課題【 囁く 】 板尾岳人選
囁きが突如奇声の女学生 晃 一
春おぼろ囁く風と水の詩 昭
春風が囁く故郷の花便り 昭 二
ささやきに耳貸す母と笑う子と 忠 雄
深呼吸してささやいた電話口 泰 直
上司から転勤予告囁かれ 昭 二
ささやきを小文字で書いてある字幕 義 顕
囁きと笑みに誘われ通いつめ 睦 彦
囁きを聞くには耳を手で囲み 喜 彦
みどり児に囁く母の慈愛の目 直 樹
(人)鳥歌い風は囁き人和む 紀代子
(地)春の風ささやくように誘い出す 信 子
(天)ああ美味しい独りささやく盗み食い 紀 子
(軸吟)
囁いて白になりたしポッと愛 岳 人
影法師囁くように追いてくる 岳 人
憎しみも愛も囁く薔薇のトゲ 岳 人
【 雑詠 】 生徒互選
(3)誘惑に揺れる心で花を買う 昭
(3)ぼやきより美酒に酔いたいタイガース 泰 直
(3)鳥が来て急に狭庭活気づく 郁 子
(5)ふと触れる手のぬくもりにほっとする 勉
(6)障りない夢を選んで妻に告げ 家 道
(6)義理ひとつ欠いて独酌高鼾 直 樹
(8)都合よい石を伝って行く余生 山 風
(10)一つだけ返事欲しくて合いに行く 昭 二
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☆★☆江戸川柳(その十九)☆★☆
花を見てそしてと親父むつかしさ
あねさんがたんといたよと尻をわり
のまぬやつ弁当食うと花にあき
鐘巻きの大蛇も元は恋の闇
日高川越すころ角が二、三寸
山伏に釣り鐘一つ寺の損
耳へ聞く薬の味もみな苦し
耳は馬面は蛙で母こまり
耳遠くなる程顔は近く寄せ
「柳多留」より
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課題【 遊ぶ 】 板尾岳人選
膝へ来て遊べ遊べと蝶が舞う 忠 雄
遊園地子が風になる雲に乗る 晃 一
学びより遊びに力入りすぎ 勉
春風が遊びに来たと戸を叩く 昭
遊びとは何ぞやなどと哲学者 家 道
緋毛氈むかしむかしの茶屋遊び 睦 彦
夜遊びを叱った親が朝帰り 義 顕
腕白が順を決めてる滑り台 晃 一
山遊び春を見つけた蕗のとう 昭
(人)一球を遊んで打者を惑わせる 昭 二
(地)遊びではないというのがプロポーズ 義 顕
(天)ハンドルの遊び以内の痴話げんか 泰 直
(軸吟)
我が余生クレオパトラと遊び哉 岳 人
火よ水よ遊ぶ処を見失う 岳 人
いいですか貴女と遊ぶ花時計 岳 人
あの人が帰って来ない遊歩道 岳 人
【 雑詠 】 生徒互選
(3)食卓に女のゆとり春を添ゆ 郁 子
(3)森首相しまい遅れの流し雛 泰 直
(4)法事また生きてる人のために来る 忠 雄
(4)ああ友が逝ったな遠く流れ星 直 樹
(5)機嫌よく煮あがる鍋を囲む顔 昭 二
(6)気侭旅遊び心を和紙に漉く 晃 一
(6)王子さま来ずに今年も飾り雛 睦 彦
(12)もう少し聞いて欲しくて酒を注ぎ 昭
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☆★☆江戸川柳(その十八)☆★☆
仕合せは三世の縁を二世にする
縁遠さ草だらけだにまだ明き地
もっと寝てござれに嫁は消えたがり
なりったけ嫁小便を細くする
屁をひって嫁は雪隠出にくがり
朝帰り旦那が負けて静かなり
朝帰りいたわる女房にも困り
「柳多留」より
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課題【 坂 】 板尾岳人選
男坂越えてしがらみ振り捨てる 昭 二
良いことが待っていそうな坂の上 忠 雄
坂の町瀬戸の眺めをのみ尽す 昭 二
坂の上住んで絶景ひとりじめ 信 子
この坂は神や仏に会える道 昭
光る海抱き込むように坂の町 忠 雄
寒梅や悲喜こもごもの夫婦坂 直 樹
気がつけば登りついてた古希の坂 喜 彦
(人)坂道をたどり祖先に会いに行く 睦 彦
(地)頂上に花があるから坂登る 紀 子
(天)峠道のぼりつめれば亡父の里 まもる
(軸吟)
どうしょうもないので坂を駆け下る 岳 人
美しい人を見つけた坂の街 岳 人
逢えそうな気がする坂だ登ろうか 岳 人
【 雑詠 】 生徒互選
(3)よろよろと蝶にもいたかあわて者 睦 彦
(4)潜水がバタフライして政変か 泰 直
(4)不況風大樹も枝葉ふり落とす 忠 雄
(5)寒い夜炬燵が捕虜にしてくれる 昭
(5)残り火を燃やして明日の米を研ぐ 信 子
(5)ワイドショー不幸話が金になり 郁 子
(8)寒行の僧は昨夜の囲碁仇 山 風
(11)風雪を石は丸さで語りかけ 晃 一
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☆★☆江戸川柳(その十七)☆★☆
美しさ生まれたままで引き取られ
迷うまいものか持参と裸也
いもじまで先から出来る美しさ
瓜実は南瓜のとこへ裸で来
人同じからず持参と支度金
若後家は支度金にて行ったやつ
支度金見合いの上で増しをつけ
「柳多留」より
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課題【 青春 】 板尾岳人選
