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ノーツとデスクネッツの比較:掲示板と電子会議室
Notes/Dominoとdesknet'sの比較(04)
2006/02/28

Notes/Dominoとデスクネッツの機能比較の続き。今回は「インフォメーション」機能と「電子会議室」機能である。

「Notes/Dominoを導入したけどメールと掲示板(そして場合によってはスケジュール管理)にしか使っていない」というのは、Notes/Domino以外のグループウェア製品がNotes/Dominoを批判するときの常套句である。メールと掲示板にしか使わないのであれば、わざわざNotes/Dominoのような管理負荷のかかるグループウェアを導入する必要はない、だから手軽な弊社製品を、という意味だ。

じっさいデスクネッツ・エンタープライズ版のWebサイトで「Notes/Dominoユーザへ」という項目を見ると、Notes/Dominoをすでに導入している企業でも、デスクネッツを導入して、掲示板、スケジュール管理、メールの3つの機能をデスクネッツに分担させることで最適なシステム構成になると訴求している。

しかしこれは明らかに無理のある提案だ。なにしろデスクネッツのエンタープライズ版はスタンダード版と違ってRDBMSが必要なので、それほど手軽に運用できる製品ではない。しかもNotes/Dominoとデスクネッツでユーザ管理が二重になり、DominoディレクトリをLDAPサーバとしてシングルサインオンを実現しようと思うと、同じデスクネッツ・エンタープライズ版の「LDAPとSSO」の項目を読むと分かるように、別途追加開発が必要とある。

ここまでしてNotes/Dominoとデスクネッツ・エンタープライズ版を並存させるくらいなら、Notes/Domino用のグループスケジュール管理ソフトや、Notes/Domino用の市販の掲示板・電子会議室テンプレート(松下ネットソリューションズの「ファーストステップキット」、コムチュア社のCNAP Solution PLUSなど)を追加購入すればいい。デスクネッツ・エンタープライズ版の価格帯を考えれば、費用面でもこちらの方が安上がりになるのではないか。

ではそのデスクネッツの掲示板、電子会議室機能はどんなレベルのものなのか。デスクネッツはスタンダード版とエンタープライズ版では、システム構造が違うだけで、機能面ではまったく同じである。したがってデスクネッツの掲示板機能が、本当にNotes/Dominoの掲示板機能を代替するだけの機能を持っているかどうかを検証してみたい。

結論から言ってしまえば、すでに読者の予想どおり、Notes/Dominoにとってかわるだけの機能は持っていない。デスクネッツの掲示板機能は「インフォメーション」という名称になっているが、Notes/Dominoに比べて決定的に欠けている機能が掲示文書の分類機能だ。

Notes/Dominoでは文書一覧画面(ビュー)で「カテゴリー」という特別な種類の表示方法が可能になっている。エクスプローラーのフォルダのようなツリー構造で、同じカテゴリーに属する文書を、閉じて非表示にしたり、展開して一覧表示したりすることができる。このカテゴリー別表示機能を利用して、掲示文書一覧を初めはカテゴリーがすべて閉じた状態で表示するようにしておけば、ユーザはいちいちすべての文書のタイトルに目を通す必要もなく、見たいカテゴリーだけを開けばよい。

Notes/Dominoのカテゴリー表示機能の便利なところは、文書一覧画面(ビュー)上で「カテゴリー」という種類にした列に表示させるデータに、半角の円マーク「\」で区切った値を入力すると、まるでフォルダーのように階層表示される点だ。「システム関連\営業支援システム\利用者マニュアル」というデータを入力しておくと、画面上はまず「システム関連」をクリックして開くと、下位階層に「営業支援システム」というカテゴリーが出てきて、さらにこれをクリックして開くと「利用者マニュアル」というカテゴリーが出てくる、といった具合に、順番にフォルダーを展開していくように、段々と展開表示させることができる。

さらにNotes/Dominoでは、一つの文書を複数のカテゴリーに分類できる。たとえば営業部門向けの経費精算についてのお知らせ文書がある場合、「営業部門向け」と「経理処理」という2つのカテゴリーを入力しておく。すると文書一覧では、「営業部門向け」カテゴリーを展開してもこの文書が出てくるし、「経理処理」カテゴリーを展開してもこの文書が出てくる。つまり文書一覧画面に、この文書は2回登場することになる。

Notes/Dominoに慣れないと、同じ文書が2回登場するカテゴリー表示機能には少しとまどうが、同じ情報も見る人によって分類が異なるという当たり前の事実に沿った、Notes/Dominoならではの「情報共有哲学」が垣間見える機能である。

デスクネッツの「インフォメーション」や「電子会議室」には、このカテゴリー別表示の機能が存在しない。その結果としてどうなるかというと、自分に関係あるものも、無関係なものも、すべての掲示文書がのっぺりと一覧で表示されることになる。しかもデスクネッツの「インフォメーション」機能では、複数の掲示板を作成できない。すべての掲示文書が単一の掲示板上にだらだらと表示されるのである。

