homeup mail to
sub title

日米・新ビジネスの明暗
( 19990402 )

Japanese/English

日米・新ビジネスの明暗〜有害情報遮断ソフト〜(京都経済新聞1998年12月10日掲載)

スター報告は「児童に不適切」

去る9月11日、米国のソフトウェア開発会社ラーニングカンパニーはクリントン大統領不倫疑惑に関するスター検察官のレポートを児童に不適切なホームページのリストに含めると発表した。同社はインターネット上の有害情報を遮断するフィルタリング・ソフト分野の有力企業である。

インターネットを通じて害をあたえるとして、わが国ではアダルト・ホームページをコンピュータ・ウイルスと同列に論じる傾向もあるが、両者にはれっきとした違いがある。ウイルスは明らかに犯罪であるのに対してポルノや暴力を含んだホームページはどこからが違法なのか、児童の保護と言論の自由をめぐる微妙な議論はインターネットというメディア自体の新しさもあり当分は結論を見ないだろう。

自律統治の米国

ただ、ビジネスの観点から見たときフィルタリング・ソフト市場で日本が米国に決定的な遅れをとったことは確かだ。その明暗を分けたのは何だろうか?

1996年6月、米フィラデルフィア連邦地裁は同年2月に成立した「通信品位法」について言論の自由を侵害するものだとして違憲判決を下した。各種市民団体やマイクロソフトなどの大企業も援軍にした「通信品位法」反対運動の結果、ネット規制は発信者側ではなく受信者側で行うべきだという方向が定まっていった。以降、米国では民間企業によるフィルタリング・ソフト開発が本格化し、昨年の市場規模は本数ベースで300万本と言われるまでに成長した。

取締強化の日本

一方わが国では、昨年、京都地裁で初めてハードディスク本体をわいせつ物とする判決が下されてからインターネット上のアダルト画像が次々と摘発され、取締りの範囲は海外の日本語ホームページにまでおよんでいる。さらに今年4月に成立した「改正風営法」でインターネット接続業者にアダルト画像の発信防止責任が問われ、米国とは逆に発信者側の規制が強力に推進された。

通産省の認可団体である電子ネットワーク協議会は昨年8月から日本独自のフィルタリング・システムを構築してきたが、当局の規制で国内のアダルトページが激減、その必要性は薄れつつある。日本で販売されているフィルタリング・ソフトは1社をのぞいてすべて米国製で、その多くは販売代理店が日本の有害ホームページ情報を米国の開発元のブラックリストに登録する形で国内向けに運用されている。

ビジネスの芽をつむお上の「規制」

文部省の調査によれば今年3月末時点での学校のインターネット接続率は小中高・特殊教育諸学校の合計で18.7%にすぎないが、これから着実に伸びていくだろう。児童を有害な情報から守るフィルタリング・ソフト市場も大幅な拡大が予想される。

だが世界中で毎日何千というペースで開設されるホームページをチェックして有害情報をデータベース化していく作業は膨大であり、この分野で出遅れた日本企業が米国製品に対抗する余地はほとんどない。

お上による事実上の「規制」がフィルタリング・ソフトという新しいビジネスの芽をつんでしまったことは明らかだ。


無断転載禁止

サラリーマンを考える 日本的なるものを考える 日常生活を考える
「おじさん」を考える 映像/音楽/書物 情報システムを考える
愛と苦悩の日記 筆者のYouTubeチャンネル

homeup mail to