![]()
庭のササユリの花がたくさん咲きました。去年より1週間ほど早い開花です。そして、今年は何本かの茎が二つとか三つとか複数の花をつけてくれました。去年はほとんどひとつしか咲かなかったのです。去年推量したとおり、球根が良く肥えて力をつけたのだと思います。野外では微かな香りですが、室内に活けるとむせかえるような芳香です。 今日は束の間の晴れ間が終わって本格的な梅雨に戻り、濃い霧と強い風の中で荒れ模様の雨になりました。ササユリの花たちは激しく揺れながら健気に耐えています。木々を吹き抜ける風音の中で、ウグイスと蛙の鳴き声が聞こえます。他の生き物たちはどうしているのか、気になります。 気掛かりと言えば、とても心配なのが狸の幼い子供です。その子には二度出会っています。最初は散歩の途中、立ち止まって一休みしている時でした。何気なく遠くの景色に目をやっていたら、ふと視野の片隅に薄茶色と言うか黄色っぽいヌイグルミのようなものが映ったのです。はっとしてそちらへ目をやると何も居ません。錯覚だったのかと思った時、数メートルしか離れていない木苺の陰から首を出しているそれを見つけました。まあるい小さな顔、短い耳、可愛い目、一瞬子犬かと思いました。その子はとことこと言う感じで私の前を斜めに近づきながら歩き始めました。体長約25センチ、親指ほどの短い尻尾があり、うつむき加減に歩く姿は子犬そっくりでしたが、口吻の廻りにうっすらと黒い毛があり、漫画の泥棒さんみたいだと思った時、はっと気がつきました。 「ああこれは狸の子供だ!何時か図鑑で見たのと同じだ」と。その子は一度立ち止まりこちらを見ましたが、さして慌てる風もなく道を横切ると側溝の中に下り、相変わらずとことこと歩いて行きます。私は道の上から後をついて行き、やがて林の中に消えるのを見送ったのでした。家に帰って早速図鑑で確かめて間違いないと判りました。 それから三週間位い後のことです。庭の池の傍に腰掛けてぼんやりしている時、落ち葉を踏む微かな気配にそちらを見ると、一回りも二回りも大きくなった子狸が歩いて来るではありませんか。頭や背の毛色が大分黒っぽくなり、体型もすっかり狸らしくなっていました。図鑑の解説によると子狸は1か月半から2か月で毛色が黒くなるとあります。そうかあの子は無事に成長しているのだなと嬉しくなりましたが、これは私の勝手な思い込みかも知れません。なにしろ個体の識別が出来ている訳では無いのですから。でもそう思いたいのが本当のところです。 今度も子狸はこちらを全く気にせず、とことこ近づき目の前を通り過ぎ、草むらに消えて行きました。そのころころとした丸い後ろ姿が何とも愛嬌があって、思い出すたびに笑みが零れてしまいます。 「二度あることは三度ある」でしょうか。その時を待ちながら、では、また。 |