建築問題公開セミナー                          
 施工者から見た悪い建築主?悪い設計者?   【 記 録 】

パネラー (建築家) 石川正三、松枝雅子、山中誠一郎
ディレクター (施工者) 後関和之 (弁護士)高橋謙治
コンダクター (建築家) 河野 進
日時   1999年9月08日(水)17:30〜20:00(前半 講演、後半 Q & A)
会場   弁護士会館 10階 1003号室(千代田区霞ヶ関1-1-3)
主催   99建築問題研究会 / 幹事 / 稲垣隆一(弁護士)、米田耕司(建築家)、増沢幸尋(建築家)
         4:00 準備係は集合 (椅子、掲示、マイク調整)
         5:00 受付開始 係(平林、柴、村越、和賀) 
             参加証、署名、参加費、領収書、配布資料
             BF、1F、案内用紙張り 
5:30
    セミナー開始
   ●配布資料の説明 /幹事・増沢
5:40
   ● 99建築問題研究会/代表幹事/稲垣弁護士/あいさつ
      ・欠陥の発生の原因追求とこのセミナーの意義について
5:43  
   ●設計者が語る今回のセミナーについての説明 /幹事・米田
      ・設計図の意味、制度上の設計監理者の役割り
      ・建築家/設計者/設計士/建築士という呼び名、意味
      ・施工者の影に隠れる監理者
      ・いろいろなケース(建て売り住宅、住宅メーカーなど)
5:48
   ●コンダクター/河野氏の問題提起
      ・前回は施工者が語ることをテーマとしまししたが、今回は切り口を変えて設計者が語るとい        うセミナー、最初に順番にお話しを伺いましょう。      
      ・パネリスト、ディレクターの5名の紹介                  
5:51
   ●パネリスト/石川氏
      ・40年近く建築の設計と監理に携わってきて、今回のタイトルにある、悪い建築主と悪い施工       者がいるとすれば、それは設計監理者としての自分を写す鏡という認識をしています。
      ・室生犀星の本からの例ですが、悪い家というのはない、悪い住まい手もいない、ようするに        その「係わり」が悪いこと指すと思う。
      ・建築主、設計者、施工者のトライアングルで3者は対等ではない、建築主は専門家ではない        ので、しいて言えば、3者同等くらい。補完しあう関係は重要。
      ・暮らし作りは建築主、箱作りが専門家の役目、欠陥は専門家側に責任があると思う。
      ・補完する姿勢、互換性というか互性が必要。
      ・3者の関係は例えると、同居結婚、別居結婚とか隣人結婚とかありますが、隣人結婚あたり        が良さそう。
      ・隣人結婚は利害関係がある程度存在するクールな関係、その中に信頼があるようなもの。
      ・その関係は全部初めからうまく出来る訳ではなく、役目や係わりあうツールが大切。
      ・日本人にはこのツールの認識が薄い。施工技術の低下の問題.。
       ・設計監理業務は大きく4段階、基本計画、基本設計、実施設計、監理。それぞれの説明。
      ・悪い施工者については、自己修練を捨てた人がそれに該当すると思う。
   ●コンダクター/河野氏
      ・ツールとしての図面の大切さについてのお話しが印象的でした。
6:08
   ●パネリスト/松枝氏 
      ・いちがいに悪い建築主、悪い施工者と言ってもなかなか難しい。
      ・経験からすると、エッセー集の中の暴君タイプは最初の段階では思いあたります。
      ・建築主に、42条2項道路や乙種防火戸の件で、隣はやっていないと食い下がられたりした         が、説明をしっかりする内に理解してくれました。
      ・悪いとか困った施工者という訳ではないが、初めての施工者は苦労します。2度目からはや        りやすくなる。
      ・一級建築士は20万人以上いますが、確実な仕事のできる建築士が少ないのも問題。
      ・建築相談の事例から、3階建て、鉄骨ALCの店舗+住宅の例、でき上がってからタイルや窓         のイメージが違うという建築主。契約書も図面もしっかりしていなかった。商売をしている        人であったが、一般の人は契約書を取り交わして物事をすすめるのに慣れていない。
