの「しくみ」がわかりにくいのに、もうひとつの要素を加えることは、よほどイメージ良く伝えることが出来ないと失敗する恐れがあります。インスペクター、チェックマン、良いイメージとその2重、3重監理のシステム作りが望まれます。
  • 建築主、設計者、施工者のトライアングル、三つ巴に弁護士が加わり、四つ巴の議論は大いに社会的な意義のある会になっていたと言えます。そしてさらなる具体的な動きが必要とされています。
  • 第3回目の公開セミナーはパネリスト5人、ディレクター3人、コンダクター1人、幹事3人という出演者12人というキャスト、多くの人から多くのことを学んだという印象。
  • そこから得たいくつもの問題点、方向を示唆するいくつものヒント、これらを糧、エネルギーとして研究会の次のステップに登っていくことが必要。 

                              (◆99建築問題研究会/幹事/増沢幸尋)

99建築問題研究会
■幹事
〒104-0028 中央区八重洲2-10-10-6F        
稲垣隆一法律事務所 稲垣隆一  TEL 03-3279-0300 FAX 03-3279-0301 
E-mail rina@cc.mbn.or.jp
〒154-0012 世田谷区駒沢3-2-8
米田耕司建築研究室 米田耕司 TEL 03-3412-5651 FAX 03-3412-5652
〒151-0065 渋谷区大山町16-16
増沢建築設計事務所 増沢幸尋 TEL 03-3468-4331 FAX 03-3468-4389
E-mail JDR05361@nifty.ne.jp  HP http://homepage1.nifty.com/masuzawa/
◆パネリスト
被害者 K 小嶋利昭 
〒170-0013 豊島区東池袋1-47-2-302
柴建築設計事務所 柴 和彦   TEL 3590-0633   FAX 3590-2115
〒104-0061 中央区銀座1-8-21
土屋綜合法律事務所  弁護士 高橋謙治  TEL 03-3567-6109 FAX 03-3567-6110
〒169-0075 新宿区高田馬場2-9-12
STR構造設計    松岡浩一  TEL 3209-2840 FAX 3209-2401
ライター    田中文世  
◆ディレクター
〒105-0022 港区海岸1-6-1-729
江口征男建築設計事務所 江口征男   TEL 03-3431-9738 FAX 03-3431-9739
E-mail BYA14105@nifty.ne.jp eguchi@sol.dti.ne.jp
HP http://www.sol.dti.ne.jp/~eguchii/index.html
〒132-0023 江戸川区西一之江3-39-21
大和工務店 後関和之  TEL 03-3651-2474 FAX 03-3651-2482
E-mail goseki@msn.com  HP http://www.daiwa-koumuten.co.jp 
〒102-0012 千代田区飯田橋4-7-11-302
中野剛史法律事務所 中野剛史  TEL 3556-7373 FAX 3556-6787
E-mail PXM03746@nifty.ne.jp
◆コンダクター 
〒102-0072 千代田区飯田橋4-1-7-4F
河野進設計事務所 河野 進  TEL 03-3221-7561 FAX 03-3221-7562
E-mail kohno0su@coral.ocn.ne.jp