紀州 民話の旅

本ページの内容は、昭和57年に和歌山県が発行した「紀州 民話の旅」を復刻したものです。施設整備、道路改修等により、現状は記載内容と異なっている場合がありますので、ご注意ください。

おしょぶ池

〜九度山町慈尊院〜




 高野町石道の起点、慈尊院のすぐ上手に、さほど大きくない池がある。
 もう、ずい分と昔の話。この地に、おしょぶという裁縫の上手な娘がいた。ある日、おしょぶは近くの勝利寺へ参ろうと池のそばを通ったところ、向う岸に錦の帯が落ちていた。その美しさに眼を奪われたおしょぶは、夢中で走り寄ろうとして池に落ちてしまった。

 一説には、おしょぶと池にすむ蛇との恋物語ともいうが、そこには、水辺で遊ぶこどもたちへの諭しがあったのだろう。そしていまも針供養の日には、裁縫を習う娘さんたちが、池へ使い古した針を投げて、技の上達を願っている。

 慈尊院は、高野山を開いた空海が、その母のために建てた寺だといい、池の上の勝利寺には、小堀遠州が手がけた遠州流の庭や、朱の山門なども残されている。

(メモ:南海高野線九度山駅から二キロ。慈尊院から高野山奥の院までの二十四キロにわたる参道には、一町(百九メートル)ごとに、計二百二十基の町石が建つ。)




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