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London Overground
( 20010325 )

Japanese/English

今回ロンドン、パリと旅行してきたわけだが、まずは旅程にそってロンドンから、主にその交通機関について書いてみたい。ちなみにJTBの個人向け完全フリータイムのツアー6泊8日で行ってきた。ホテルやチケットをすべて自力で予約するよりお得だからだ。

飛行機での移動に往路1日、復路2日、ロンドンからパリへの移動で半日つぶれたので、実質、ロンドン、パリそれぞれ2日ずつという欲求不満の残るタイトな日程だった。結論から言えばロンドンはもういい。パリには今回2度目だったが、死ぬまでに何度でも行きたい。

さて、ヨーロッパの都市に過剰な期待と夢を抱く日本人旅行者というのも過去の遺物で、公共サービスの質は日本の方が優れていることは言うまでもない。鉄道も地下鉄も落書きの多さと係員の対応の悪さは日本の比ではないし、成田空港のサービスが悪いといってもHeathrowほどひどくはない。(一橋大学・米倉教授が成田空港ばかり非難するのはあまりフェアではないということが分かった)

現に今回の旅行、復路はCharles de Gaulleからの直行便ではなくHeathrowでの乗り換えだったがBritish Airwaysから同社への乗り継ぎcheck inでは最終搭乗がアナウンスされているにもかかわらず空港のsecurity staffは「check-inを受けろ」の一点張り。British Airwaysの係員が出てきてcheck inを省略して搭乗口へと案内してくれたから無事乗れたようなものの、あのままのろのろしたcheck inを待たされていたら乗り過ごすはめになっていたかもしれない。

空港職員と航空会社の連絡不全が原因なのだろう。最近、英国で鉄道事故が多発していたのも、鉄道を運行する会社と線路・信号などインフラの保守をする会社が別法人で、連携がうまくとれていないためだという。責任範囲が明確なだけに協力体制が機能しないという事情が英国の公共サービスの質を決定づけているのだろうか。そのわりに地下鉄も同じように鉄道運行会社とインフラ保守会社を分けるという話があるらしい。

往路でHeathrowへ到着したときの入国審査もえらくゆっくりでいらついた。学生時代、JALの直行便でパリのCharles de Gaulleに入ったときは入国審査なんてするりと抜けた記憶があるのだが、英国の方が神経質なのだろうか。ひとり語学留学生らしき日本人がかなり詰問されていた。日本人のできる英国人スタッフが(そんなスタッフが存在したこと自体驚きだったのだが)通訳してくれたおかげで助かっていたようだが、自分の身分も英語で主張できないようでは語学留学も危ぶまれるなぁ、と後ろで聞きながら僕は内心思っていた。だがガムをくちゃくちゃやりながら入国審査するのはやめてほしい。(ちなみにこの日本語のできる英国人女性スタッフは帰りの搭乗口にも立っていたので、みなさんもBritish Airwaysの直行便でHeathrowに到着したら出逢う確率が高い)。

僕はといえば滞在目的と日数、次の目的地と移動手段、職業を聞かれたくらいですんなりと通過した。職業を聞かれたときsystem engineerと答えたが「?」という顔をされてしまった。System engineerはもしかすると和製英語なのだろうかと思いcomputer engineerと言い直したら、女性職員は「engineer」という言葉だけを繰り返してようやく納得したようだった。

地下鉄の自動販売機も日本に比べればかなり見劣りするだろうと思っていたが、黄色い文字で自動販売機の上に表示される「釣り銭切れ」にさえ注意すればそれほど使いにくいものではない。窓口のご厄介にならずにOne Day Travel Card(1日地下鉄・バス乗り放題チケット)をボタンひと押しで購入できた。すべての駅で降りたわけではないが「釣り銭切れ」表示が出っぱなしの自販機はついに見つけなかったので、意外にメンテナンスが行き届いているといえる。

地下鉄そのものについても、よく言われるように待てど暮らせど電車が来ないということはなかった。Circle Line, Jubilee Line, Nothern LineなどZone 1内の主要な地下鉄はストレスがない。いちばん待たされたのは郊外のKew Gardens駅までDistrict Lineを使って出かけたときで、Gloucester Road駅でRichmond行きを15分くらい待っただろうか。それだってちょうど到着したRichmond行きを、駆け込み乗車するのが面倒でやり過ごしてしまったからだ。

