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会議の真の目的
( 19980513 )

Japanese/English

僕は、会社の会議に出席していると、ときどきデジャ・ヴュのような奇妙な感覚に襲われることがある。

「それって、最初からわかってることじゃないの?」
思わずそう言いたくなる瞬間が、数多くあるのだ。

僕は会議に出席するときには、だいたい、その会議がどういう結論になるのかを自分なりに考えて、予想を立てることにしている。そうでもしなきゃ出てられないような退屈な会議が多いから、というのも理由の一つだが、もう一つの理由は、ある問題をめぐる現在の状況をすべて考え合わせ、論理的に考えれば、だいたいの問題は結論が決まってしまうからだ。

もちろん、入社5年目の僕が出席する程度の会議だから、ということもあるだろう。もっと上層の、経営トップが参加するような会議なら、そうかんたんに結論がでないという会議もあるはずだが、僕が出席するような会議は、それほど議論の紛糾が予想されるような重大問題があつかわれる可能性は少ない。

だからなおさら、現在の状況と、問題の出てきた背景など、いろいろなことを論理的に考えれば、結論はおのずと導かれることが多い。そうやって会議に参加してみると、たいていの場合、僕の思った通りの結論が出て会議が終る。

こんなことを書くと、じゃあはじめからあんたがその結論を提示すれば、2時間も3時間も話し合う必要なんかないわけでしょ?、と言いたくなる人がいるだろうが、その人は、日本企業における会議というものの機能を誤解している。

会議は結論を出すために存在するのではなく、結論を出すプロセスを共有するための場として存在するのだ。

よほどの難問でない限り、会議が行き着く結論など論理的に考えれば比較的かんたんに予想できる。にもかかわらず何人も集めて会議をするのは、結論を出したいからではなく、その結論がどうやって導かれたかをみんなで納得したいからなのだ。

いや、そのはずだ。そうでなければ困る。ほんとうにどんな結論が出るか、予想もつかずに会議に出席している人がいるとしたら、それは困る。会議に出るなら、事前に自分なりの意見をまとめておくのが常識というものだろうから、頭がからっぽのまま予想のできない会議の流れに身を任せているようでは困る。

いや、ひょっとしたら、僕みたいに会議が始まる前に会議の結論を予想するなんてことをするサラリーマンは少ないのかな?ほんとうに会議をやらなきゃ結論なんて出ない、と信じているサラリーマンの方が多いのかな?

もしそうだとしたら、これは大変なことだ。僕の会議への出席の仕方は、

(次は誰かがこう来るぞ...。ほら、来た来た!そういう意見は絶対出ると思ってたんだよなぁ。おいおい、そんなこと言わなくたって分かってることじゃないか。やっぱり、他の人の意見であっさり却下されたぞ)

と心の中で密かに思いながら、要所要所で発言して、自分のあらかじめ出しておいた結論の方向へと、会議の流れをコントロールするというやりかたなのだが、僕はそうやって自分が会議の流れをコントロールできるのは、みんなが既に結論を知っているからだと思っている。

みんな、そうだよね。会社の会議に出席してる人って、結論がどうなるかは分かっていて、その結論に到るプロセスについてのコンセンサスを形成するために出席してるんだよね。

ううっ。そうじゃなかったら、どうしよう...。


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