左足人工関節置換手術を受けて
様々な症状と処置


まだ車椅子に乗っていた頃 K大病院構内にて



 桜は満開でも、まだ寒くて

血栓症
 左足の股関節人工関節全置換手術が平成11年3月19日に行われました。その後、4月1日に右半身にしびれが出ました。
 
 その日、昼食を摂っていました。病院食にしては珍しくカレー味のおかずがおいしくて、これまた珍しく全部食べてしまいました。食事がどれくらい摂れているか記録するカードに、その日は嬉々として、全部摂れたことを印しました。
 が、その直後、まず右手の甲にビリビリと電流が走り、何だろう、と不思議に思いましたが、そのまま車椅子トイレに行きました。そのとき、胴体から下肢にかけて右側が、じんじんする感じがしました。さっきの手の甲といい、どうしたんだろうと心配になりました。
 
 部屋に帰って、おかしいなあと思いつつもそのままベッドに横になっていますと、2時半頃、もっときつく顔面にじんじんとする感覚が押し寄せてきました。
 これはおかしいと思い、看護婦さんを通じて担当医に伝えました。
「脳梗塞かな」
 担当医の言葉に私は一瞬時間が止まったような感じでした。
 担当医は、手の指を触診、大きく口を開けさせてみたり、口笛を吹く仕草をさせてみたり、神経が侵されているかどうか調べました。ぼくの手を思い切り握って下さい、といわれ力任せに握る。口も左右対称に動かせるし、目の動きも正常、水など口からこぼさずに飲めることから、神経は大丈夫ということになりました。  
 
 でも、どうしても気になったので、神経内科で看てもらいたいと申し出ました。夕方、外来を終えた神経内科の医師が病室まできてくれて、色々問診と触診を受けました。
触診は、上記した担当医と同じようなものでしたが、小道具にフワフワの付いた耳かきのようなもので、手のひらや足の甲を這わせて、感触が実感出来るかどうかを調べたり、金槌の小降りのような道具でコンコンとたたいてみたりしました。後者の道具は後で研修医の先生に教えてもらい、ハンマー
というそうです。
診察はアッという間に終わり、 大丈夫です、たいしたことありません、ということでしたのでひとまず安心しました。

脳のCTを受ける
 しびれは血栓のためだろうということなので、念のために脳のCTを撮ることに。これは、術前に股関節も撮られていましたので、それほど心細くはなかったです。ただ撮る場所が頭なので、どんな感じになるのかとは思いましたが。明るいきれいな部屋で、実際には15分くらいらしいのですが、ものの5分位の撮影に感じました。  
 結果異常なし。

胸部レントゲンを撮る
 脳には異常が認められなかったので、肺の様子を見ることに。血栓は、肺を通って脳に達すると聞きました。これが大事にいたると命に関わるというのです。
 胸部レントゲンは、呼吸器内科で撮りました。これは二度に渡って受診し、レントゲンを撮りましたが、やはり小さく白い影がありました。所見は、多分これが血栓だろう、でも大したことはない。何かはっきりしない結果でした。
 
 3度目の胸部レントゲンを撮りました。白い影はきれいに消えていました。もう大丈夫ですとの所見に、大事に至らないで済むのだと思いました。 (退院してから、もう一度念のために四度目の胸部レントゲンを撮りました。このとき白い影があったのですが、一度消えたものが現れるなど絶対に考えられないので、これはきっと撮影の時に体が斜めに動いたせいだということになりました。
 結果、大丈夫。精査の必要なし。

 でも、その後もまだ手の甲や顔面、体の右側には、少ししびれが感じられました。血栓は、起こる場所によって様々な症状を併発します。私の場合は、多分脳の知覚を司る部位に起こったのだろうと、整形外科の担当医の言葉でした。  
( その後、退院しても、ごく軽いしびれなど違和感が残り、8月6日のMRI撮影となったのです。)

