川柳入門教室
平成十三年度第1四半期



2001年6月19日の教室

              課題【 濡れる 】   板尾岳人選

   濡らすのが惜しくて浜にいる水着     忠 雄
   雨予報笑った罰で濡れ帰り       家 道
   濡らすのが惜しくて差せぬ高級品     紀代子
   重宝な落ち葉さ僕の濡れ具合       直 樹
   紫陽花の濡れ慎ましく彩変化       晃 一
   雨の音心も濡れて人を恋う        信 子
   窓濡らす小雨予報を裏切らず       昭 二
   濡れた瞳が今も読んでる写真帖      直 樹
   濡れた手を拭く間も待たず鳴るチャイム  信 子
   USJ濡れたい人が列作る        泰 直
   剪定の夫にそっと濡れ納豆        睦 彦
   紫陽花が濡れているからう雨読とす    忠 雄
   長雨に濡れて胸張るネギ坊主       将 文
   濡れながらつんと澄まして立つあやめ   睦 彦 
 (人)ずぶ濡れの雨に決意を迫られる      昭 二
 (地)泣き濡れた自分と出会う三面鏡      信 子
 (天)持って出た傘を忘れて濡れている     将 文  

         (軸吟)
   泣きながら母と寝ました女の子      岳 人
   泣きじゃくるホタル1匹人を恋う     岳 人
   駄々っ子のように泣きます風呂の刑    岳 人
  

             【 雑詠 】   生徒互選

  (3)職終え慌てて探す道しるべ        昭 二
  (3)新じゃがのお袋の味俺が継ぐ       将 文
  (4)不肖の子なお庇いたい母心        直 樹
  (5)履歴書の行間にあるほろにがさ      睦 彦 
  (5)もう恐いものなしおんな風を切る     信 子 
  (6)裏おもてなくて軍手がお気に入り     泰 直  
   




古典鑑賞

     ☆★☆江戸川柳(その二十四)☆★☆

    
      女房にへつらいすぎて気どられる

      里のない女房は井戸でこわがらせ

      朝帰りそりゃ始まると両隣り

      手がさわり足がさわって仲直り

      舌戦がこうじ三くだり書いている

      去ったあす物をさがすにかかって居

      去り状を取るが年が三つふけ

                   「柳多留」より 





2001年6月5日の教室

              課題【 心臓(ハート) 】   板尾岳人選

   お尻ふり席に割込む強心臓        睦 彦
   他人みな強心臓にみえる時         勉
   全身に脈打つ鼓動聞く夜半        信 子
   抱きしめて猫の鼓動をたしかめる     郁 子
   デパチカの試食肴に酒を飲む       直 樹
   仁王さんどっこいあいつは蚤心臓     山 風
   不安感知らせてくれる鼓動音       信 子
   心臓を静めるために人を呑み       晃 一
   心臓の休むひまなく喜寿待つ        勉
   ピンチには強心臓で押し通し       昭 二
   友達の大事なハート置き忘れ       将 文
   さすが妻半額セールまだ値切る      直 樹
   心臓がおだやかに打つ元気な日       勉
   心臓によくないくらいよい話       昭 二
   ハンサムな医者に鼓動を聞かれてる    信 子
   心臓よ何故に高鳴るあの人に       晃 一
   アルバムに若いハートを秘めてある    将 文
   心臓をつき刺し串も焙られる       忠 雄
   怒気荒くノミの心臓かくしてる      まもる
   心臓に刃が立ってサスペンス       家 道
 
 (人)心臓の弱い男の妥協癖          晃 一

 (地)わがままな心臓によく背かれる      昭 二

 (天)心臓の高鳴る人がひとりいる       睦 彦  

         (軸吟)
   ミイラ死す心臓も死すこの世の苦     岳 人

   我が身丈ほどの心臓大仏殿        岳 人

   小さき蚊の小さな心臓持つ命       岳 人
  

             【 雑詠 】   生徒互選

  (3)茜雲明日の別れを予感させ        直 樹
  (3)厚い顔車内私の化粧室          忠 雄 
  (4)お国訛り駅を過ぐたびふえていく     郁 子
  (5)旅帰りご機嫌伺う体重計         家 道 
  (5)遅れ来て末座で扇虚勢張り        山 風 

