川柳入門教室

 古典鑑賞 −柳多留− 


     ☆★☆江戸川柳(その四十七)☆★☆


    花の山昔は虎の住家なり

    この花を折るなだろうと石碑みる

    うららかさしきりに銭が欲しくなり

    どうするか見ろと小判子に持たせ

    さあ小判ほしかやろうに下女は逃げ

    富の場へ財布おとし笑はれる
 
    首くくりの富の札などもっている
      






     ☆★☆江戸川柳(その四十六)☆★☆

    初の雛心当たりが二三軒

    賤(しず)が家も雲井にまがう雛祭り

    雛の酒裾へかかって疑われ

    叡覧も恐れず嫁はよがりだし

    まず桐を植え雛店へ亭主行き

    初の雛亭主騒いで叱られる

    雛祭り旦那どこぞへ行きなさい
      






     ☆★☆江戸川柳(その四十五)☆★☆

    姑ばばみじっかい目で嫁を見る

    姑女の日向ぼっこは内を向き

    地震の泣くははじめてと姑ふれ

    母をころすか嫁出すかとむすこせめ

    酔いまぎれ芋田楽を姑食い

    おふくろに養子やっぺし味噌をつけ

    根を掘って聞かれもせぬは芋出入り
      






     ☆★☆江戸川柳(その四十四)☆★☆


     扇売り掛取りの気を弱くする

     明きの方見るうち下女は逃げ支度

     死ぬ死ぬと祝す門徒の姫始

     やかましやするにして置け姫始 

     船頭のなくてこいでる宝船

     宝船皺になるほど女房漕ぎ

     若水に濡れる二日の宝船 

          富に当たった気でじゃもっ面を持ち

     百両を錐で突っく谷の中
      






     ☆★☆江戸川柳(その四十三)☆★☆

     毛違いで炬燵の猫に引っかかれ

     明手ではこたつのうえの猫をなで

     あたっても見たくこたつに後家一人

     狂言のできるこたつの櫓下

     生息子と見えて朝から市へ立ち

     親の目をもも引きで抜く歳の市

     返答はなゝゝゝなんと大晦日

     大晦日首でもとって来る気なり   
      






     ☆★☆江戸川柳(その四十二)☆★☆

     お月様いくつ十三はちと早し    

     洩れ出ずる月を見て焚く小豆飯

     月を見る頃にはススキ土手にはえ

     陰徳を施しすぎて下女はらみ

     孕んだと聞いて一人逃げ二人逃げ

     間男をされてつくづく思うよう

     間男をせぬを女房恩にかけ

     富に当った気でじゃもっ面を持ち

     百両を錐で突っく谷の中     






     ☆★☆江戸川柳(その四十一)☆★☆
    
     追剥に逢うたもしるす旅日記

     我慢して歩き夜馬に乗る気なり

     旅日記夜乗ったのも昼につけ

     抜けるぞと女房をおどし伊勢に立ち

     乳の黒み見せて夫を旅立たせ

     人寄せにぬり立てている旅の留守

     伊勢よりも鹿島の留守は抜けぬ筈 






     ☆★☆江戸川柳(その四十)☆★☆
    
     お月見に紙の団子をまるめこみ

     女房が月見で亭主まるめてる

     お月見に女房のきらう女郎花

     女房の留守塩からでのんでいる

     女房にへつらいすぎてけどられる

     ご褒美の出ぬ孝行亭主する
  
     女房と相談して義理をかき
     






     ☆★☆江戸川柳(その三十九)☆★☆
    
     雷の落ちる拍子に後家も落ち

     押入れの味から雷好きになり

     雷も及ばぬ蚊帳の臍と臍

     秋茄子里で姑に食って見せ

     髪結床安い相談するところ

     気の強い女房髪結床できき

     絵を書いた障子はむだな会所なり
     






     ☆★☆江戸川柳(その三十八)☆★☆


     こたつ程いい知恵の出ぬ涼台

     門涼み下女わりいことしなさんな

     ここに居りやすと娘のかどすずみ

     お千代さん蚊帳が広くば泊まろうか ※

     蚊帳へ逃げ込んでとられた臍の下

     物思う相手がなさに蚊帳を釣り 


    ※(起きて見つねて見つ蚊帳の広さかな) 

                    7.1






     ☆★☆江戸川柳(その三十七)☆★☆


     ほととぎす口舌の腰を折って行き

     いくよ寝覚めにあれさまた時鳥

     ほととぎすとりかけ山でたしか聞き

     時鳥ききんしたよというばかり

     お妾の菖蒲刀は切れるなり
 
     菖蒲太刀そりゃ抜いたりと乳母逃げる

     隣へも梯子の礼に菖蒲葺き

                     5.10





     ☆★☆江戸川柳(その三十六)☆★☆

     おっかけて一升ふやす初鰹

     はつ鰹旦那ははねがもげてから

     寒い時おまえ鰹が着られるか

     初がつお女房あたまも食う気也

     十三と十六ただの年でなし

     毛のはえる時分寝相がちと直り

     恋の味袂をかんで娘知り

     この頃の娘の篇はケモノなり

     娘もういくのの道も承知なり
                    4.3





     ☆★☆江戸川柳(その三十五)☆★☆


     何うするか見ろとお袋どうもせず

     買い食いが違って来たと母案じ

     不断着で出たとお袋おろかなり

     母親のゆだん娘の放し飼い

     かくし引出しを明け母ぎょっとする

     すいな母空寝入りしてはじめさせ
   
     あればかり男かと母じゃけん也
     
                                 2.15





     ☆★☆江戸川柳(その三十四)☆★☆


     神々も恵方果報の当り年

     死ぬ死ぬと祝す門徒の姫始

     姫始恵方を向けと馬鹿亭主

     紙屑のたまりはじめは宝船

     宝船だんだん波が荒くなり

     宝船乗り合いにする若夫婦

     泥坊泥坊と下女心変わり

     赤貝は湯がき松茸酒で蒸し
                                 1.23








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