このあたり、やはりブレア首相に代わってから合理性と効率性を追求しなければ世界に取り残されてしまうという健全な危機感が生まれたということだろうか。意外に快適な地下鉄だった。

なお2001/03/20現在、District LineのEdgware Road駅からEarl's Court駅あたりが工事中で普通になっている。この区間はかわりにCircle Lineが使えるので問題ないが、そのせいでRichmond行きの本数が少なくなっていたのかもしれない。今回宿泊したのはHigh Street Kensington駅のCopthorne Taraというホテルで、そのちょうど裏手でこのDistrict Lineの工事をしていた。

underground(ロンドンでは地下鉄のことをundergroundと呼ぶ。ロンドンの街中を歩いていると「UNDERGROUND」とまったく同じデザインの「SUBWAY」という標識に出会うが、これは単なる地下通路のこと)

最初Heathrowに到着して長い長い入国審査の列をようやく脱した後、JTBの現地係員からイタリア人の運転手を紹介され、ホテルまでベンツの安っぽいワゴンで送ってもらった。そのとき彼は「Are you going to Tara?」と確認してきた。こちらはCopthorneという名前ばかり頭にあったので一瞬とまどったが、そもそもCopthorne TaraはホテルチェーンのCopthorne Hotelsが元あったTaraというホテルを買い取ったもののようだ(そんなことがホテルの壁に書いてあったような気がする)。だからむしろTaraの方が識別名なのだ。

HeathrowからTaraまでは金曜日の夜ということでかなりの渋滞だった。ふつう雇われ運転手はツアー客と話すことなどないのだろうが、Heathrow空港の敷地内にコンコルドが2機、おとなしく停まっていたのを見つけた彼は「Concorde」と教えてくれた。いちおう「もう飛んでいるの?」と確認したが「飛んでいない」ということだ。

ちなみにロンドンからの帰り、Eurostarに乗るためWaterloo駅に向かうマイクロバスの運転手もイタリア人だった。ロンドンの雇われ運転手はイタリア人である確率が高いのだろうか?個人向けツアーでロンドンに行ったことのある方はメール頂きたい。

その帰りのマイクロバスで、英国という国から僕がまったく期待していなかったことがひとつ起こった。JTBの現地係員が英国最後ということでWaterloo駅までの道すがらバスガイドのまねごとをやってくれたのだが、傍目にもそれがわかったらしく、ある信号待ちで横にならんだトラックの運転手が、そのガイドにしきりにうなずくパントマイムをトラックの窓ごしにふざけて演じてくれたのだ。おかげで車内はなごやかな雰囲気になり、バスが駅に停車したとき、トラックはクラクションを3度ならしながら陽気に走り去っていった。運転手は見た目に明らかにアングロサクソン系だったが、労働者の陽気さをかいま見た気がした。

ロンドンと言えば2階建てバスや黒塗りタクシーが有名なのだが、バスは土地勘がなくて乗り過ごすのがいやだし、タクシーはチップを含めて料金を払うのが面倒なのでついぞ乗らずじまいだった。結果的に雨と強風の中、市内を歩きづめだったので地下鉄だけでほとんど用が済んでしまったのだが。

最後にBritish Airwaysに賛辞を。帰りの成田行きは席に余裕があったのでエコノミー料金でビジネスクラスを2席も占領でき、ぐっすり眠れた。クルーも親切で快適な旅だった。たしかに機内食はメニューによっては英国流のしつこい味付けでうんざりだが、エコノミーでも全席専用の液晶モニターで最新映画(字幕なし)から英国でおなじみのTV喜劇番組(マニアックすぎて何が面白いのかほとんど分からない)まで楽しめるので13時間くらいすぐにたってしまう。いつ飛行機が墜ちるか心配な人はつねに現在位置表示のチャンネルにしておこう。

めぼしい観光名所についての退屈な報告はやめにしよう。そのかわりロンドンの街の下らない細部についてのエッセーを、続きに書いてみたい。


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