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![]() あてにならない「人脈」 ( 19980525 ) グローバル化、グローバル化というけれども、ミドル・マネージメントが意思決定の際にいったいどれだけグローバルな観点をとっているか、ひじょーにあやしい。 最近、仕事の上で開発プラットフォームの選定をしなければいけない場面があった。圧倒的な技術優位がないか、研究開発目的ではない場合、開発プラットフォームには「枯れた」技術を利用するのが妥当な選択であることは言うまでもない。 しかし「枯れた」技術にもいろいろあって、構築しようとするシステムの特殊性によって判断しなければならない。このページでも以前に触れたが、メインフレームの時代とは違って、クライアント・サーバベースの開発ツールは百家争鳴の体をなしている。バカのひとつ覚えみたいにCOBOLというわけにはいかない。 だからこそ、事前の情報収集が非常に重要なステップになる。今、とある事情から経営学説のおべんきょうをしているのだが、意思決定の過程は?情報活動?企画活動?選択活動?評価活動の4段階にわけられるらしい。 個人的にはこんなあいまいな学問はあまり好きではないが、意思決定にかかわるミドルマネージメントは、これくらい知ってて当然だろう。たしかに意思決定はまず情報を収集して、いくつかのプランを用意し、そのなかからひとつを選んで、選んだ結果を事後的に評価する。この4ステップが意思決定の流れになっている。 なかでも重要なのは情報収集活動だろう。同じく経営学説には、人間は収集できる情報量が限られているので、完全に合理的な選択は不可能、最終的には自分の満足水準をクリアする選択をしてしまう、という学説があるらしい。 自称現象学者としては、じゃあ自己の「満足水準」って何なの?とあくまで厳密に問いたくもなるが、まぁたしかに人間の能力には限界がある。しかし、そこで下手に妥協しないのが、よりよい意思決定のための「倫理」というものだ。 脱線した話をもとにもどすと、「枯れた」技術が山ほどある中から適切な選択をするためには、最初のステップである情報収集活動が非常に重要である。ところが、がっくりさせられることに、ミドルマネージメントの中には、おどろくほど不十分な情報収集しかおこなわない人が多い。 彼らは多くの場合、「人脈」というものを頼りにしている。自分で知識をもっているわけではないが、誰がその知識をもっているかを知っている、それが自分たちの強みだと言ってはばからない。しかし彼らの世界観が、彼らの人脈までを狭めてしまっているとすれば、彼らが当てにする「誰かさん」も本当に当てになるのかどうか、あやしい。というのは、彼らの言う「人脈」とは、今までいっしょに仕事をした経験のある「人脈」である場合がほとんどだからだ。 仕事の上で、いっしょに仕事をしたことがあるという「人脈」は必要であるが、それと意思決定とは別の次元の問題だ。意思決定の際にそういう意味での「人脈」しか頼ることができないのは致命的である。 いったい何のために、情報システムの開発プラットフォームに関する意思決定を行うのか?それは、社外の環境に対する適応のため、同業他社に対する優位性確立のためである。 見知った仲間どうしの情報収集だけで、外部の環境に適応するための意思決定ができるわけがない。あいつのいる××支社はどうだ?他の工場はどうだ?という情報収集だけで開発プラットフォームを決定すれば、それは仲間内での了解にすぎない。それは意思決定ではない。 経営環境への適応や他者に対する優位性を図るなら、まず他社の動向を調査すべきだろう。それも日本にとどまらず、世界にも目をむけるべきである。インターネットのおかげで、こうした調査にもそれほどのコストはかからない。もちろん情報源の信頼性の問題はあるが、ネット上には情報交換の場はいくらでもあるし、導入事例として紹介されているものも数限りなくある。 それだけの情報が、デスクにすわりながらマウスのクリックだけでかんたんに入手できるにもかかわらず、身内の調査だけで意思決定を行うのは、まさに「井の中の蛙大海を知らず」である。 ミドルマネージメントは、社内の「人脈」を大切にするあまり、その狭い世界観のために、意思決定に必要な情報収集活動の範囲まで狭めてしまっているのではないか。気安い仲間からしか情報収集できないのでは、それを「人脈」だと誇ることはできない。井の中の蛙どうしでいくら情報を交換しても、井戸の中のことしか分からない。 もちろん僕らは彼らの轍を踏まない。僕らは身内の「人脈」というウェットなしがらみから自由な分だけ、ネット上を軽やかに飛びまわって情報を世界中から仕入れ、グローバル・スタンダードを基準にした適切な意思決定を下す用意がある。 とにかくドメスティックな中間管理職のみなさんにお願いしたいのは、自分がいかにドメスティックであるか自覚して、必要ならば情報収集能力にたけた部下の知恵を借りるだけの余裕を見せて欲しいということだ。 無断転載禁止
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