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サイエンスEネットの親子でできる科学実験工作(約4ページ) 最終稿
「手作りヨーグルト ~微生物の力~」
京都府立海洋高校教諭 石山正也

おいしいヨーグルトを作りましょう。目に見えない小さな生き物のパワーが伝わってくるよ。 

小さな生き物 ~細菌~
 地球上には様々な種類の生き物が暮らしています。その中でも、緑色の葉っぱを持つ植物は、太陽の光を受けて養分を作り出す(光合成)ことができます。そして、植物を食べる草食動物、その動物を食べる小型肉食動物、さらにそれを食べる大型肉食動物と食物連鎖と呼ばれる関係を作っています。動物の死骸や落ち葉や糞などを分解するのが、細菌やカビやキノコの仲間です。地球上でとても大切な役目をしています。
 細菌は、植物の仲間ですが光のエネルギーは使わずに、有機物を分解して発生するエネルギーを使って生きていま 食物連鎖の図す。そのときにエネルギーと同時にいろいろな物質を作り出します。その物質が、人間にとって役に立ったり(食品や医薬品,下水処理),害になったりします。

食品と細菌のつながり
 多くの細菌には、自分と同じ仲間以外を増やさないようにする性質があります。その性質を利用して、人間に害がない細菌をわざと食べ物にくっつけて,害を及ぼす細菌から食べ物を守り,長期にわたって保存することができるようになりました。また、細菌に食べ物を分解してもらい、消化しやすくして、おいしく食べられるようにもなりました。顕微鏡で細菌が発見されるよりもずっと前から、細菌は人間生活の中で使われてきました。
 人間が古くから利用してきた菌には、パンをフワフワにしてくれるイースト菌、お酒を造ってくれる酵母菌、お酒などにふくまれるアルコールを分解してお酢を作る酢酸菌,美味しい納豆を造ってくれる納豆菌、そしてチーズやヨーグルトを作ってくれる乳酸菌があります。

体に害になる細菌は?
○大腸菌O-157
 名前の通り大腸の中に多くすんでいる菌です。ほとんどの大腸菌は害はありませんがO157はベロ毒素という猛毒を出します。食中毒の原因になっています。
○ボツリヌス菌
 泥の中など住んでいて、酸素が苦手な菌です。神経を麻痺させる猛毒を持っています。
○腸炎ビブリオ菌
 魚介類に生息しています。食中毒の一番の原因になっています。
ブドウ球菌
 傷口などに繁殖して、化膿させます。

乳酸菌の働き
乳酸菌の仲間は、牛乳に含まれる乳糖などの糖を乳酸というすっぱい物質に分解する働きがあります。乳酸菌のこのはたらきはいろいろな食べ物に利用されています。よく知られているものにチーズやヨーグルトがあります。ヨーグルトに利用されている乳酸菌には細長い形のブルガリア菌と粒状のモーフィラス菌がいます。乳酸菌は、人間の腸の中での消化を助け、害のある細菌を減らして、体を健康にしてくれるはたらきもあります。


モーフィラス菌

ビフィズス菌ってどんな菌?
乳酸飲料のCMなどでビフィズス菌という名前をよく聞きますよね。ビフィズス菌は1899年フランスのパスツール研究所のティッシェー博士が発見した乳酸菌の仲間です。赤ちゃんの腸の中から発見された菌で、Y字に枝分かれしている形から、ラテン語で“分岐”を意味する「ビフィズス」と名付けられました。
 ビフィズス菌は、普通の乳酸菌と違って、酸素が大の苦手です。酸素があると増えることができません。そのため、酸素の少ない人間の腸の中に多くすんでいます。ビフィズス菌は乳酸のほかに、酢酸をつくります。酢酸は殺菌力が強く、腸内の他の細菌が増えるのを防ぎます。健康な腸にはビフィズス菌が多くすんでいて、悪い菌をやっつけてくれます。

ヨーグルト
 牛乳は、酸の働きで柔らかい固まりになる性質があります。牛乳にお酢やレモンの汁などを入れても固まります。ヨーグルトは、乳酸菌が作り出した乳酸によって牛乳が固まったものです。

ヨーグルトを作ってみよう!

用意するもの
牛乳・ヨーグルト・鍋・蓋のできる入れ物
毛布やこたつなど保温できるもの

(1)牛乳(脱脂粉乳でもよい)を鍋に入れ、沸騰させないように注
 意して、湯気が立つくらいの温度(約60度)で約10分間温めま
 す。これは牛乳の中に入っている細菌を殺すためです。
  蓋を入れる容器などはお湯をかけて殺菌をしておくといいでし
 ょう。
(2)蓋ができる容器に牛乳をうつします。蓋をするのは空気中の他
 の細菌が入らないようにするためです。
(3)そのまましばらく置いておき、手で触って暖かいと感じる温度
 (約40度)まで冷めるのを待ちましょう。あまり熱いと、これ
 から入れる乳酸菌が死んでしまいます。
(4)市販のヨーグルトをスプーン1杯ほど入れ、よくかき混ぜて蓋
 をします。ヨーグルトの乳酸菌は大好きな牛乳の中でどんどん増
 えていきます。
(5)乳酸菌が増えやすいように、暖かい場所で6時間ほど置いてお
 くとヨーグルトの完成です。布でくるんでコタツの中に入れたり、
 気温が高いときはそのままおいておいても大丈夫です。
  できたら冷蔵庫で冷やして食べてください。