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見晴らしのよい経営
( 19990402 )

Japanese/English

見晴らしのよい経営〜暗黙知から形式知へ〜(京都経済新聞1998年12月24日掲載)

つまらないけど大切なこと

「なんだ、山田さん知ってたんですか」

ふだん仕事をしているとこんなことがよくある。たとえば情報システム部門の社員が他部門から「パソコンが動かない」という連絡を受け、悪戦苦闘の末ようやく解決したとする。同じ日の昼休みにその話をすると、同僚がつい最近同じトラブルを別の部門で苦労して解決したという。先に教えてくれていれば時間をムダにすることもなかったのに...。

わざわざ報告書を書くまでもないが、知らないばかりに時間がムダになる、そんな「つまらないけど大切なこと」が会社の中にはたくさんある。それがなかなか表面化しないのは社員一人ひとりの頭の中にかくれてしまっているからだ。

あ・うんの呼吸も限界

人の頭の中にかくれて見えなくなっているノウハウを「暗黙知」といい、文書化されて誰もが読めるかたちになっているものを「形式知」と呼ぶ。これまで暗黙知はOJTなど口頭で伝えるのが常識だったし、その方が効率的だと思われていた。だが業務ノウハウは複雑化する一方だ。

それを明文化しないままOJTで伝えようとすれば、まるで「奥義」を伝授するように効率の悪い作業になる。業務の質が落ち、人による個人差が大きくなるおそれもある。また雇用の流動化によって優秀な人材が社外に流出したとき、文書化されていないノウハウは永久に失われてしまう。

道具としてのグループウェア

そこでグループウェアの登場となる。これまで情報システムを使って共有される情報といえば、はじめから数値化されたものや決まりきった様式の文書類がほとんどだった。だがグループウェアの登場で数値化できない非定型の暗黙知も共有できるようになる。

この点を利用してメモや口頭で報告したまま忘れられていたような情報を蓄積していけば、他社にない独自のノウハウのつまった「知識の宝庫」ができあがる。もちろん口ですませていたものをキーボードで入力するようにしむけるのは一苦労だ。QC活動の一環として登録件数を競わせたり、仕事と直接関係のないレジャー情報の登録もOKにしたり、場合によっては重要な情報はグループウェアだけでしか見られないようにするなどの荒療治も必要だろう。

見晴らしのよい経営

そのかわり埋もれていた情報に見晴らしが利いてくるメリットははかり知れない。新卒や中途採用の社員をスムーズに現場の即戦力として活用できる。社内の問い合わせに使っていた時間を顧客への迅速な対応にまわせる。

また、バラバラだった社内のノウハウがつながって新しい製品やサービスの芽が見つかる。報告だけの会議はゼロになり、かんたんな打ち合せはグループウェア上ですんでしまう。情報の一部を他社と共有すれば複数の企業がプロジェクトごとに集まったり離れたりするバーチャル・カンパニー(仮想企業)への道も開ける。

社内の見晴らしがよいということは、社外からの見とおしもよくなるということだ。中小企業用のお得なグループウェアも発売されているので、長い目で「形式知文化」への脱皮をめざしてみてはどうだろうか。


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