Notes/Dominoとデスクネッツの機能比較の続き。今回はデスクネッツの「スケジュール」「設備予約」機能で、他人の予約した設備を変更できるような運用をしたい場合の、とっても面倒な設定と手順についての説明だ。
たとえばこんなケースである。営業部一課のAさんが顧客との打合せスケジュールを、第一会議室の設備予約とともに登録していたとする。ところが営業部二課のBさんに、顧客企業のトップが来社する緊急かつ重要な会議が入った。
Aさんの打合せは2人だけなので、第四会議室でも十分だが、Bさんの緊急会議は8人が参加するので、Aさんの第一会議室と第四会議室を入れ替えたい。ところがAさんはあいにく席をはずしていてつかまらず、Aさん自身に予約を変更してもらうことができない。
こんなとき、AさんやBさんの部下やアシスタント、あるいは受付でAさんの登録してある予約を変更できるようにしておく必要がある。
もちろんデスクネッツの予約データを変更せずに、口頭で「会議室を交換しましょう」と確認すればいいという話もあるが、これを何度もやっていると、そのうちデスクネッツが使われなくなる。いったんグループウェアを導入したら、グループウェアをつかわない情報共有を禁止する覚悟がなければ、絶対にグループウェアなど定着しない。これはグループウェア導入の基本中の基本である。
さて、デスクネッツでは、スケジュール・データについては他人のスケジュールを自由に追加・変更・削除する設定がかんたんにできるのだが、設備予約のデータについてはそう簡単にはいかない。
上記のケースで、Aさんのスケジュールについて変更権限をもつAさんのアシスタントが、Aさんの打合せスケジュールを変更しようとすると、権限がありませんというエラーになってしまう。なぜかといえば、第一会議室が同時に予約されてしまっているからだ。
会議室などの設備予約は、デスクネッツの場合、原則として予約した本人しか変更することができない。では、アシスタントや受付が他の人の予約した設備を自由に変更できるようにするにはどうすればいいか。アシスタントや受付を、設備予約機能の「管理者」として登録しておく必要があるのだ。
設備予約機能の管理者は、初期状態では「システム管理者」だけである。したがって設備予約機能を表示した状態で、画面右下の「管理者設定」ボタンをクリックし、左上のメニュー「管理者設定」をクリックして、アシスタントや受付にあたる人たちの氏名を、管理者に追加して保存する。
しかし、それだけではまだAさんのスケジュールを変更できない。設備予約機能に「管理者」権限のあるユーザであっても、そのスケジュール・データの「登録先」欄に自分以外のユーザの氏名が入っているかぎり、変更・削除できない。これがデスクネッツの設備予約機能の非常に面倒で奇妙なアクセス制御である。
ではどうすればよいか。スケジュール・データを開いて、「登録先」欄の「選択」ボタンをクリックして、「登録先一覧」に入っているユーザ名を「←削除」ボタンで削除してから、いったんそのスケジュール・データを保存しなければならないのだ。
保存したら再度そのスケジュール・データを開く。すると、設備予約機能に「管理者」権限をもつユーザなら、設備を変更できるようになっているので、第一会議室を第四会議室に変更すればいい。
Bさんのスケジュール・データについても同じように、「登録先」欄から登録者のユーザ名を削除した上でいったん保存し、再度同じデータを開いてから第四会議室を第一会議室に変更する。
これでアシスタントや受付が他の人の登録した設備予約を変更できるような運用が実現可能になる。
ところが、である。これでも実運用上はまだ問題が残る。デスクネッツの設備予約では、カレンダー画面上の表示形式として、「所有者を表示」「利用目的を表示」「利用目的と所有者を表示」の3パターンが選択できる。
設備予約のカレンダー画面を開いて、「どこか会議室が空いていないかなぁ〜」と探すときには「利用目的」と「所有者」の両方が表示されていると便利なので、だいたいはこれら両方を表示させる設定にするのが一般的だろう。
ちなみに「所有者」とはその設備予約を登録した人の名前である。「所有者」がカレンダー一覧画面に表示されていれば、「Aさんに第一会議室をゆずってもらおう」ということが一目で判断できる。