頸椎レントゲン
 脳のCT、胸部レントゲンに次いで、しびれ発生の検査で、頸椎レントゲンを撮ることになりました。
 これまでのレントゲンと違って、7枚も撮りました。上半身裸になって、小さな椅子に座り、その椅子が自動的にかなり高いところに上って行きます。そんな不安定な格好で、7方向から撮るのです。
 まっすぐに前向きの撮影には、上の前歯が差し歯なので、その金属がまともに頸椎に写ってしまうので、大きく口を開けたまま撮りました。息を止め、大口を開けたままのちょっとだけ苦しい撮影でした。
 左向き、右向き、うつむいたり、上を向いたり、ななめをむいたり、かなり時間をかけて撮りました。あくまでも私のレントゲン体験では、この頸椎の撮影が一番苦しかったです。
 途中で、技師は私の上半身を気の毒に思ったのか、バスタオルを貸してくれましたが、最初からそうして欲しかったなぁ、と切ない気持ちでした。
 頸椎レントゲンの結果は異常なしでした。

初めての MRIを受ける
【磁気共鳴画像処理装置 /退院後院外で受ける。】  
  MRIを受けるに至った事情は他のページでも記したと思います。軽いしびれが発生したことで、より正確に脳の様子を見るために受けることになりました。
 
 うわさに聞くところに寄ればMRIは、耳元で大きな音がする、耳栓とかイヤホンを付けるとか、中には受ける前に精神安定剤を使うとか、嫌な恐い印象ばかり植え付けられていました。
 検査時間も、約30分から1時間かかると聞かされ、CTやレントゲンに比べると精神的に苦痛を伴う検査という嫌な印象でした。

検査当日
(院内では、順番待ちがたい変なので、紹介してもらってよその医院で受けました) 受けるか受けないかいつまでも迷っていても解決しない。意を決して紹介された病院へ向かう。緊張していたので予約した時間よりも1時間も早く着いてしまう。小さな医院で、清潔な感じ。
 1時間も早く着いてしまって申し訳ないと思っていると、きもちよく検査室に通してくれた。
 六畳くらいの部屋だったか、白っぽい壁、CT室にあるのと同じような細長い寝台が一つ。 着替えるのかと思ったら、時計をはずしただけで、ブラジャーの留め金もOKとのこと。来たままの服装で横になる。
 
 ほんの20分か30分で済みますからね、大丈夫ですよ、と医者。
 穏和な感じの人で、少しほっとする。 まず、頭部を検査するので、頭の両側をかなりきつく固定される。
 そのときに、このくらいなら大丈夫ですか、と訪ねてくれたことで、気持ちもほぐれる。 両足の膝を少し立てると、動かないようにゆるく紐で固定される。これは余り気にならない程度に。
 それから、顔面を、台所に置く小さなしきり棚のようなもので覆われる。これはちょっと拘束感があり、いよいよだなと緊張してしまう。
 出来るだけ見届けたいと思い目を開けていたら、
「軽く目を閉じて下さいね」
 と、いわれ、そうかその方が恐くなくていいのかなと、目を閉じた。
 何かあったらこれを握って下さいね、強く握ってたら、すぐにこちらに伝わりますからね、と紐のついたゴム製の袋のようなものを持たされた。これはCTの時と同じタイプのものでした。
「では始めますからね、すぐに終わりますよ」 
と、医者は目の前からいなくなった。
 全身に緊張が走る。
 ブォブォブォという、音が三拍子のような調子で始まる。これは苦にならない。 そして、少し前から気が付いたのが、部屋にBGMが流れている。まるで、大太鼓のような音が、心臓の鼓動のリズムで流れていて、その後ろに、男性の声で、何か歌っている。盆踊りの音どうのような調子で。
 
 五分位すると、今度は違う音がし出す。さっきより少し高い目の、ビンビンビンといった音。これも、我慢できる音。
 その次に、道路の掘削機のような音が始まった。これは耐え難い。ちょっとパニックになりかけたが、部屋のBGMが気持ちを落ち着かせてくれた。
 でも、この音は早く終わって欲しいと願っていた。
 次にまた、最初の音に戻る。そして、あの一番嫌な掘削機の音が始まった。頭のすぐ横で耐え難い音が続く。さっきより長く続く。もうこれは嫌と思い始めた。どのくらい時間が経ったのか、分からないけれど、ここで逃げ出したらまた最初からやり直し、そんな繰り返しだけは嫌だった。早く完璧に済ませたい。

 やがて、しばし音が止む。でも、また始まるのかと思っていたら、医者が姿を現して、
「どうもご苦労さまでした、終わりましたよ、大丈夫ですか」
 と、聞いてくれた。
 私は、大丈夫ではなかったけれど。ハイと答えた。 とにかく終わったんだ。
 色々恐い予備知識を聞かされていたけれど、終わってみると今度また受けるときがあっても、何とかクリアできると思った。  MRIはレントゲンやCTみたいに、放射線を使わない検査方法で、血管のように柔らかいものはCTよりよく写るらしい。
 MRIの写真は、再びK大神経内科に持っていって、看てもらいました。CTには写らなかったけれど、白い影があり、それが脳梗塞の傷痕だと分かりました。

