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異文化交流の場

元米軍人のVOICEクラス

2000/02/25

「愛と苦悩の日記」にもしつこく登場するNOVAについて。NOVAに通うようになってから週末の過ごし方が変わってしまった。以前は津田沼のファーストフードをハシゴしながら本を読むパターンだったが、今ではJR総武線沿線のVOICEクラスに入りびたっている。どちらもまったりした過ごし方であることには違いないが。

NOVAは周知のように英会話教室としては唯一の株式公開企業だ。なのでYahoo!JAPANの株価情報で最近3年間の業績推移を見ることができる。P/L(損益計算書)を見ると1997年3月から1999年3月まで売上高は300億円、317億円、378億円と順調に伸びている。生徒の実数が減ることはないだろうし、毎年授業料も確実に値上げされているので、売上増は当然。

ところが営業利益は30億円、9億円、11億円と下がる傾向にある。おそらく出店攻勢の割に生徒数が伸び悩んでいるのと、『お茶の間留学』(自宅に居ながらにしてISDN回線のTV会議で授業を受けられるシステム)の設備投資や、積極的な広告戦略で経費が膨らんでいるのでは、と予想される。

そのわりに人件費はというと、NOVAの教室にいるスタッフを見れば一目でわかるが、従業員の平均年齢は26.5歳、平均賃金は233,110円でサービス業としてもかなり低い。この中に講師が入っているのかどうか知らないが、創業からすでに19年が経過していることを考えてもこの平均年齢は異様な低さだ。新卒がNOVAに入社しても長くは働けないということだろう。NOVAのWebサイトには「価格破壊の先駆け」と自画自賛してあるが、減益を回復するためか、毎年料金が上がっており、価格面の優位性をどこまで保てるか疑問だ。

おっと、別に企業分析をするために書き始めたんじゃなかった。ほんとうのテーマはNOVAは真の意味で「異文化交流の場」だ、ということ。先日、元米軍人の講師がVOICE(自由会話のクラス)ですばらしい議論を延々と一人で展開して帰っていった。

彼は横田基地でパイロットをしていたらしいのだが、まずいったいどうして基地から放り出されたのか?という点からしてあやしすぎる。米軍人は個人のわがままで簡単に除隊してそのまま日本で生活することが許されているのだろうか?

そのVOICEの話題はふとしたことから沖縄基地問題に。彼曰く、「一人の米兵が犯した過ち(おそらく小学生レイプ事件のこと)を米兵全員に広げて考えるのはナンセンスだ」。僕としてはこの言葉をぜひ被害者の家族の前で言ってほしいものだと思う。彼は在日米軍の政治的立場を軽視しすぎている。一人の過ちを単なる個人の問題として切り離せると考えるのはあまりに素朴だ。もちろん素朴でなければ極東で軍人などできないのだろうが。

彼の素朴な議論はつづく。今度は基地周辺の住民が基地の騒音公害に抗議していることについて、彼曰く「うるさいなら引っ越せばいい」。暴論もいいところだ。彼はますます調子づいて話し続ける。空軍在籍当時、友人のパイロットと基地周辺の住宅地の上空数百mをフル・スロットルで飛行した自慢話まで始める。「想像してみてごらん。上空数百mじゃ、地震みたいに家が震えるんだよ」。彼はわざと騒音をまきちらして楽しんでいたのだ。

彼にとって基地に反対する地域住民は道端の石ていどの存在でしかない。そういう見解を正当化していみじくも彼は「われわれが日本を守っているのだ」と言った。そしてVOICEクラスの最後に彼が言ったことは、「年に数回、基地が一般に開放されるお祭りがあるから、ぜひ来てみてほしい」。

この無神経さはどうだろうか。自分と日本人の立場の非対称性にまったく気づいていない。こういう講師を採用するNOVAもNOVAだが、元在日米軍の軍人が日本人生徒の前で日本人を見下した言説を延々と展開しつづけるのを目の当たりにすると、相互理解も何もあったもんじゃないと絶望的な気分になる。

ちなみにNOVAのWebサイトによればNOVAが提供するものは「異文化交流の場」なのだが、たしかに大きな違い、というより深い溝を体験できたVOICEクラスだった。



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