      ・設計や監理をプロに頼みなさいということは、一般人にはなかなか方法が解らず、ブラック        ボックス状態。
      ・家を建てる人が知っておくべき事柄を、電車の車中広告でも出して、広く広報する必要があ        ると思う。
   ●コンダクター/河野氏
      ・契約書の重要性のお話と悪い建築主と言うより、不勉強な建築主が多いということでしょ         うか。
6:23
   ●パネリスト/山中氏
      ・パンフレットにあるように、欠陥住宅の被害を防ぐ図式は、良い建築主+良い設計者+良い        施工者=良い住宅となります。
      ・ここで表現している悪い建築主、悪い施工者は困った建築主、困った施工者と置き換えて、        お話をした方が良いと思います。
      ・昔の建て主と大工さんという良い関係、従来からあった建築主と施工者のコミュニケーショ        ンが現在は、とぎれてしまっている。
      ・建築主は大工さんなどの職人さんと家を作るプロセスを昔は共有していたと思う。
      ・職種が多様化、複雑化しシステムが変わってきた弊害もある。
      ・現場の監督も全てを掌握できているかは疑問です。
      ・設計、契約、工事監理が重要。
      ・第3者監理について。
      ・工事監理の姿勢としては自分が図面を描いたものに責任もって監理することが大事。
      ・建築主が知りえない技術や品質を専門家が監理するという目的。
      ・設計施工一体型だと社内検査はあるものの、手を抜こうとすれば出来てしまう。
      ・建築主、設計者、施工者の関係をどのように構築するかが重要です。
   ●コンダクター/河野氏
      ・3者の関係の概論よりは、もう少し具体的な話にの方がわかりやすいのでは。
      ・次にディレクターの高橋弁護士にお話を伺いましょう。
6:32
   ●ディレクター/高橋弁護士
      ・消費者の代弁者として質問をします。
      ・建築主が悪くなる原因の一つには、設計者が悪いことがあります。
      ・山中さんの話の中に、昔の建築主と施工者は意志の疎通があった、人徳のこと、また松枝さ        んの話の中に、建築主は勉強不足という指摘があったが、一般の人からすると指針のような        ものをなかなか探せない。どうすれば勉強できるのでしょうか?
      ・トラブルマップのAルートで、設計者の設計監理料は概ね1割で良いのですか?
   ●パネリスト/山中氏
      ・建築主の勉強方法としては、設計事務所を訪ねてみると、いろいろ理解できるのでは。
      ・東京建築士会の相談事例でも、大手ハウスメーカーでも設計図と工事が違っていたり、          2000万円くらいの住宅でも、仮契約書の扱いで、建築主がめくら判同然で進行、その後の        トラブル相談の例が多い。
      ・建築主側が住宅を商品のように、購入感覚になってしまっていることも問題です。
      ・今、ワーキンググルーップを作り指針を検討中。
      ・設計監理料は概ね10%が目安です。
   ●パネリスト/石川氏
      ・現在の設計監理料は建設省告示で各事務所が独自に単価×人日で算出する方法です。
      ・住宅の設計監理は、私の場合、内容によって、12〜15%になることもあります。
      ・設計監理の全体から設計料が70%、監理料が30%が大体の割合です。
6:45
   ●ディレクター/後関氏(施工者)
      ・問題が起こるのは「知らない」に原因。
      ・建築主は調べない、設計者は監理をしない、施工者は構造を知らないといった状況。
      ・今までは需要が供給を上まわっていた時代、仕事が努力せずに自然にあった。   
      ・建築相談室の事例でも、工事にかかる前に相談に来る人は「賢い建築主」。     
      ・専門家は知らない人に知らせる努力が足りない、インターネットも多いに利用できるはず。
      ・建て売り住宅に関しては税法が悪い、土地と建物を売るはずが、税法上の関係から建物を売        る方式にならざるをえない、そこでコストが押さえられてしまう。
      ・ローコストで押さえられている仕事ばかりでは、良い住宅は出来ない。
   ●コンダクター/河野氏
      ・コストの問題と欠陥の起因関係がありそうです。工事の内容が曖昧なところも問題。
      ・コストとの関係はどうでしょうか?
