紀州 民話の旅

本ページの内容は、昭和57年に和歌山県が発行した「紀州 民話の旅」を復刻したものです。施設整備、道路改修等により、現状は記載内容と異なっている場合がありますので、ご注意ください。

滝の井戸

〜高野口町名古曽〜




 大きなクスノ木の下に、小さな祠が三つ。眼病に霊験あらたかという薬師如来をはさんで、向かって左に住吉さん、右にお稲荷さん。
 「昔は、ここたりまで井戸ありまして」
 すぐ近くのおじいさんが説明してくれたそのあたりは、きれいに舗装された広場だった。そして、めざす池はお稲荷さんのすぐ下。タテ一・五メートル、ヨコ三・五メートルぱかり。
 日照りに苦しむ村人をみかねた弘法大師が、ツエで地面をたたいて水を掘り出したという池は、かつては、どんな干ばつにも枯れることなく、冷たい清水がコンコンとわき出ていたという。だがいまは、コンクリートできっちりと仕切られ、昔のおもかげはなかった。
 数十年前までは、お稲荷さんの背後にも滝があったとか。でも、そこもブロックがきれいに積み上げられ、昔はクワ畑だったという上の台地にも、家がひしめき含っていた。

(メモ:国鉄和歌山線高野口駅から歩いて約5分。通称「浦の段の滝の井」。土地の人たちは「うらんだの井戸」という。役場からも近い。)




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