  (6)花よりも蝶を育てるわが菜園       泰 直  
   




古典鑑賞

     ☆★☆江戸川柳(その二十三)☆★☆

    
      新世帯ある夜隣の壁が落ち

      新世帯何をやっても嬉しがり

      里帰りじじばばあをまず咄し

      里帰り話さぬことは母聞かず

      女房をこわがる奴は金が出来

      女房をおそろしがってただ帰り

      風吹かばどこら女房あらしなり

                   「柳多留」より 




2001年5月22日の教室

              課題【 髭 】   板尾岳人選

   口ひげを縁起かついでのばしきり      勉
   髭はやし男は野心かきたてる       郁 子
   仏頂面髭剃る朝の百面相         山 風
   悪いことしにくい髭がよく目立つ     忠 雄
   初志かけてのばし放しの不精髭      昭 二
   妻よりも大事にしているあごの髭     信 子
   少年の無口の顎に髭がみえ        晃 一
   髭面の顔に似合わず目がやさし      信 子
   髭伸ばす勇気へ妻が不思議がり      山 風
   白い歯が振りまく笑顔髭だるま      直 樹
   付け髭の哀しく踊るチンドン屋      昭 二
   髭紳士指が気にする鼻と顎        山 風
   票読みが進まず睨む髭だるま       睦 彦 
 
 (人)百歳を目指すひげだよ乾杯だ       泰 直

 (地)二度の職可愛い髭に暇を出す       晃 一

 (天)口髭の感触恋し父の膝          まもる  

         (軸吟)
   漱石の髭を知ってるうちの猫       岳 人

   十二面観音さんに髭がない        岳 人

   笑っても笑わなくても恐い髭       岳 人
  

             【 雑詠 】   生徒互選

  (4)筍の間引き逃れて伸びる丈        将 文
  (4)手の切れるようなお札が繋ぐ義理     晃 一 
  (4)そよ風にうたた寝妻の顔のしわ      忠 雄
  (5)常連が黙って坐る隅の席         昭 二 
  (6)無神論辛い時だけ神を呼ぶ        信 子 

  (7)雑草でよかった好きに生きてきた     直 樹  
   




古典鑑賞

     ☆★☆江戸川柳(その二十二)☆★☆

    
      愛敬はこぼれて減らぬ宝なり

      初午は娘も赤の飯をたき

      あの男この男とて古くなり

      対面の幕で仲人ひき合わせ

      仲人にかけては至極名医なり

      持参金嫁なけなしの鼻にかけ

      女房をこわがる奴は金が出来
          
                                「柳多留」より




2001年5月8日の教室

              課題【 流れる 】   板尾岳人選

   花屑の行く先流れにまかせきり      郁 子
   流れ木の口遊び行く森の詩        晃 一
   寺鐘の余韻ながれて人恋し        郁 子
   流されて藁一本の情を知る        晃 一
   根を据えて水草水の動くまま       忠 雄
   人脈の流れに翻弄されるまま       昭 二
   胸の傷流せば楽になれるのに       信 子
   流れには永らう為に逆らわず       晃 一
   五月晴れ妻の小言は聞き流す       直 樹
   流れ星あわてて願い考える         勉
   独り往く勇気をくれた流れ星       直 樹
   ITの流れ横目に墨をする        睦 彦
 
 (人)流れ着いたここが私の都です       昭 二

 (地)他人にも流す涙は溜めてある       信 子

 (天)底流は見せず水面の穏やかさ       忠 雄        

  

             【 雑詠 】   生徒互選

  (4)鍵穴に差し込む音の安堵感         信 子
  (4)人生につまずく石が多すぎる         勉 
  (5)初夏の色あふれて街もかるくなる     郁 子

