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NO.39
2001年5月11日  -続・シジュウカラの巣作り、その後の巻-

 連休中はぐづついた天気でしたが、この山は遊びに来る人達で賑わっていました。日頃静かに暮らしている私たちには余り歓迎できない気持ちもあります。と言うのは開放的な気分のためかマナーの悪い人も少なくないからです。
 愛犬家が連れて来た犬を放し、犬は周辺の動物たちの匂いに興奮するのか、走り回って吠え続ける。カラオケの音が谷間にこだまする。バギー車で大爆音をたてて山道を往復する。そこら中にゴミを捨てて行く。こんな有り様で連休が終わってやれやれと言うのが正直な所です。こんな素晴らしい自然環境の中へまで街中での暮らし方を持ち込むなんて、「罰当たり目」と怒るよりうら悲しくなってしまいます。
 さて、本題のシジュウカラですが、彼らには連休どころか大忙しの毎日です。また給餌行動のパターンが複雑になりました。交代で餌を運び始めたのです。それにも二つの仕方があるようです。餌を運んできて巣箱の傍らで鳴きながら待機し、相手が巣箱から飛び出していくのを見てから入るのと、いきなり巣箱に飛び込み暫くして二羽が続けて出てくるのとです。後者の場合一羽はすぐ戻って来ます。注意深く観察していると、巣箱から出て来る時に白いものを咥えている事があります。それは多分雛の糞ではないかと思います。図鑑などの説明によると「卵数:7〜10個、抱卵日数:12〜13日、巣立ちまで:16〜20日」とあります。推量してみるとまだ10日から2週間近くは充分かかりそうです。
 それにしてもあの小さなシジュウカラが10個も卵を生むとは驚きです。しかしよく考えてみると一度に生むのでは無いのでしょう。とすれば全ての子育てを終えるのは何時になるのか、産卵と抱卵と誕生と給餌が少しずつずれながら進行していくとすれば、これは大変な作業だなと感心させられます。
 連休明けは三日続きの雨、梅雨のはしりのような細かい雨と霧とそして風でした。その中でもシジュウカラの餌運びは続いていました。雨の中へ飛んでいく姿は可憐でしかも健気で「頑張れよ」と心の中で叫ばずにはおれません。
昨日今日と久しぶりに青空の爽やかな日が戻ってきました。気のせいか餌運びの頻度が増えたようです。その餌もさまざまな色や形をしています。雨と太陽のおかげで虫の数も格段に増えたものと思われます。増えたと言えば、蛇もそうです。庭でちょくちょく見るようになりました。あまり歓迎できない客ではありますが、彼らも同じ地球の住人なのだと、寛容を装っては見たものの、シジュウカラの雛は襲わないで欲しいと祈っています。
 どんな雛たちが育っているのか、巣立ちを見ることは出来るのか、期待と興味は尽きることがありません。  では、また。


NO.40
2001年5月18日  -続・シジュウカラの巣作り、その後の巻・悲劇-

 5月14日午後のことでした。その事が起こってしまいました。
 その日も、その翌日も、その次の日も、ご報告しなければと思いながら、どうしても書くことが出来ませんでした。今も本当は書きたくないことです。
 シジュウカラの餌運びはますます忙しくなっていました。どんどん間隔が短くなり、雌雄二羽だけでは無いのではないか、仲間のヘルパーがいるのではと思ったほどです。そしてそれは、雛たちの旺盛な成長ぶりを想像させ、巣立ちの日が近いことを予感させるに充分な情景でした。
 そして悲劇は起こってしまったのです。その時私は庭で野菜の苗を植えていました。二年がかりで用意した畑です。痩せた石ころだらけの山土を耕し、篩を掛けて石を取り除き、落ち葉の堆肥を入れ、剪定した庭木を燃やして出来た灰を撒いて作った小さな畑です。ままごとに近い野菜作りですが、私にはとても平和な楽しい時間でした。
 庭のはずれで双眼鏡を覗いていた家内が「巣箱の入口に茅の葉のような物が見える」と言い、私も何気なく肉眼で見て「何だろうね」と、さして気に留めることも無く農作業を続けていたのです。
 暫く経って家内が悲鳴に近い声を上げました。「蛇が!蛇が!」
 私には瞬時に事態が理解出来ました。傍にあった棒を掴んで走りました。そして巣箱から鎌首を持ち上げた蛇を見ました。戦慄が背筋を走りました。蛇はこちらの気配に気づいたのか巣箱の中に戻ってしまいました。巣箱を棒でつついてみましたが、蛇は出て来ません。私は焦りと恐怖の中でどうしたら良いものか、途方に暮れました。咄嗟に思いついたのが作業用に使っていたボンベ付きのガスバーナーです。蛇を見張っている間に、家内に取って来てもらい、点火して入口から放射すると蛇が出て来ました。1m50cmは有ろうかと言う青大将でした。胴体の中央部あたりが4,5カ所大きく膨れ上がって、無惨な結末が歴然でした。瞬間、恐怖が激しい怒りに変わり、無我夢中で棒を振り下ろしてしまいました。棒が折れて飛び散り、蛇がのたうっているのに気づいた時、血の気がさっと引くのが判りました。ああ、何ということか、自分は何をしてしまったのか、天を仰いでももう全ては後の祭りでした。何とも言えないやりきれなさと悔いだけが尾を引いています。
 無闇に近寄って子育ての邪魔をしてはいけないと、なるべく近寄らないように気遣いしていたのですが、それがとんでもない悲劇の誘因になってしまったのです。多寡が野鳥の雛が蛇に呑まれた位で何を大層な騒ぎようかと笑われるかも知れません。食物連鎖の一現象に過ぎないと冷静に談じることも出来るでしょう。しかし、1ヶ月以上見守り続けた営巣と子育てでした。自分たちの子供か身内のような感情移入があったのです。
 シジュウカラの親たちはその後も餌を運び続け、なす術も無くおろおろしていましたが、遂に入口に一匹の青虫を置いて去りました。合掌。  では、また。

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