塩っぱい味もあります青春賦 家 道
戦争を抜きで語れぬ青春譜 昭
引きだしの奥で息づく青春譜 昭
なつメロに夫婦青春口遊む 晃 一
青春がよぎる場末の喫茶店 昭 二
不揃いで青くすっぱい正義感 晃 一
カルチャーは青春少しもち寄って 郁 子
強がりは青春時代そのままで 紀 子
金髪も厚底靴もまた青春 義 顕
(佳)ウイッグも着替え青春しています 直 樹
(佳)青春の丘を見下ろす峠道 山 風
(佳)いつの間にどこへ行ったの我が青春 紀代子
(佳)青春のインキがにじむ古日記 昭 二
(佳)青春の画布に気迫の海が有る 晃 一
(人)青春の匂いのなかにいて楽し 郁 子
(地)青春の最終ページ読み終える 昭
(天)ほろ苦い味青春のかすり傷 忠 雄
(軸吟)
青春や毒を知らずに人を恋ふ 岳 人
青春やあしたが軽くなる素足 岳 人
青春や神も仏も知っている 岳 人
【 雑詠 】 生徒互選
(4)2次会へ自称音痴の急ぎ足 忠 雄
(4)一合を夫婦で分けておめでとう 家 道
(5)渡せずに暑い想いも溶けたチョコ 泰 直
(5)噂好き口も一緒に越して行き 信 子
(6)ちょとだけ逆らうとこが出来た嫁 睦 彦
(6)一滴の水が迷って海に出る 昭
(7)時々はがまんの蓋を取り上げる 昭 二
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☆★☆江戸川柳(その十六)☆★☆
侍が来ては買ってくた高楊枝
もののふも生えなくなると奥家老
御加増を取るやついつも御もっとも
兄にて候ものへ大小をねだり
切腹の形ですえる腹の灸
いたわしい程いんぎんな御不勝手
そのくせに花はくれない人は武士
「柳多留」より
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課題【 届く 】 板尾岳人選
大木は日差し届かぬ根が支え 忠 雄
見届けるまでは動けぬサスペンス 晃 一
目の届くところにいつも母がいた 昭
ふるさとの香りが届く梅便り 直 樹
絵手紙でひと足早く春届く 信 子
息災の証が届く年賀状 昭 二
痒いのに両手届かぬもどかしさ 紀代子
手が届くチャンス石橋叩きすぎ 晃 一
また一枚遅れて届く年賀状 勉
(人)誕生日わたしに届くメッセ−ジ 信 子
(地)ゆるゆると五臓に届く燗の酒 昭 二
(天)なにもない笑顔だけでも届けよう 紀 子
(軸吟)
雲に手が届く高さに来て背伸び 岳 人
父の樹に凭れて届く母性愛 岳 人
届くまで待っております愛の詩 岳 人
【 雑詠 】 生徒互選
(3)川柳で彼女に本心届けよか 保
(3)雪しんしんテレビ故障で夫婦酒 泰 直
(4)唇の薄さが違う世辞上手 晃 一
(5)抱く腕がためらう孫の育ち振り 直 樹
(7)早足を諌めるように牛が行く 忠 雄
(8)がらくたと失意は棚にしまい込む 昭 二
(9)しがらみは一時預けの縄のれん 睦 彦
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☆★☆江戸川柳(その十五)☆★☆
さじで頭をかきながら又殺し
とどめをば余人にわたすさじ加減
さじの柄で妾をのける御大病
人を殺して世を渡る女医者
べろべろも一味加える子供医者
上手にも下手にも村の一人医者
代脈がちと見なおした晩に死に
「柳多留」より
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課題【 夢 】 板尾岳人選
夢だとは知らずに覚めた口惜しさ 晃 一
玄宗の夢咲きそうな新世紀 直 樹
青き日の夢のしずくにまだ浸る 郁 子
夢捨てた男も春の風を待つ 昭
青春の夢たっぷりの古日記 昭 二
淡い夢奪って行った憎い朝 昭
夢誘う夜行列車の窓あかり 昭 二
いづれ句碑建てる夢見て新世紀 直 樹
夢語る若い二人にあるロマン 信 子
夢希望無くとも暮らし恙無く 紀代子
豆撒いて福の来訪夢に見た 保
小さくはなったが未だ夢がある 睦 彦
初夢になすびぐらいはみてみたい 勉
(佳)成人の晴れ着袂に入れた夢 忠 雄
(佳)夢十色天まで届けしゃぼんだま 忠 雄
(佳)こぼれ落ち小さくなった夢の露 忠 雄
(佳)まだ夢は捨てぬ荒野の鳳仙花 晃 一
(佳)白い皿わたしの好きな夢を見る 信 子
(人)あれからはメダカ宇宙の夢ばかり 晃 一
(地)何色で夢を描こうか白い画布 信 子
(天)ぐっすりと眠って初夢逢いそびれ 泰 直
(軸吟)
大阪府大字堺夢がある 岳 人
梅干の種に多彩な夢がある 岳 人
夢一つ下さい新春熨斗つけて 岳 人
【 雑詠 】 生徒互選
(3)還暦を終えてこれから若返る 紀 子
(3)狭い国お先にどうぞ年の暮れ 昭
(4)絵馬の誤字天神さんも思案顔 泰 直
(4)これまでとこれからのこと除夜の鐘 忠 雄
(5)又一つ余分な齢重ねます 睦 彦
(5)年の暮れ妻の小言で散歩に出 喜 彦
(7)湯豆腐の湯気にほっこり撫でられる 昭 二
(8)夢のまま終る美学が有ってよい 晃 一
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