紀州 民話の旅

本ページの内容は、昭和57年に和歌山県が発行した「紀州 民話の旅」を復刻したものです。施設整備、道路改修等により、現状は記載内容と異なっている場合がありますので、ご注意ください。

天狗の建てた寺

〜由良町門前〜




 虚無僧の本山として知られる。尺八、金山寺みそ、しょうゆの元祖寺ともいわれる興国寺だが、かつては何度も火災にあい、そのたびに壇家や村人たちは途方に暮れていた。
 その興国寺を再建したのは、天狗たちだったという。一人の旅僧の教えで、寺僧が上州赤城山に天狗をたずね、懇額した。やがて約束の夜がきた。村人は灯を消し、戸を閉めて家に閉じこもった。外では一晩中、人の動く気配や、ノミ、ツチの音がしていたが、翌朝、立派な七堂伽藍が建っていたという。
 興国寺がよく焼けたのは、寺を開いた法燈国師の「法燈」の字が「水が去って火が登る」となっていたからだ、ともいう。

(メモ:興国寺は臨済宗法燈派の本山。鎌倉三代将軍、実朝の菩提をとむらうため、家臣の葛山五郎景倫が建立、のちに法燈国師に寄進した。旧暦七月十五日の灯ろう焼きが有名。国道42号線と国鉄紀勢線紀伊由良駅から徒歩約10分。)




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