Notes/Dominoのカテゴリーにあたる機能を補うために、デスクネッツでは掲示文書に「インフォメーショングループ」というものを設定できる。掲示文書が「全社向け」のものなのか、「営業部」向けなのか、「購買部」向けなのかなどの切り口で、掲示文書を分類する機能だ。

デスクネッツの「インフォメーショングループ」機能は同時に、各掲示文書を閲覧できるユーザ範囲の初期値を設定する機能も兼ねている。たとえば「営業部」というインフォメーショングループに、「営業一課」「営業二課」「業務課」を設定しておけば、掲示文書を作成するときにインフォメーショングループとして「営業部」を選択すると、その掲示文書の「閲覧先」に自動的に「営業一課」「営業二課」「業務課」が設定される。もちろんこの初期値は手で変更することができる。

そして、掲示文書の一覧画面には「インフォメーショングループ」を選択するプルダウンリストが付いている。このプルダウンリストで、見たいインフォメーショングループを選択すると、自動的にそのインフォメーショングループに分類されている掲示文書だけにしぼりこんで表示されるようになる。Notes/Dominoのカテゴリー機能を擬似的に再現した機能だ。

参考までにNotes/Dominoでは、掲示板、電子会議室にかかわらず、あらゆるアプリケーションで文書ごとに閲覧ユーザを制限できる。入力フォームを設計するときに「読者」という種類の入力フィールドを設けておくと、そのフィールドに入力されたユーザしかその文書を閲覧できなくなる。

Notes/Dominoには「掲示板」テンプレートは付属しないが、電子会議室(ディスカッション)テンプレートが掲示板にも電子会議室にも両方の目的で使える。ただし付属のテンプレートには文書ごとに閲覧ユーザを制限する機能はついていないので、自分でカスタマイズするか(入力欄を1個追加するだけだ)、面倒なら上述のCNAP Solution PLUSのようなできあいのパッケージ製品を購入すればよい。

デスクネッツの「インフォメーション」機能では、文書ごとに掲示開始日と終了日、重要度を設定できる。これもNotes/Dominoのディスカッション・テンプレートには存在しない機能なのでカスタマイズする必要があるが、面倒ならパッケージ製品を購入すればよい。開始日と終了日の2つの入力欄を追加し、文書一覧で「今日」が開始日と終了日の範囲に入っている文書だけを表示させるような絞込み条件式を設定するだけだ。

デスクネッツでは「インフォメーション」機能で複数の掲示板を作成することができないのに対して、「電子会議室」では複数の会議室を作成できる。Notes/Dominoの場合は個々の掲示板や電子会議室が1個のデータベースファイルなので、好きなだけいくつでも作成できる。逆にいくつでも作成できるために、情報システム部門がユーザ部門を統制するのが下手くそな場合は、無数の掲示板・電子会議室が乱立してしまう。

デスクネッツの「電子会議室」はシステム管理者であれば複数作成でき、各電子会議室にアクセス制限をかけられる。電子会議室なので当然ではあるが、他の人の作成した文書に対して返答をつけていき、ツリー状(スレッド形式)で一覧表示することもできる。このあたりはNotes/Dominoのディスカッション・テンプレートと同等だ。添付ファイルもつけることができる。

「電子会議室」についても「インフォメーション」(掲示板)機能と同様に、カテゴリー別表示機能がない点が非常に不便である。たとえば情報システムに関するQ&A電子会議室のようなものを開設し、文書数が増えてくると「営業支援システム」「会計システム」「購買システム」など、関係するシステムごとに分類して文書を表示させたくなる。しかしデスクネッツではこれが出来ないので、文書の件名の冒頭にシステム名を必ず入れるなどのルールを作るか、システム別に電子会議室を作るしかない。Notes/Dominoなら一つの電子会議室の中にカテゴリーを切ることができるので、一つの電子会議室をあたかも複数に仕切られた電子会議室のように使うことができる。

デスクネッツの「電子会議室」機能で注意したいのは、各スレッドのいちばん最初の発言に「保有期間」を設定しておくと、その保有期間が来たらその発言にぶら下がっているすべての返答も含めてまるごと物理的にデータが削除されてしまう点である。筆者はこのことをユーザに指摘されてバックアップテープからデータを戻そうとしたことがある。

デスクネッツ全般に言えることだが、画面によっては「削除」ボタンをクリックすると「削除していいですか」という確認メッセージもなく即座にデータが削除されてしまう。Notes/Dominoなら、[Shift]+[Delete]を押さない限り、いったんごみ箱に入って、後から完全に削除するかどうか確認される、という2ステップになっている。そう簡単にデータを物理的に削除されても困るのだが、デスクネッツはお手軽グループウェアなのだから仕方ない。

以上をまとめると、デスクネッツの掲示板・電子会議室機能はカテゴリーで文書を分類・表示する機能がない点が大きな欠点である。そんな機能はいらないというのであれば、Notes/Dominoと遜色なく使えるのでそれほど悪くはない、という結論になる