設計主旨
使いながらの建設計画:
既存の平屋の保育室と2階に増築した遊戯室を使用しながらの建設計画です。既存の建築は北ゾーンに位置していて、園庭が南側でした。新築の幼稚園は南ゾーンに建設して、既存の園舎を解体してから、園庭として整備すると
いう計画です。
面積配分から:
設計条件として、予算の関係から全体の床面積を650F前後に抑えること、なおかつこの幼稚園の特長であるPTAの活動が出来る空間を、その床面積の範囲で確保するという難しい条件でした。
所要室+共用部分の面積の合計が全体の面積です。有効利用を考えると共用部分の面積を極力少なくする必要がありました。そこで、遊戯室という機能を持つ空間を多目的ホールとしてセンターに置き、保育室、事務室関係、トイレ等が、そのホールを囲むように配置することによって、廊下状の通路の面積を減らすプランニングとしました。
全体構成:
平面的なつながりを重視した1階は全体の面積の80%を占めていて、東側ゾーンに保育室が4室、中央の多目的ホールをはさんで西側ゾーンに3才児保育室と事務・職員・調理室の管理諸室を配置、南北の木立の森、園庭とにつながります。
2階にはPTA会議室と倉庫が配置され、それらを包み込み、周辺を低く抑える大屋根の構成としています。
多目的ホールは天井の高い吹き抜けで、2階のPTA会議室と柔らかい連続感を出しています。
PTA会議室:
この幼稚園は、園児の父母の活動がたいへん盛んという特長を持っています。さらにその活動は、園児達が幼稚園に来ている時間、主婦が動きやすい午前中を主な時間帯としています。そしてその活動は、園児達から隔離されている必要があるため、2階の独立したスペースに配置し、玄関ホールからじかに上がって使う事が出来るようになっています。
保育室:
園児や先生にとっての拠点は保育室です。保育室と外部との接点が東南のデッキです。そのデッキから園児達は出入りをします。4才、5才児の保育室はそのデッキに平行に並んでいて、園庭につながります。小さい3才児の保育室は、独立性重視で、南側の木立の森に面して配置されています。保育室は2室を1室につなげて使えるように、可動の間仕切りとしてあります。
廊下のない幼稚園:
面積配分の関係から、共用部分の面積を縮小しようという試みから、廊下のない幼稚園となっています。廊下はもっぱら通行に使用する場所ですから、その通行は外のデッキと中央の多目的ホールがその役目をしています。通行兼用とすると、ややもすると雑々とした場所になりやすいのですが、職員室から目がとどくこの多目的ホールは、自由に使えるまさに多目的
なホールの性質を持っています。
さらに廊下の面積を縮小する試みは、各室が通過可能なプランニングになっています。
保育室は外と中に出入りが出来るし、トイレや事務・職員室、調理室も2方向に出入りが出来る平面計画をしています。
これらの計画が、廊下のない幼稚園を支えています。
多目的ホールと2つのテラス:
中央のホールは保育室と接し、事務・職員室と接していて、遊戯室兼各種催しものに使われます。
自然や動物との接触、遊びを基本とするこの幼稚園では、この多目的ホールは園児達にとって、外と同じくらいの自由な空間です。南側には図書のコーナーがあり、自由に本とかかわりを持つことも出来るし、走り回ることも出来ます。
大屋根の高い天井の明るい空間は、センターホールとしての役目を果たしています。
木造の園舎:
既存の保育室が木の床で、その雰囲気をぜひ新しい園舎にも欲しいという希望と、広く、大きく使いたいという要望を生かした木構造を採用しています。基本的には、在来軸組構法をベースに、耐力壁は構造用合板を柱の間に挟み込む貫構法、6.9m、7.2mのスパンは、伝統構法にある斗供(ときょう、持ち送り梁)と洋風小屋組のトラス梁の構造方式を使っています。
外装を唐松相決り横羽目、多目的ホールの床は北欧パイン材、外のテラスとデッキの床はヒバ材、内装の壁、天井はラワン合板の仕上げ、素朴な木造らしい建築となっています。
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