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![]() NASDAの経営改革 ( 19980817 ) 「技術は一流、経営は三流」と言われる日本企業、英『エコノミスト』1998年8月8日号は、日本の宇宙開発事業の経営を切れ味鋭く批判している。 肥大した官僚制度による税金のムダづかいがよく批判されるけれども、よく考えれば「おりひめ」と「ひこぼし」のドッキングが失敗するごとにだって、国民の税金は確実に浪費されている。 それは宇宙開発事業が技術的に難しいからなのか、たんに品質管理がずさんだからなのか?少なくとも英『エコノミスト』は、後者が原因だと断じている。 英『エコノミスト』の記事の紹介に入る前に、今朝(8月17日)の日本経済新聞朝刊に、やはり日本企業の三流経営に関する記事が見つかった。米『インダストリー・ウィーク』誌選出の優良経営100社中、日本企業がたった6社しか入っていないというのだ。 さっそく同誌のサイト「世界の優良経営企業100社」をあたってみた。この手のランキングは選出方法によってかなりブレが出てくるのだろうと思うが、以下の方法で選ばれているとのことだ。 この結果、100社に残った日本企業は、以下の6社ということだ。
(注:ちなみに、情報技術関連の各国企業では、エイサー、コンパック、デル、インテル、マイクロソフト、オラクル、SAP、サン・マイクロシステムズ、などが入っている。残念ながらネットスケープ社は見当たらない) そもそもアメリカ基準で選出されているので、米国企業偏重のランキングに疑問はなくもないが、ここに選出されていない企業の経営が、専門家の評価を受けていないという点は確実だろう。 じっさい、イギリスの週刊誌『エコノミスト』でも、日本企業の経営のまずさに関する批判はネタがつきないようで、日本のNASDAによる宇宙開発事業にもその矛先が向けられたというわけだ。 この記事によれば、2000年に2度目の打ち上げ予定のNASDAのJ1ロケットは、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、中国の商用ロケットに比較して2倍以上の費用がかかるという。なぜNASDAはこれほど明白に非効率的なのか? 同誌は、省庁の内部対立と、競争原理が不在の2点を指摘している。 省庁の内部対立については、僕も知らなかったのだが、日本の宇宙開発事業は、文部省(ISAS)と通産省(NASDA)が内輪で予算の取り合いをしているらしい。典型的なタテ割り行政の弊害だ。 1970年、日本最初の人工衛星を打ち上げた功は文部省のISASにあるが、そのISASが商用利用も可能なM-5ロケットを実用化するにおよんで、1975年設立のNASDAは「ISASつぶし」にかかる。1980年、ISASが建設する学術目的のロケットに、大きさの制限を加える法律を可決させたのだ。なんて醜い内輪もめだろうか。しかし実際には、ISASは政治家たちをうまく説得して、商業利用可能なサイズのM-5を完成させた。 次に、競争原理が存在しないことについて、同誌は、いくつかの点を指摘している。 まず、NASDAの費用管理のまずさ。H−IIプロジェクトについて「純国産」に固執した結果、開発費は2500億円、一回の打ち上げごとに190億円という、欧米製のロケットに比べで2倍以上の費用がかかる代物が完成した(ERPパッケージの標準モジュールを生かしきれず、カスタマイズに何億という金をつぎこむ日本企業の姿がダブってくる)。 さらに、NASDAの品質管理のまずさ。今年の2月、H−IIロケットの打ち上げは燃料もれにより失敗に終わったが、これは2年前の噴射テストの際に使った機器をロケット内部に置き忘れたまま打ち上げたことが原因だと言う。この単純な不注意のために、請負業者である三菱重工は国民の税金690億円をムダにしてしまった。 NASDAはロケットの設計が完了すると、パーツごとに複数の請負業者に建設を発注するが、納品の際の品質検査は業者まかせだという。『エコノミスト』誌は、NASDAのずさんな品質管理体制の根本原因は、「日本には、大企業が犯したミスについてはっきりした説明を求めたり、罰則を与えたりするメカニズムが存在しないこと」であると論じている。 この記事によれば、日本の衛星ビジネスで圧倒的なシェアを握っている三菱電機は、米国国防総省流に、特定の1社がプロジェクトの全責任を負う「プライム・コントラクター」制度を導入すべきだと考えている(考えているのなら実行に移して欲しいものだが)。 結局NASDAは、三菱重工に対する懲罰的な意味と、新鮮な空気を取り入れるという意味も含めて、請負業者を石川島播磨と日産自動車に変更して、H−IIプロジェクトを継続する。石川島播磨はロシアの技術を導入し、日産は高コストな固形燃料から液体燃料へ切り替えることで、大幅なコスト削減を狙っているという。 たしかに宇宙ビジネスは僕らに夢を与えてくれるけれども、その夢には多額の税金がつぎこまれていることを忘れてはいけない。ここにも三流経営の罪過があるというわけだ。 無断転載禁止
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