川柳入門教室
平成十三年度第2四半期

2001年9月18日の教室

              課題【 友達 】   板尾岳人選


    ロボットが親友になる日が近い    忠 雄
    早逝の友にはすまぬ我が馬齢     昭 二
    泥沼で共にもがいて友となり     将 文
  (人)古里のうわさ土産に友が来る     昭 二
  (地)あの時に目で頷いてくれた友     泰 直
  (天)最後までつき合う友よ影法師     忠 雄


        (軸吟)
    友達の奥さんだった日の悩み     岳 人
    友達が一人も居ない葬式屋      岳 人
    友達の間隔でいる妻だ        岳 人
    友達にもらったパンの耳がある    岳 人 



       【 雑詠 】       生徒互選 
         
  (3)狭い路地天下御免の地蔵盆     晃 一
  (4)日本語を知らぬ松茸ばかりなり   睦 彦 

   




古典鑑賞

     ☆★☆江戸川柳(その三十)☆★☆


     御めかけは元民間に人となり

     ふぐ汁の様なものだと妾を見

     お妾は臍をさること十二尺

     腹ばかりかしてりゃ妾いい女

     小便をして逃げるのは妾(ショウ)と蝉

     災いと幸いの門(カド)妾持ち

     主人相知らず妾は色をもち
    
    




2001年9月4日の教室

              課題【 消しゴム 】   板尾岳人選

   消しゴムが丸くなるほど書きなおし     勉
   殺戮の歴史は消さず語り継ぐ       直 樹
   消しゴムを使って明日へ脱皮する     昭 二
   喜寿過ぎて消しゴム使うこともない    卓 三
   メモ書きの消し残しから嘘がばれ     家 道
   消しゴムと疎遠になって字を忘れ     忠 雄
 (人)消しゴムで消される程の悩みです     昭 二 
 (地)消しゴムで白紙にしたい過去がある    卓 三
 (天)消しゴムで暑いという字を消してみる    勉   

         (軸吟)
   頼りない男を笑う消しゴムだ       岳 人
   生意気な消しゴムだった暗い街      岳 人
   消しゴムに喋ってならぬ現住所      岳 人
  

             【 雑詠 】     生徒互選          
  
  (3)台風も満更でなし水不足         睦 彦
  (4)秋の蚊は精魂こめて刺してます      家 道

   




古典鑑賞

     ☆★☆江戸川柳(その二十九)☆★☆


    秋茄子は姑の留守にばかり食う

    秋茄子里で姑に食って見せ

    月見には女房がきらう女郎花

    月見客筆をかみかみさて出来ぬ

    お月見に亭主に団子丸めさせ

    お月見に紙の団子をまるめこみ

    ぶらついて月見に切れる糸瓜(ヘチマ)客       





2001年8月28日の教室

              課題【 背中 】   板尾岳人選

   いろいろな背中並んでいる朝湯      忠 雄
   ドンと背を押して見送る子の門出     直 樹
   女房の背中に目がある口がある      家 道
   強がりの背に綻びが見え隠れ       昭 二
   ほほえんで敵の背中とすれちがう     卓 三
   我が背中面と向ったことがない      睦 彦
   振り向かぬ背が泣いているおぼろ月    直 樹 
 (人)太鼓打つ背中も躍る夏祭り        直 樹
 (地)背なの竜張りをなくしたダイエット    睦 彦
 (天)気にくわぬ時は背中で返事する      泰 直   

         (軸吟)
   自画像の背中はいつも泣いている     岳 人
   死ぬまでに背中の黒子消え去りぬ     岳 人
   結婚をしてから背中丸くなる       岳 人
  

             【 雑詠 】     生徒互選
          
  (3)肩の荷がおりて背中が丸くなる      昭 二
  (3)セールスに人の良いのを見抜かれる    晃 一
  (3)二日酔い吹き飛ばせよと蝉しぐれ     忠 雄
  (3)無理するな短い命蝉しぐれ        忠 雄
  (4)暴走を解凍すれば気弱な子        泰 直
  (4)楽しい日妻が鏡を磨きだす        晃 一

   




古典鑑賞

     ☆★☆江戸川柳(その二十八)☆★☆


    母親のゆだん娘の放し飼い

    かくし引出し明け母ぎょっとする

    まだかよと苦労に思う里の母

    国の母生まれた文を抱き歩き

    里の母うぬが姑は棚に上げ
 
    百八のうち五六十嫁のこと

    小姑も見よう見まねにいびるなり    





2001年8月7日の教室

              課題【 結ぶ 】   板尾岳人選

   赤ちゃんと指一本で手を結ぶ       晃 一
   結び目がゆるんで遠い仲となり      昭 二
   結び目が絡んで誤解とけぬまま      将 文
   結ばれて風船遠く飛びたがる       忠 雄
   我が事を厭えと結ぶ母の文        晃 一 
 (人)思い出がどっと噴き出す蝶結び      直 樹
 (地)お互いの過去に蓋して縁結び       将 文
 (天)結び目がほつれたままで戻らない     卓 三   

