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相変わらずじめじめした天気が続いています。毎日霧が流れて湿度は上がりっぱなしのようです。しかし雨でも霧でも狸たちは欠かさずやって来ます。早朝5時頃には丸くなって眠っているし、昼も夕方も大概は誰かが姿を見せます。 習慣になってしまったと言うか、「おやつ依存症」になってしまったのかと心配になるほどで、このまま続けても良いのかどうか目下思案している所です。とは言うものの、こちらの姿や呼び声に応えて、いそいそと近づき可愛い目と表情で見上げられると、とても止められないなと思ってしまうのも事実です。 ただ、こんな狸たちにも苦手はあるようで、強い風の吹く大雨の時には全く姿を見せません。天気の良い日でも突風が吹くとひどく怯えて藪の中に逃げ込みます。それは近くを車が走ったり、人が近づいたりした時と同様の状態です。つまり彼らはかなり臆病で警戒心が強いのだと思われます。人里に近い所にいる狸が人家の庭に現れ、人の手から直接餌を食べたりする場面を見聞きすることがありますが、今私たちに慣れ親しんでくれている狸たちは、一定の条件下でなくては近づこうとはしません。私たちも何度か試みたのですが、一定の距離と場所しか駄目なのです。それが5mくらい離れた窓の下の隣地の空き地であり、私たちは部屋の中にいることが条件で、それ以外の場合は近づこうとはしません。但し、私たちの呼び声は聞き分けられると見え、他の場所で出会って声をかけると、必ず振り返り立ち止まってこちらをじっと見つめて、とても困った風情を見せます。どうしようかと迷っているのが良く判るのです。でも決して近寄ることはありません。振り返り振り返りしながら静かに去って行きます。 当然と言えば当然でしょう。なにしろ標高450m、一番近い人家まで4kmと言う山中なのですから、彼らにしてみれば初めて親しく接した人間が私たちだったに違いありません。先ず野生の本能的な警戒心が働くのが自然な反応なのだと思います。これから先の付き合いの中でどうなっていくのか、大変興味のあるところです。 さて、こうして書いている今も「クロちゃん」と「シロちゃん」が丸くなって居眠りをしていますが、ちょっとした風音や草むらの動きに敏感に反応して目を開け首を傾げて周囲に注意を払っています。眠くて眠くてたまらない様子なので、これでは熟睡出来ないだろうと案じられます。もともと夜行性の彼らにしてみれば、本来日中は休息の時間であるはず、もっと安心出来る場所でゆっくり寝れば良いのにと気が揉めます。 こう考えると我が家の窓の下はもしかすると、安心な場所の一つなのかも知れないと、半ば我が意を得たような嬉しい気分でもあります。そして、「狸寝入り」と言われるものの真実とは案外こうした警戒心のせいかなと、負け惜しみでなく自分に言い聞かせているのです。 では、また。 |
それは突然のことでした。台風6号の風雨が収まり、台風7号の襲来が予告されていた僅かな晴れ間の昼のことでした。いつものように狸の一匹が丸くなって昼寝していたのです。ただいつもと違う印象を受けたのは、お腹の辺りがいやに黒く大きく見えたと言うことでした。よく見るとなんと小さな黒い子狸がシロちゃんのお腹に埋もれるようにして眠っているではありませんか。ああ!やっぱり子供は生まれていたんだとすっかり嬉しくなってしまいました。しかもそれを連れて来てくれたのですから。 しかし、シロちゃんが母親とは意外でした。何故ならばシロちゃんには乳房が見当たらないのです。ころころとよく太っていたコロちゃんが見違えるほどスマートになって現れた時、もしかして子供を産んだのではないかと想像したのは事実です。それが最初に子供を抱いていたのがシロちゃんだったのですから、一瞬呆気にとられたのも仕方の無いところでした。ところが更にびっくりさせられたのは、藪の中からぞろぞろと三匹の子狸たちがコロちゃんと共に現れたことです。そしてシロちゃんが添い寝していた子狸も実はやはりコロちゃんの子供だったのです。つまりコロちゃんが母親で、多分叔父さんであろうと思われるシロちゃんは子育てのお手伝いをしていたようなのです。 四匹の子狸はどういう訳かかなり体格の差があって、一番大きな子の体長は25cmくらい、一番小さな子は15cmくらいしかありません。毛の色も、大きな三匹の子たちは所謂狸色なのに、小さな子は未だ黒いのです。動物図鑑などの解説によると生後1ヶ月位は黒い毛色だと言うことなので、丁度その分かれ目の1ヶ月前後なのだろうと思われます。 子狸たちは今まさにやんちゃな悪戯盛り、食べ物の取り合いもするし、組んずほぐれつのじゃれ合いや追いかけっこも活発で、見ているうちに我ながらだらしないと思うほどメロメロになってしまいます。 そして良く観察すると、母親以外の兄弟たちが実に健気に子供たちの世話を焼きます。このことは狐の兄弟たちが両親のヘルパーとして献身する話を知ってはいましたが、狸にも同様の習性があるとは知りませんでした。もう一匹のクロちゃんも子狸たちを舐めたり、優しく噛んで毛繕いしたり、可愛い甥っこや姪っこに気遣いしているのが判ります。そして子狸たちは早くも性格の違いが際立って来ました。甘えん坊もいれば、しっかり自立している子もいる、むやみに臆病で皆の後ばかりついて歩く子もいると行った案配です。面白いのは一番体格の小さいおちびさんが、思いがけなくしっかりしていて要領の良いことです。体格では劣っていても餌の取り合いなどでは決して負けていません。 さて、全員集合したこの狸一族は今後どうなっていくのでしょうか、最初の夫婦狸はどうしたのか、子供や孫にテリトリィを譲って、何処からか見守っているのかも知れないと希望的観測をしているのですが。 では、また。 |