川柳入門教室
平成十二年度第4四半期



2002年3月27日の教室

              課題【 囁く 】   板尾岳人選

   囁きが突如奇声の女学生         晃 一
   春おぼろ囁く風と水の詩          昭
   春風が囁く故郷の花便り         昭 二
   ささやきに耳貸す母と笑う子と      忠 雄
   深呼吸してささやいた電話口       泰 直
   上司から転勤予告囁かれ         昭 二
   ささやきを小文字で書いてある字幕    義 顕
   囁きと笑みに誘われ通いつめ       睦 彦
   囁きを聞くには耳を手で囲み       喜 彦
   みどり児に囁く母の慈愛の目       直 樹
 (人)鳥歌い風は囁き人和む          紀代子
 (地)春の風ささやくように誘い出す      信 子
 (天)ああ美味しい独りささやく盗み食い    紀 子
         (軸吟)
   囁いて白になりたしポッと愛       岳 人
   影法師囁くように追いてくる       岳 人
   憎しみも愛も囁く薔薇のトゲ       岳 人 
   

             【 雑詠 】   生徒互選

  (3)誘惑に揺れる心で花を買う        昭
  (3)ぼやきより美酒に酔いたいタイガース  泰 直
  (3)鳥が来て急に狭庭活気づく       郁 子    
  (5)ふと触れる手のぬくもりにほっとする   勉   
  (6)障りない夢を選んで妻に告げ      家 道
  (6)義理ひとつ欠いて独酌高鼾       直 樹 
  (8)都合よい石を伝って行く余生      山 風
  (10)一つだけ返事欲しくて合いに行く    昭 二




古典鑑賞

     ☆★☆江戸川柳(その十九)☆★☆

    
      花を見てそしてと親父むつかしさ

      あねさんがたんといたよと尻をわり

      のまぬやつ弁当食うと花にあき

      鐘巻きの大蛇も元は恋の闇

      日高川越すころ角が二、三寸

      山伏に釣り鐘一つ寺の損

      耳へ聞く薬の味もみな苦し
    
      耳は馬面は蛙で母こまり

      耳遠くなる程顔は近く寄せ
          
     
                                「柳多留」より




2002年3月13日の教室

              課題【 遊ぶ 】   板尾岳人選

   膝へ来て遊べ遊べと蝶が舞う       忠 雄
   遊園地子が風になる雲に乗る       晃 一
   学びより遊びに力入りすぎ         勉
   春風が遊びに来たと戸を叩く        昭
   遊びとは何ぞやなどと哲学者       家 道
   緋毛氈むかしむかしの茶屋遊び      睦 彦
   夜遊びを叱った親が朝帰り        義 顕
   腕白が順を決めてる滑り台        晃 一
   山遊び春を見つけた蕗のとう        昭
 (人)一球を遊んで打者を惑わせる       昭 二
 (地)遊びではないというのがプロポーズ    義 顕
 (天)ハンドルの遊び以内の痴話げんか     泰 直
         (軸吟)
   我が余生クレオパトラと遊び哉      岳 人
   火よ水よ遊ぶ処を見失う         岳 人
   いいですか貴女と遊ぶ花時計       岳 人 
   あの人が帰って来ない遊歩道       岳 人     
   
             【 雑詠 】   生徒互選

  (3)食卓に女のゆとり春を添ゆ       郁 子
  (3)森首相しまい遅れの流し雛       泰 直
  (4)法事また生きてる人のために来る    忠 雄      
  (4)ああ友が逝ったな遠く流れ星      直 樹   
  (5)機嫌よく煮あがる鍋を囲む顔      昭 二
  (6)気侭旅遊び心を和紙に漉く       晃 一 
  (6)王子さま来ずに今年も飾り雛      睦 彦
  (12)もう少し聞いて欲しくて酒を注ぎ     昭





古典鑑賞

     ☆★☆江戸川柳(その十八)☆★☆

    仕合せは三世の縁を二世にする

    縁遠さ草だらけだにまだ明き地

    もっと寝てござれに嫁は消えたがり

    なりったけ嫁小便を細くする

    屁をひって嫁は雪隠出にくがり

    朝帰り旦那が負けて静かなり

    朝帰りいたわる女房にも困り
   
     
     