         (軸吟)
   いろはにほへとすべて結んでまだ一人   岳 人
   港には男を結ぶ太い綱          岳 人
   帯堅く結んで線香花火する        岳 人
  

             【 雑詠 】     板尾岳人選
   聞き上手遠い過去まで裸にし       晃 一
   不揃いのじゃがいもみんな顔がある    忠 雄
   一瞬のシャッタチャンスをずっと待ち   晃 一
   候補者と握手の中にある不信       卓 三
   見舞われる方が元気なホスピタル     卓 三
   昼酒に昼寝も添えて妻の留守       直 樹
   ガラクタのラジオあの日がよみがえる   昭 二
   毒舌に心当りを射貫かれる        晃 一

   




古典鑑賞

     ☆★☆江戸川柳(その二十七)☆★☆


    気の強い女の落ちる天の川

    七夕は川を渡って濡れたまい

    秋茄子は姑の留守にばかり食う

    月見には女房のきらう女郎花

    月見客筆をかみかみさて出来ぬ

    独り身嘆息両隣り新世帯

    独り者小僧三人抱いて寝る





2001年7月24日の教室

              課題【 汗 】   板尾岳人選

   冷や汗の逆転虎が目をさます       昭 二
   おれと汗流してくれとプロポーズ     家 道
   やり遂げた男の笑顔汗キラリ       直 樹
   代々の汗泣いている休耕田        睦 彦
   肩の荷が一汗かいて軽くなり       昭 二
   汗一つかくとは見えぬ原節子       睦 彦
   汗をかき生きる喜びかみしめる       勉 
 (人)出た汗は晩のビールで取り返す      忠 雄
 (地)野良仕事玉の汗出る夏サラダ       将 文
 (天)先代の汗物語る道具箱          睦 彦
   

         (軸吟)
   ありがとう汗も一緒にかく余生      岳 人
   年上の妻で朝から汗をかく        岳 人
   汗臭い体を抱いて夫婦する        岳 人
  

             【 雑詠 】    板尾岳人選
   少年の昔探しに森へ行く         昭 二
   アンコール声ある内に引く勇気      晃 一
   注文は無事に生まれた後にする      将 文
   極楽は鱧のゆびきに冷や奴        家 道
   人生の登りくだりに泣き笑い        勉
 (人)縄電車速度落して又二人         晃 一  
  (地)パソコンで横糸ばかり太くなり      将 文 
  (天)野心とげ男が帰る母の背な        昭 二

   




古典鑑賞

     ☆★☆江戸川柳(その二十六)☆★☆


    土用干し畳の上の回り道

    酒飲みの旧悪の出る土用干し

    コタツほどいい知恵の出ぬ涼み台

    七夕は川を渡って濡れたまい

    思うこと人に書かせる星の恋

    雷の落ちる拍子に後家も落ち

    雷のおかげ新造にだきつかれ





2001年7月3日の教室

              課題【 祈る 】   板尾岳人選

   ご多幸を祈るだけとは味気なし      忠 雄
   笹竹に小さな祈り結んでる        睦 彦
   お守りをそっと握ってホームラン     将 文
   祈る手に勇気伝わる亡父の数珠      直 樹
   満ち足りた暮らしが祈り遠くする     昭 二
   寺閑散祈りの長き老夫婦         忠 雄    

         (軸吟)
   糸電話神に通じる願い事         岳 人
   長男の嫁に欲しいと鈴を振る       岳 人
   百人の男が祈る恋成就          岳 人
  

             【 雑詠 】   生徒互選
  (3)決心を岩の硬さに問うてみる       直 樹
    (3)溺愛の子には見事に逃げられる      昭 二
  (5)割勘と決まってボトル追加する      睦 彦 
  (5)熱帯夜脱いで捨てたい皮一つ       将 文 
  (5)日の当る方に芽を出す木の野心      晃 一 
   




古典鑑賞

     ☆★☆江戸川柳(その二十五)☆★☆


    もてる晩広い蚊帳にもせまくねる

    蚊帳へ逃げ込んでとられた臍の下

    雷も及ばぬ蚊帳の臍と臍

    雷が鳴ったで留守に豆を食い

    押入れの味から雷も好きになり

    お千代さん蚊帳が広くば泊まろうか

   (起きてみつ寝てみつ蚊帳の広さかな 加賀千代女)
     











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