右足手術に向けて  
右足手術のための自己血採血 一回目 
8/24 二時より輸血部自己血採血処理室にて
 
この日は午前中眼科の受診があり、整形には予約時間より1時間早く入ってしまう。

 まず整形外来で、自己血採血の部屋に持って行くカルテなどを渡される。会計表と、検査内容の用紙、そして膨大な量に及ぶ自分のカルテはずっしり重い。夫同伴なのでそれは持ってもらえた。何故か自己血採血の時だけ、カルテは患者が運ぶらしい。

 輸血部に行く前に、一般の採血室で採血をする。自己血を貯血するにあたり、最新の血液の状態を調べるためのもの。

 一般採血室での採血終了後を、輸血部へ。 予約の時間までたっぷりと余裕があり、人気のない廊下で待つ。外来棟とは別の建物で、エレベーターを降りると、3月にお世話になったリハビリの理学療法室がある。その次に腎臓透析室、大透析室があり手術部と書かれた部屋の前を通り過ぎて、輸血部に至る。そして、自己血採血処理室の廊下で待つ。患者は殆ど通らない。濃いグリーンの手術着を着た医師達が時々通りかかる。後は、掃除の業者や、検査の血液を運ぶ職員が少し行き来するくらい。

 時間通りに先生が来られる。  3月の手術の時と同じ先生だった。その日は他に患者さんはおらず私一人部屋に入る。 看護婦さんが、何か飲み物を用意していますか、と聞く。私はウーロン茶を買っておいた旨伝える。病院によっては、処理後飲み物が出るところもあるらしい。前回の貯血の時に、帰路気分が悪くなるようなことはなかったかどうかなど、問診があり、何事もなかったことを説明する。

 まず、貯血袋に貼るラベルに自分の手で氏名を書き込む。眼科の検査の時に瞳孔を開く目薬をさされたせいで、まだものが見えにくく、太いマジックなのに字が書きずらい。

 寝台に寝ころぶ。血圧計をセットしながら看護婦さんが私の顔をのぞき込んで、

「眼科で何かされましたか」
 と聞かれた。
 私が検査のことを言うと、
「やっぱりね。いくらなんでもそこまで大きく瞳孔が開くなんて変だと思ったわ」 と。

 先生は、大した洞察力だな、わしでもそこまで気がつかんと感心していた。
 右利きの私は本来は左から採血されるべきなのが、血管が細くて難儀するので、いつも通り右手から採血することになる。
 始まると少し針が痛いので、訴えると、
「壁に当たっているのだろう」
 と先生はそれ以上何もしてくれない。私の気配を察して、看護婦さんが、震える感じですか、と聞いて下さった。ちくっとする程度です、と答える。
 すると針の刺さった部分を少し操作してくれ、痛みはなくなったが、それを止めると少し痛かった。でも、大した痛みではないので我慢する。静脈で点滴や採血するのにこんな痛みは初めてだった。

 もうすぐ終わりですよ、と看護婦さん。 その言葉にほっとする。 採血終了。
 何故か、針を抜くときに先生はが、うわーと、声を上げる。先生の手元を見ると血がポタポタ落ちる針先が見えた。痛かったのは、漏れていたせいだろうか。皮下注射の一瞬の痛さは我慢できるけれど、時間の長い点滴の失敗は患者にとって辛いものだ。

 私がまだ杖をついていたので、右手を使うだろうから、血が止まりやすいようにと、いつもより時間をかけて、針を刺していた部分をきつく圧迫し続けてくれる看護婦さん。前回もそうだったが、この部屋の看護婦さんは皆丁寧で親切で、機転が効く。感謝感謝。

 採血が済み整形外科へと戻る。
 そのとき、前回には事後の注射【貧血を早く治すために、造血因子製剤(エリスロポエチン)を注射する場合があります。まれに血圧が高くなるなどの副作用があります。】はしなかった旨を看護婦さんに伝えると、輸血部の医師と電話で相談してから、やはり注射はなしということになりました。
「整形の先生からは注射の指示が出てましたが、この前の状況を言ってくださってよかったです」
 と、看護婦さんに言われました。

 今度の担当医は前回左足手術のときとは違う先生に決まっていました。
 先生も、患者が多いので、なかなか細かい一人一人のカルテは認識しきれない。前回の左足の手術の主治医が転任してしまい、今回右足は初めての先生なのです。でも、手術には立ち会って下さっていたらしいし、入院中一度だけ病室にきてくれました。その時すでに、右足の手術の時には、担当医が代わることは知っていました。

 K大病院では股関節の場合は、外来は助手の先生を除いて、二名で診察しています。いつもいつも満員で予約していても、二、三時間以上の待ち時間はごく当たり前です。それほど股関節の患者が多いということなのでしょう。今回自己血の後に、注射をするしないの判断に関して、もし私が何も説明しなかったら、そのまま注射をされていたことになるのです。これからの手術に何となく不安を覚えました。 【8/27記】

ちょっと独り言
 一般採血室のこと  私が世話になっている病院は大学の付属病院なので、とにかく広い広い。左足の手術をするまでは、股関節の悪い私には移動するだけで汗びっしょり。一般採血室は、時間帯にも寄るけれど、それほど待たされることはなかった。

 ただ一度だけ、採血室に入ると、見たこともない人数であふれかえり廊下にもぎっしり、待っていて、廊下をはさんだ採血待合室という部屋にもぎっしり、どうなっているのかとびっくりしてしまいました。その日はレントゲンも撮るので、採血の受付だけ済ませて、先にレントゲンを撮ってしまうことにしました。

 レントゲンを撮り終えて戻ってくると、採血室の人の数は嘘のように減っていて、受付の係りの人は、ちゃんと私のことを覚えてくれていて、どうぞどうぞと招いてくれた。
私は、もう杖はいらない状態なのだが、用心のために人混みなどでは使うことにしています。その日も、採血室の職員は、杖をついている私を見て、
「大変ですね、お持ちします、どうぞこちらです」
 と、採血の容器を私の代わりに運んでくれました。  
  たいてい、大病院とは素っ気ないものと思いこんでいましたが、身体に障害を持つ身にはとてもうれしいことではありました。