                                「柳多留」より




2002年2月27日の教室

              課題【 坂 】   板尾岳人選

   男坂越えてしがらみ振り捨てる      昭 二
   良いことが待っていそうな坂の上     忠 雄
   坂の町瀬戸の眺めをのみ尽す       昭 二
   坂の上住んで絶景ひとりじめ       信 子
   この坂は神や仏に会える道         昭
   光る海抱き込むように坂の町       忠 雄
   寒梅や悲喜こもごもの夫婦坂       直 樹
   気がつけば登りついてた古希の坂     喜 彦
 (人)坂道をたどり祖先に会いに行く      睦 彦
 (地)頂上に花があるから坂登る        紀 子
 (天)峠道のぼりつめれば亡父の里       まもる
         (軸吟)
   どうしょうもないので坂を駆け下る    岳 人
   美しい人を見つけた坂の街        岳 人
   逢えそうな気がする坂だ登ろうか     岳 人      
   
             【 雑詠 】   生徒互選

  (3)よろよろと蝶にもいたかあわて者    睦 彦
  (4)潜水がバタフライして政変か      泰 直
  (4)不況風大樹も枝葉ふり落とす      忠 雄   
  (5)寒い夜炬燵が捕虜にしてくれる      昭
  (5)残り火を燃やして明日の米を研ぐ    信 子
  (5)ワイドショー不幸話が金になり     郁 子
  (8)寒行の僧は昨夜の囲碁仇        山 風
  (11)風雪を石は丸さで語りかけ       晃 一





古典鑑賞

     ☆★☆江戸川柳(その十七)☆★☆


    美しさ生まれたままで引き取られ

    迷うまいものか持参と裸也

    いもじまで先から出来る美しさ

    瓜実は南瓜のとこへ裸で来

    人同じからず持参と支度金

    若後家は支度金にて行ったやつ

    支度金見合いの上で増しをつけ

    
     
                                「柳多留」より




2002年2月13日の教室

              課題【 青春 】   板尾岳人選

   塩っぱい味もあります青春賦       家 道
   戦争を抜きで語れぬ青春譜         昭
   引きだしの奥で息づく青春譜        昭
   なつメロに夫婦青春口遊む        晃 一
   青春がよぎる場末の喫茶店        昭 二
   不揃いで青くすっぱい正義感       晃 一
   カルチャーは青春少しもち寄って     郁 子
   強がりは青春時代そのままで       紀 子
   金髪も厚底靴もまた青春         義 顕
 (佳)ウイッグも着替え青春しています     直 樹
 (佳)青春の丘を見下ろす峠道         山 風
 (佳)いつの間にどこへ行ったの我が青春    紀代子
 (佳)青春のインキがにじむ古日記       昭 二
 (佳)青春の画布に気迫の海が有る       晃 一
 (人)青春の匂いのなかにいて楽し       郁 子
 (地)青春の最終ページ読み終える        昭
 (天)ほろ苦い味青春のかすり傷        忠 雄
         (軸吟)
   青春や毒を知らずに人を恋ふ       岳 人
   青春やあしたが軽くなる素足       岳 人
   青春や神も仏も知っている        岳 人      
   
             【 雑詠 】   生徒互選

  (4)2次会へ自称音痴の急ぎ足       忠 雄
  (4)一合を夫婦で分けておめでとう     家 道
  (5)渡せずに暑い想いも溶けたチョコ    泰 直
  (5)噂好き口も一緒に越して行き      信 子
  (6)ちょとだけ逆らうとこが出来た嫁    睦 彦
  (6)一滴の水が迷って海に出る        昭
  (7)時々はがまんの蓋を取り上げる     昭 二





