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![]() 二度とない恋愛(映画) ( 20041214 ) この気持ちを言葉にして伝えることは不可能だとはじめから断っておきたい。TSUTAYAのWebサイトで検索した結果、通勤途中の駅の店舗に在庫があることが分かったので、約10年ぶりに古厩智之監督の『この窓は君のもの』(1994年)を観ることができた。やはり僕が今までに観たあらゆる恋愛映画で最良の作品だ。 「サボテンの花咲いてる/砂と岩の西部/夜空に星がひかり/おおかみ鳴く西部」「赤い河の谷間よ/切り立つ岩山よ/昼なお暗い森よ/通る人もたえて」「いとし君去り行く日/谷間にこだまする/小鳥の声もかなしい/赤い河の谷間」。ラスト近く、主人公の陽子が歌うアメリカ民謡『赤い河の谷間』の歌詞を写しているだけでも涙が出てくる。エンドロールで再び主演女優の清水優雅子によって歌われるのはやり過ぎという意見もあるかもしれないが、それでもいっこうに構わないのだ。(ジョン・フォード監督の『怒りの葡萄』も観る必要がありそうだ) もどかしい高校生の恋愛を、ぎりぎりまで切り詰められた簡潔な台詞と、際限ないじゃれ合いのアクションで見事に表現している。それぞれのカットのフレーミングが出来すぎと言ってもいいくらいに計算されていて、長回しで高校生たちの関係のテンションをじっくりと見せてくれる。 主人公のタローと陽子の関係は最後まで宙吊りのままにされる。映画の本質はサスペンスだと誰かが言っていたような気がするけれど、もどかしい恋愛のサスペンスを表現するのに、無駄な雑音のないアフレコによる音声と、言葉少なな脚本、固定ショット、引きの絵、長回しの組み合わせが奇蹟的な結果を生み出している。例えばラストでタローが画面から切れた後、ただ風の音だけが聞こえる風景のカット。あの風の音が希望にあふれた喪失感を見事に表現している。 そして移動撮影の素晴らしさ。脚を骨折したタローが荷台に乗って、陽子が自転車をこぐシーケンスで、途中、自転車と撮影車が分岐してまた合流する部分。陽子を追いかけてタローが葡萄畑の下を疾走するシーケンス。二人が葡萄棚の下を走り抜けていく俯瞰ショットも、ただ素晴らしいとしか言いようがない。古厩智之監督は『この窓は君のもの』を超える映画を撮れないのではないかと恐れてしまうほど、というより、僕はこの映画以上の恋愛映画にはこの先出会えないのではないかと恐れてしまうほど、素晴らしい映画で、これ以上は何も書けない。 無断転載禁止
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