眼底検査
 結局、MRIにより確実となった脳梗塞の傷跡から、眼底出血もあったかどうかの検査を受けることとなり、平成11年8月24日に眼科を受診する。
 同じK大病院内でも眼科は初めて。一応神経内科からの紹介状があっても、まったくの初心者扱い。受付で手続きをして、廊下で待つことに。  
 1時間ほど待って、名前を呼ばれる。 まず、視力検査、その次は暗室に入って、精密検査。目薬をさされて、両目を丹念に調べられる。二十分くらいかかったろうか、明るい部屋に戻って、何故MRIを受けるにいたかったかとか、整形での股関節手術の経緯など質問される。神経内科の先生による紹介状にはどんな風に書かれていたのか知らないが、この質問群は結構重複していて、面倒だった。同じことを何回も何回も説明した。
 
 問診が済むと、瞳孔を開く目薬をさされる。 この日は、午後2時半から、9月に予定されている右足手術のための自己血採血が控えていて、それを医師に説明すると、看護婦の判断で、それでは順番を先にしましょうと便宜を図ってもらえた。こういうことは、なかなかスムースにいくことではないので、とてもありがたかった。
 
 瞳孔を開く目薬は約30分後くらいから効果がでるらしい。待ち時間に病院内の食堂で昼食を済ませておくことにした。
 この目薬は、さしてから5、6時間の間ものが見えにくいと聞かされたが、外に出るとものの輪郭がぼやけて、目に水が入っているような感じで気分がよくなかった。
 食後眼科に戻ると即名前が呼ばれて、瞳孔の開き具合も完璧と診断されて、暗室で待つ。それからの検査は、目に光りを当てて何か調べられただけで、終了。
 眼底はきれい、出血痕はなしとの診断でほっとした。
 後にこの眼科での結果を神経内科に届けると、それは脳の血管が破れたりしていなかったということです、と聞かされまずは一安心。

薬の副作用のこと
 平成11年3月19日に、左足股関節の人工関節全置換手術を受け軽い血栓症が起きました。そのために投薬が行われ、一つは小児用バッファリン、もう一つはトレンタールという薬でした。これらは、血栓を溶かしたりする効果がある薬だということです。この2種類の薬を、血栓が疑われた時から、朝一錠づづ飲み始めました。  
 そして4月18日の退院後も、二週間同じ薬を続けました。血栓の様子を見るために、退院後一度だけ呼吸器内科を受診して、胸部レントゲンを撮り肺の様子を見ました。このときに異常があれば精査が必要とされましたが、その必要なしとの結果でした。投薬もありませんでした。

 けれど、依然右足首だけが、ひんやりとする感じが残っていたので、再度神経内科を受診して、トレンタールのみ、薬をもらいました。すると、この薬を飲んだ後、1時間位すると、頭が重く、体中が落ち着かず、胸がむかむかするのです。二日間薬を飲みましたが、あまりに気分が悪いので投薬は自分の判断で止めました。
 その後神経内科で、薬のことを話すと、患者さんの1パーセント位に、同じような副作用の出るケースがあると、医師から聞かされました。投薬しないからまた血栓になるということはないので、薬は止めてもよいと言うことになりしまた。

 そして、MRIの結果、脳梗塞の傷跡が判明しました。確実に脳梗塞が起きていたのです。私の場合原因は高血圧だろうということになりました。高血圧の治療はすでに第三内科ということろで受けていましたので、降圧剤は手術前から飲んでいました。
 そこで神経内科から、血栓のためのトレンタールを三回に分けて飲めるような処方箋をもらいました。  このとき、第三内科からも、ロンゲスという降圧剤を一日半錠飲んでいることを説明しておきました。
 困ったことに、三回に分割処方されたトレンタールは、やはり副作用が出ました。一日分飲みましたが、止めました。飲むと、むかつきがあり、くらくらして半日寝込むほどのしんどさでした。
 この時点では次回右足手術を控えていましたから、薬の症状はきちんと先生に説明しなければと思いました。


薬のこと

右足手術に向けて