  (6)石一つ投げて深さを読んで見る       晃 一 
  (6)いい訳の出来ない今日の青い空      昭 二  

    5月8日分のアップに際しては泰直さんの協力を得ました。有り難う御座いました




2001年4月17日の教室

              課題【 笑う 】   板尾岳人選

   
   笑われてなぜか哀しい猿の芸       忠 雄
   爆笑の渦に大漁安来節          直 樹
   モナリザも恵比寿も笑顔で肩がこり    泰 直
   微笑みの母を背にするランドセル     晃 一
   黒枠に笑う顔ありなお悲し        家 道
   茶の間から内弁慶の高笑い        将 文
   親知らず笑いたくても笑えない      紀代子
   世話咄笑いの中に江戸の粋        睦 彦
   長旅のジャパンスマイル疲れます     睦 彦
   泣き笑い絶えぬ隣りは子沢山       家 道
 (佳)散る花にさみしき笑みの地蔵尊      まもる
 (佳)許し合うゆとりの中にある笑い      信 子
 (佳)おかしさをこらえることのむずかしさ    勉   
 (佳)人の名を忘れて笑顔が補助をする     晃 一
 (佳)君は僕のモナリザですと言う勇気     山 風
 (佳)仁義礼智信古いと笑われる        晃 一
 (佳)仏頂面たまに笑うと気味悪し       紀代子
 (佳)にこやかに笑顔の裏にある涙       信 子

 (人)旅立ちを笑顔で送る無人駅        郁 子

 (地)理由あって笑顔封印しています      泰 直

 (天)吉本に笑いのシャワーを浴びに行く    昭 二        

         (軸吟)
   満ち足りて熱いコーヒー淹れましょう   岳 人

   愛せずにゴメン笑顔を送ります      岳 人

   待ってます笑顔溢れる旅便り       岳 人 
   

             【 雑詠 】   生徒互選

  (3)再婚の嬉しさ見せるか顔の艶      信 子
  (3)一献でその気にさせる桜色       将 文 
  (4)一服のお茶が思案を変えていく     晃 一
  (4)誘惑に勝った安堵と空しさと      昭 二
  (4)ケイタイに悲喜こもごもを垣間見る   直 樹
  (5)参りました無口で下戸の長居客     山 風

   (8)悪態も尽きて最後は母の胸       忠 雄 





古典鑑賞

     ☆★☆江戸川柳(その二十一)☆★☆

    
      人はみなめくらごぜの行水し

      天人もはだかにされて地ものなり

      女房が有るで魔をさす肥立ちぎわ

      めし炊きに婆ァを置いて鼻あかせ

      秋がわき先ず七夕にかわきそめ

      その手代その下女昼はもの言わず

      船頭の女房は能い日にせんだくし
          
     
                                「末摘花」より




2001年4月3日の教室

              課題【 花 】   板尾岳人選

   
   数年前花も恥らう乙女です        紀代子
   絶景や唯我独尊花の雲          晃 一
   バラ咲いて棘のこわさをひたかくし     勉
   悪童の花束曇る師の眼鏡         忠 雄
   前垂れを替えて地蔵も花飾り       睦 彦
   花びらが糸ひくように散り急ぐ       勉
   留守番の役目花壇に水をやる       昭 二
   散り際の風は花道練って行き       晃 一
   散る花を供に遍路の杖二本        直 樹
 (人)花束を抱いて会社を押し出され      昭 二
 (地)沈丁花乳の香がする母がいる       直 樹
 (天)善人の顔して花に水をやる        泰 直

         (軸吟)
   菜の花や神や仏に酢の香り        岳 人
   女でも男でもない花乱舞         岳 人
   花吹雪意固地になって水中花       岳 人 
   

             【 雑詠 】   生徒互選

  (3)主夫の腕いささか甘い五目寿司     家 道
  (6)脇役も楽し人生第二幕         忠 雄
  (7)美しい嘘は知りつつ騙される      晃 一
  (11)お誘いを心の隅に空けておく      昭 二





古典鑑賞

     ☆★☆江戸川柳(その二十)☆★☆

    
      そこかいてとはいやらしい夫婦仲

      ねたふりで夫にさわる公事だくみ

      下女の尻つめればぬかの手でおどし

      茶臼とは美食のうへの道具なり

      子心に乳母がまけたと思って居

      おじさんをまかしとと乳母茶臼なり

      絵枕を持って炬燵を追い出され
          
     
                                「末摘花」より






川柳入門教室のトップへ