古典鑑賞

     ☆★☆江戸川柳(その十六)☆★☆


     侍が来ては買ってくた高楊枝

     もののふも生えなくなると奥家老

     御加増を取るやついつも御もっとも

     兄にて候ものへ大小をねだり

     切腹の形ですえる腹の灸

     いたわしい程いんぎんな御不勝手

     そのくせに花はくれない人は武士
   
     
                                「柳多留」より




2002年1月30日の教室

              課題【 届く 】   板尾岳人選

       
    大木は日差し届かぬ根が支え     忠 雄
    見届けるまでは動けぬサスペンス   晃 一
    目の届くところにいつも母がいた    昭
    ふるさとの香りが届く梅便り     直 樹
    絵手紙でひと足早く春届く      信 子
    息災の証が届く年賀状        昭 二
    痒いのに両手届かぬもどかしさ    紀代子
    手が届くチャンス石橋叩きすぎ    晃 一
    また一枚遅れて届く年賀状       勉
     
  (人)誕生日わたしに届くメッセ−ジ    信 子

  (地)ゆるゆると五臓に届く燗の酒     昭 二

  (天)なにもない笑顔だけでも届けよう   紀 子

         (軸吟)
    
    雲に手が届く高さに来て背伸び    岳 人 
    
    父の樹に凭れて届く母性愛      岳 人

    届くまで待っております愛の詩    岳 人 
 

             【 雑詠 】   生徒互選

  (3)川柳で彼女に本心届けよか        保
  (3)雪しんしんテレビ故障で夫婦酒     泰 直
  (4)唇の薄さが違う世辞上手        晃 一
  (5)抱く腕がためらう孫の育ち振り     直 樹
  (7)早足を諌めるように牛が行く      忠 雄
  (8)がらくたと失意は棚にしまい込む    昭 二
  (9)しがらみは一時預けの縄のれん     睦 彦





古典鑑賞

     ☆★☆江戸川柳(その十五)☆★☆



     さじで頭をかきながら又殺し

     とどめをば余人にわたすさじ加減

     さじの柄で妾をのける御大病

     人を殺して世を渡る女医者

     べろべろも一味加える子供医者

     上手にも下手にも村の一人医者

     代脈がちと見なおした晩に死に

     
    
                                「柳多留」より




2002年1月16日の教室

              課題【 夢 】   板尾岳人選

       
    夢だとは知らずに覚めた口惜しさ   晃 一
    玄宗の夢咲きそうな新世紀      直 樹
    青き日の夢のしずくにまだ浸る    郁 子
    夢捨てた男も春の風を待つ       昭
    青春の夢たっぷりの古日記      昭 二
    淡い夢奪って行った憎い朝       昭
    夢誘う夜行列車の窓あかり      昭 二
    いづれ句碑建てる夢見て新世紀    直 樹
    夢語る若い二人にあるロマン     信 子
    夢希望無くとも暮らし恙無く     紀代子
    豆撒いて福の来訪夢に見た       保
    小さくはなったが未だ夢がある    睦 彦
    初夢になすびぐらいはみてみたい    勉
  (佳)成人の晴れ着袂に入れた夢      忠 雄
  (佳)夢十色天まで届けしゃぼんだま    忠 雄
  (佳)こぼれ落ち小さくなった夢の露    忠 雄
  (佳)まだ夢は捨てぬ荒野の鳳仙花     晃 一
  (佳)白い皿わたしの好きな夢を見る    信 子
    
  (人)あれからはメダカ宇宙の夢ばかり   晃 一

  (地)何色で夢を描こうか白い画布     信 子

  (天)ぐっすりと眠って初夢逢いそびれ   泰 直

         (軸吟)
    
    大阪府大字堺夢がある        岳 人 
    
    梅干の種に多彩な夢がある      岳 人

    夢一つ下さい新春熨斗つけて     岳 人 
 

             【 雑詠 】   生徒互選

  (3)還暦を終えてこれから若返る      紀 子
  (3)狭い国お先にどうぞ年の暮れ       昭
  (4)絵馬の誤字天神さんも思案顔      泰 直
  (4)これまでとこれからのこと除夜の鐘   忠 雄
  (5)又一つ余分な齢重ねます        睦 彦
  (5)年の暮れ妻の小言で散歩に出      喜 彦
  (7)湯豆腐の湯気にほっこり撫でられる   昭 二
  (8)夢のまま終る美学が有ってよい     晃 一








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