   ●パネリスト/山中氏
      ・大手ハウスメーカーの見積り内訳書をチェックしたことがありますが、確かにシステム的に        は出来ているとは思いますが、どこまで内容に踏み込んでいるかは疑問が残りました。
6:55
   ●コンダクター/河野氏
      ・先程、仮契約書のことが話題に出ていましたが、仮契約書の効力は?
   ●ディレクター/高橋弁護士
      ・仮契約というのはケースバイケースですが、本契約の前に仮にするものを表現していると思        いますが、本契約を行った場合は、前の仮契約書は取消しになります。仮契約書と言っても        本契約と同じ効力をもつケースもあります。
7:00
   ●コンダクター/河野氏
      ・議論がややかみ合わないところがあったり、原因の追求に及ばなかったりしていますが、
       後半はQ&Aとなりますが、10分間休憩にします。
7:10
   ●コンダクター/河野氏
      ・会場からご質問、ご意見を伺います。
Q01. 建築士の質が問われていますが、建築士の罰則について?
   ●パネリスト/松枝氏
      ・講習会等で建築士の資質の向上を計ってはいます。
   ●コンダクター/河野氏
      ・日本建築家協会では問題を起こした建築家の罰則について取り組んではいます。ただし
       日本建築家協会自体は任意団体の扱いをうけています。
      ・弁護士資格のように、弁護士会に全ての弁護士が所属をしているという機構とは違います。
Q02. ハウスメーカーや工務店にも設計者がいて、その中にもまともな設計者はいるとは思いますが?
   ●パネリスト/石川氏
      ・設計者は自立性が必要で、エンプロイドアーキテクチュアは自立性に欠けていると認識して        います。
      ・設計者は建築主の要望を必ず確かめて、施工者に伝達する誠実な役目を担っています。
      ・そういう点からするとハウスメーカー等に所属している設計者には、誠実な行動は望めない        と思います。
   ●コンダクター/河野氏
      ・所属設計者と独立性のある設計者では、やはり立場上の差があると見るべきでしょう。
Q02-2 ハウスメーカーの方をパネリストにしてはどうですか。
   ●特になし。
Q03. 設計者の内容の話が多く、意志疎通のない住宅作りに焦点がいっていて、実は欠陥住宅や欠陥建築
   の定義が曖昧で、Aルートの話が主流になってしまっている。柱や梁がなかったりする欠陥住宅につ    いて議論すべきではありませんか?
   ●コンダクター/河野氏
      ・確かに裁判や調停になっている事例は、構造の問題が多く、危険性のある住宅などの処理が        多いのですが、それらの問題も含めて、その周辺の状況を踏まえた議論をしています。
Q04. この会、このセミナーの趣旨は?
   建て逃げの住宅の裁判の問題を例を揚げて、もっと具体的な例を示して、その処理方法などの具体的    なものを含めた話を聞きたいと思って来ているが、なかなか焦点がしぼれないのですが?
   アヒルの水かき状態では、というたとえ。
   ● 幹事/稲垣弁護士
      ・確かにそういう具体例をあげると、建て逃げの裁判、詐欺であり、図面がない不法行為で、        住宅も斜めにかしいでいるという状況があります。その問題もそういう状況に陥る素地を確        かめる必要はあると思っています。
      ・さらに弁護士として、そういう問題だけではなく、被害者の周辺にある問題は材木や床の曲        がり、壁紙のはがれまで、犯罪とは呼べないけれど欠陥が生じてしまう現実があります。契        約の問題、施工の体制の問題、コストの関係もあるでしょう。
      ・今、行っている議論を踏み越えないと、家を作るにはこれだけのコストがかかる、それ以下        の人は家を持てないというという図式になってしまう。
      ・ローコスト、あるいは知識のない者は欠陥にあたってもしょうがないという論になってしま        うのではありませんか!
      ・日本建築家協会や建築士会に所属している有能な設計者に相談できたり、たどり着く消費者        はどれだけいるでしょうか、
      ・大多数の人はたどりつかない。なにか良い方式があるのではないでしょうか、それを探り、        議論する場としてこのセミナーを捉えています。
Q05. アヒルの水かきの例が出ましたが、アヒルの水かきにも今日の話は達していない。
   もっと本音の話を聞きたくてきているのですが!
