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「Brooklyn」さん(「ぶるちゃん」でもいい。)

 

 

「崩壊」からの逃走

ぶる氏はセラピーのためにマルジャへやってきた。

「マルジャは、わたしにとって癒しになるんです。」

ある日ぶる氏はこうつぶやいている。

 

酒を呑むことで、何かから逃げ出そうとしているようにも見えるぶる氏。

「わたしが逃げだそうとしているのは自分なんです。『崩壊』してしまう自分から逃げ出そうとしているのです。」

「崩壊」とは、過度に飲酒した時、ぶる氏が陥る状態の事を言う。簡単に言ってしまえば「からむ」「暴言を吐く」「命令する」といったところだろうか。生理的には嘔吐という症状を伴うこともあるが、こちらの現場を見たという人は、まだいない。

 

「よく、オフ貝の帰りには吐きそうになります。でも、上を向いて我慢してるんです。」果たして嘔吐を催したときに上を向いておさまるものかどうかは疑問である。「翌日はもちろん宿酔いです。」そう言いつつも、ぶる氏は手許にある「ジン・トニック」を一気に呑み干した。

この日、ぶる氏の顔面はどす黒く、目は赤く腫れ上がっていた。「きのうも呑みに行ってしまったんです・・・。」

ぶる氏は、宿酔いで調子が悪くても、やはり呑みにでかけるのだ。

「カエル」の絵が描けない!

そんなぶる氏だが、ある日突然、酒浸りの生活に疑問を抱くようになった。

「わたしの考えを変えたのは、ある雑誌でした。その雑誌に、読者投稿の絵が掲載されていたんです。たとえば『カエル』というお題が与えられるんですが、読者は記憶だけを頼りに『カエル』の絵を描くというものだったんです。」

その雑誌とは月刊誌「通販生活」だ。ページをぱらぱらめくりながらぶる氏はおかわりの「ジン・トニック」を注文した。

「これです、見てください。彼らには何が見えているんでしょうか。こんなもの、カエルではないですよね。これを見ていると恐ろしくなったんです。」そしてぶる氏は、自分でもカエルを描いてみたという。「わたしだけは、こんな風に描かないわよ、そう思っていました。」ぶる氏はいったんためらいながらも続けた。

「しかし自分で描いたカエルはひどいものでした。これではまるでヌートリアです。途中で稚拙さに気がついたので、最後まで描ききることができなかったくらいです。愕然としました。」

絵を描き、社会復帰

この時ぶる氏は、雑誌に投稿している人たちと自分が同じであるということを自覚した。自分は特別ではない、この人たちと同じなのだ。そして、絵を描いて社会復帰することを決心したぶる氏は来月のお題「パンダ」に取りかかった。

「お酒ですか? もちろん、呑みながら描いたんです。」

 

そして、完成したパンダ。意外なことにうまく描けていると、ぶる氏は判断した。

「光が、光が見えたんです!」

どうやらトランス状態に突入してしまったぶる氏は、絵を描いて自分を見つめ直すことができたという。だが、こちらの世界に帰ってこられるのだろうか・・・・。

 

「芸術療法」

 左が「カエル」右が「パンダ」


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