しかしデスクネッツ「設備予約」のこの「所有者」表示がくせものなのだ。実はこの「所有者」表示は、最初にその設備を予約したユーザ名ではなく、最後にその設備予約を変更したユーザ名なのである。
したがって、上述のようにアシスタントや受付が他の人の設備予約を自由に変更できる運用にすると、変更した後の「所有者」はアシスタント名や受付の人の名前に書き換わってしまう。
そうすると、仮に会議室が10個あって、1日のうちに各会議室に5〜6の予約が入っているとすると、50〜60個の予約がカレンダー画面で一覧になっている中で、「もともとAさんが登録した予約」がどれなのか、いちいち覚えていられなくなる。
もともと誰が登録した予約なのかがわからなくなると、今度は別のCさんが「会議室を交換してもらいたい」と受付に言ってきた場合、受付も混乱する。自分が変更してしまった予約は、画面上、自分が「所有者」となっていて、もともと誰が予約したのかわからなくなってしまい、もとの予約者に連絡を取ろうにも取れなくなってしまうからだ。
本来ならカレンダー一覧上表示する「所有者」は、最終更新者ではなく、最初の登録者であるべきなのだが、デスクネッツの設備予約機能は残念ながらそうはなっていない。
そこで、この不都合も運用によって回避するしかない。つまり、アシスタントや受付が他の人の設備予約を変更する場合は、「利用目的」欄に、もともとの登録者の氏名を追記するようにする、という運用ルールを決めておくのだ。
じっさいデスクネッツを使ったことのない方には、このように説明してもピンと来ないかもしれないが、個々人のスケジュール管理と設備予約が連動しているために、このような面倒な設定や運用ルールが必要になってくる。
Notes/Dominoの場合は、逆にデスクネッツのようにカレンダー形式で一覧できるような設備予約機能がないので、もともとここまでの利便性を追求できない。デスクネッツよりも機能や画面表示の見やすさが劣るので、そもそも上述のような不都合が起こる余地がないのだ。
Notes/Dominoでデスクネッツやサイボウズ並みの見やすさをもったスケジュール管理・設備予約機能を実現しようとすると、別途、Notes/Domino対応のパッケージソフトウェアを購入する必要がある。
ところがNotes/Domino対応のスケジュール管理・設備予約パッケージは年々数が少なくなっており、2006/02時点でめぼしいものといえば、日立の「HI賢者」、NECネクサソリューションズの「マイルドコレクション」、TISソリューションビジネスの「業務一式 Reserve 2000」、松下ネットソリューションズの「MIるンだ!」、キーウォーカーの「CX Schedule for Domino」くらいだろうか。
この中で筆者が実際に試してみたのは「HI賢者」「CX Schedule for Domino」「MIるンだ!」だけだが、デスクネッツやサイボウズの分かりやすい使用感にいちばん近いのは「CX Schedule for Domino」だ。
「HI賢者」はたしかグループ・スケジュール機能を使う場合のグループを、個々のユーザが自分で設定する必要があったように記憶している。本来は各部署のグループ作成は情報システム部で「共有グループ」として設定できるようになっているべきで、それに追加して、個々のユーザが自分の好きなメンバーをグループとして設定できる、というのがあるべき機能の姿だ。
「CX Schedule」は誰でも共有グループを作成でき、もちろん個人だけでつかうグループも設定できる。画面デザインはデスクネッツよりそっけないし、各スケジュールデータにファイル添付ができないなどの制約があるが、日付入力時のDHTML表示によるカレンダー・インターフェースは、Notesクライアント同等の使いやすさで、筋がいい製品である。
もともとパッケージが持っている機能水準で比べると、スケジュール管理・設備管理機能はやはりNotes/Dominoがデスクネッツに負けてしまう。というより、仮にこの2つの機能がNotes/Dominoに劣るようでは、ほとんどデスクネッツやサイボウズといったWeb型のグループウェアをNotes/Dominoに替えて導入する意味がないと言える。
ノウハウの共有だの、ISOのための文書管理だの、多段階ワークフローだのといった高度な業務を必要としない、中小・中堅企業には、グループウェアに求められる機能を満たすのに「デスクネッツで十分」ということが言えるのかもしれない。