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![]() デフレ懸念は本当? ( 19981016 ) 英『エコノミスト』10月10〜16日号から、とってもためになる記事(アジア版77ページ「Singing the deflationary blues」)。 世の中のエコノミストたちはデフレ、デフレと口走るけど、今の世界ってホントにデフレになっちゃうの?という根本的な疑問を『エコノミスト』のこの記事は突きつけている。 ニセものエコノミストにだまされないためにも、このホームページの賢明な読者には英『エコノミスト』誌を英和辞典と首っ引きで毎週読むようにお勧めする。 『エコノミスト』の記事はこの疑問に対して「違う。ただし一国を除いては」と答えている。もしホントにデフレになれば1930年代の世界恐慌が再現される恐ろしい事態になるのだから、ホッと胸をなで下ろしたいところだが...。 世界のデフレ論者は3つの事実を論拠としているとのこと。(1)商品価格の下落(2)生産者価格の下落(3)債券利率の下落。まず商品価格の下落から言えば、原油や原材料価格の下落はかえって先進諸国企業のコスト削減を後押しして、実体経済にとってはプラスに働く。 つぎに生産者価格もたしかに世界中で下落しているが、原材料価格の下落とアジアの供給過剰が原因。サービス業では逆に価格は上昇している。デフレじゃなくて低水準のインフレというだけだ。 最後に債券市場もたしかに歴史的な低水準。債券利率は実質的なリターン、期待されるインフレ、発行者が支払不能に陥るかもしれないリスクに対するプレミアの3つからなる。実質的なリターンとリスクプレミアが一定とすると、利率低下はインフレへの期待薄となる。しかし債券利率の下落は実際にはリスク回避のための投資資金が、より安全な債券市場に流れこんでいることからくるものである。 デフレ材料としてはまだ通貨供給量の不足懸念があるが、アメリカ・ヨーロッパはまだ利下げ・減税でデフレを回避する余地は十分にある。 さて、『エコノミスト』誌の分析によれば、このあたりから「ある一国」の旗色ががぜん悪くなってくる。物価の下落を防ぐ要素として、賃金カットが非常に難しいという事実がある。しかし、その顕著な例外が他ならぬ日本なのだ。 『エコノミスト』から離れてちょっと考えてみると、今この国では冬のボーナスをめぐって労使交渉が行われている(冬のボーナスの交渉を春闘でまとめて行っている労組は除く)。ひょっとすると日本の労使協調の伝統が、日本のデフレスパイラル懸念に拍車をかけるかもしれないのだ。 今回の交渉で労組がスト権を発動せず、会社側の一時金大幅カットを受け入れてしまったとしたら、物価下落を食い止めるはずの賃金アップという要素がなくなってしまう(今回ストをやらなかったら、日本の労組なんてない方がましだな)。そうすればますますデフレ懸念は深刻になる! そして最後にこの記事は、日本を名指しでデフレ懸念がホンモノである唯一の国だとしている。物価・資産価値・賃金がそろって下落しつつあるからだ。この結果、日本は流動性の罠(liquidity trap)に陥るかもしれないと書いている。 今のところ日本政府はデフレ回避に失敗している。この記事の結びは日本に住む僕らにとってはそら恐ろしい。「現実には、近代経済においてデフレを起こすのは非常に難しい。日本政府も最善を尽くそうと努力している。しかし幸いなことに、世界中の他の国は日本を真似しないようにしようとしている」。 なんてこった。それにしてもこんなことになったのは、いったい誰のせいだろうか?既得権益にしがみついている世代の責任ではないのか? 無断転載禁止
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