   ●パネリスト/山中氏
      ・設計者にも2通りあって、設計監理を独立してきちんとやっている人と、俗にいう代願事務        所、数としては代願事務所は多いと思います。
      ・ただしこの弁護士会館のような建築は代願事務所には設計を頼まないでしょう。
      ・代願事務所は工事監理をしません。
   ● 幹事/稲垣弁護士
      ・代願の設計事務所を、弁護士は監理放棄建築士と読んでいます。
      ・監理をしないのに申請上の監理者となっている人々を、告発する運動もさかんに行われてい        ます。
   ●パネリスト/石川氏
      ・専門家の中でも無知がまかり通っています、図面の描けない建築士などがそうです。
Q06. 代願を使う施工者が悪いのではありませんか。
   予算が2000万の住宅では、設計監理者はとっても頼めないと思います。
   欠陥住宅は住宅品質確保促進法によって大分減るのではと期待しています。
   住宅のコストの低減化も課題だと考えています。
   ●特になし。
Q07. 欠陥住宅の実質的経験のないパネリストの話は意味がないのではありませんか?
   実際の裁判では、施工者に有利、建築主に不利な事例が多いと聞いていますが、その点はいかがで     しょうか?
   ●ディレクター/高橋弁護士
      ・ケースバイケースです、中には不本意な和解というのもあります。
   ●パネリスト/石川氏
      ・設計事務所の設計ミスと判決が下りた例もあります。
   ●会場の設計者A
      ・デザイン系の設計事務所で設計監理をした建築ですが、壁の中がカビだらけの建築で、仲裁        の事件でした、施工者に対して仲裁案として保証金の裁定を下した例もあります。
   ●コンダクター/河野氏
      ・具体的な事例のほうが、わかりやすいでしょうか。
   ●会場の設計者B
      ・自分の携わっていた建築の例ですが、防水性のある膨張コンクリートの仕様に設計図では         していたのですが、建築主は全体コストから、安い施工者を選定しました。しかし実際の施        工段階になるとその施工者はコストのかかる膨張コンクリートでの施工を行わない施工指示        をしていました。事前に発覚したので大事にならずにすんだのですが、きちんと監理してい        ても図面とは違った危ない結果をもたらすこともあります。
   ●会場の設計者C
      ・消費者の運動である国民生活センターに係わっていますが、資料のトラブルマップの内、設        計施工一貫のBルートの問題発生率は、設計と施工を分離している方法、Aルートの 50倍は        あります。そういう点からも設計施工一貫の方式は問題があります。
8:00
   ●コンダクター/河野氏
      ・第1回目の施工者が語るセミナーは仮説の中の議論のようでありましたが、第2回目の設計者       が語るセミナーは複合した中での議論になってきました。やや噛み合わないところもありま        したが、次に続ける意味は充分あったように感じています。
8:03
   ● 幹事/稲垣弁護士
      ・多くのご質問、ご指摘、ご意見をいただきましたが、全体としては、やや焦点がしぼりにく        いセミナーになったようにも感じました。次回は建築主(消費者側)からの発言を求めるも        のですが、焦点を絞りこんでいきたいと思っています。
8:05
終了。  
   参加者 総数 約80名(◆公開セミナーの内容/文責/99建築問題研究会/増沢幸尋)

建築問題公開セミナー第2回 設計者から見た悪い建築主?悪い施工者?を振りかえって 

  • 全体的に設計者側の問題に舞い戻ってしまい、建築主の良いところ、悪いところ、施工者の良いところ、悪いところに、なかなか議論や方向が向かなかったのは、反省点。
  • 会場からの意見で、もっと具体的な事例を知りたいという発言がありましたが、追加で具体的事例の話をいくつかフォローされる場面が展開しました。具体的事例はその問題の経過のみに触れただけでは、その中身やどうやってその事の改善に結び付くかという所までは到達しません。事例の中にあるポイントを絞る必要を感じました。
  • 概論や漠然とした内容は捕まえにくいし、あまり具体的な例すぎると特殊解過ぎてしまうし、検討が必要です。
  • いずれにしても次回は消費者側から語るというテーマ、大いに議論し、良い建築主+良い設計者+良い施工者=良い住宅に繋げていきたいと思います。

                     (◆99建築問題研究会/幹事/増沢幸尋) 

99建築問題研究会
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◆パネラー
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