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![]() ERP死屍累々 ( 19980124 ) 米「FORTUNE」誌2月2日号に、「ERP戦略...ある電子機器メーカーはERPソフトで人員と書類を減らし、大幅な費用削減に成功した。だがラッキーな企業ばかりとは限らない」という記事がある。 この記事は多くのERPに関する記事の例にもれず、SAP R/3などのERPパッケージの導入の難しさを指摘している点でとくに目新しさはないが、僕らが注目すべきは、SAP社が未曾有の成長を続けている一方で、この手の記事に国内外問わずことかかないという事実だ。 この事実は、このような記事が何度も書かれ雑誌や新聞で発表されているにもかかわらず、ERP導入にかかわる同じ失敗をくり返す企業があとを絶たない、ということを雄弁に物語っている。いったいいつになったら、安易にERPパッケージに飛びつく思慮のない経営者がなくなるのか。 このFORTUNE誌の記事にもあるが、ERPの導入を決定した多くの経営者たちは、それを単なる情報技術の導入だと考えがちである。彼らは、ERPパッケージの導入によって血の出るような大幅な業務改革を迫られるのだ、という意識に欠けている。同誌もこの点を指摘して、「ERPを成し遂げようとするいかなる会社も、経営トップの参画が必要になってくる」と書いている。 しかし多くの経営者や幹部は、「たかが情報システムのために窮屈な思いをするという考えに抵抗している」(同誌)たかがSAP R/3の導入のために、自分たちが今まで長い時間をかけて作り上げてきた業務フローを変えるなどとんでもない!情報システムなんてただの道具なのだ!たかが道具のために、現在の業務遂行をおびやかすような、業務改革などする必要があろうか!ほとんどの経営幹部は、内心そのように思いながらも、時代の流行に取り残されまいという単なる「見栄」から、ERPパッケージの導入に着手する。 たしかに短期的には、ERPパッケージの導入というだけで、あたかも「あの会社はいよいよ本格的な業務改革にのり出したぞ」という好印象を対外的にあたえることはできるだろう。しかし、FORTUNE誌の記事がくり返し述べているように、ERPパッケージの導入コストは膨大である。 ERPパッケージソフト会社のコンサルタント料、情報システム部門の担当者の教育研修コスト、エンドユーザの教育コストなどなど...。同誌の記事は言う。ERPパッケージの導入にまつわる恐ろしい失敗談は、「ウィンドウズの画面が突然ドイツ語をしゃべり出すというものから、フォクスマイヤー・ドラッグ社の倒産まで」、成功例よりもはるかに多い。 近視眼的にERPパッケージを導入した企業は、導入の過程で現状の業務フローに固執し、標準パッケージに対するカスタマイズやアドオンを膨張させる。なんとか稼動にこぎつけたとしても、自前でアドオンした部分をパッケージのバージョンアップに合わせて書き直すコストを、永遠に負担することになり、結局大きなコスト削減効果を出せないだろう。 このような失敗をやらかさないように、たとえばSAP社のような良心的なERPパッケージ会社は、導入を考える企業に対して小冊子やホームページ上で警鐘を鳴らしている。こちらに掲載されている、SAPinfoというのがその一例である。 ERPパッケージを現状の業務フローに合わせるのでなく、あくまでパッケージに合わせて業務フローを革新するのである。ERPパッケージに関するあらゆる記事が、この単純な命題をくり返しくり返し伝えてきているのに、いまだにそのことを理解していない企業が存在する。だからこのFORTUNE誌の記事のように、何度でも同じことをくり返す必要があるのだ。 ERPパッケージの導入によって自動的に業務が効率化され、ぺーパレスが実現するのではなく、ERPパッケージはその努力のためのツールに過ぎない。だからこそ逆に、たかがツールに過ぎないもののために、今まで築き上げた業務フローをあっさりと捨てる決断が迫られているのだ。 日本でも、SAP R/3の導入を公表している企業がたくさんあるようだ。そうした企業の業績を注意深くフォローしてみよう。ERPパッケージを正しく導入しているかどうか?それは業績や株価を見れば一目で分かるだろう。 SAP R/3を導入したにもかかわらず、目立った業績をあげていない企業は、おそらく大きな間違いを犯していることに気づいてさえいない。そのような企業は、たかが情報システムのために今までの業務フローを変えられるのはごめんだ!という、頑固な経営幹部や実務担当者によって変革への力を失っているに違いない。 日本の大企業に働く保守的な40代、50代に、根本的な自己改革・自己否定のパワーがあるだろうか?おそらく彼らは大きな失敗を犯すことを恐れて、現状の業務フローを死守するだろう。そしてERPパッケージの周辺に、巨大なアドオンの塊を築き上げて、ついにはほとんど原状をとどめない100%オーダーメード・パッケージというわけの分からない代物を作り上げ、その維持管理コストを次の世代の固定費として残す可能性が高い。 FORTUNE誌は書いている。「ERPを、それ自体ひとつの事業計画と考えずに、最新技術の活用だと考えるのはとんでもない間違いだ」 単にバスに乗りおくれまいという気持ちからERPに飛びついた企業は、これもこの記事から言葉を借りれば「これから暗闇を見ることになるだろう」 無断転載禁止
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