「マインドスター・ライジング」ピーター・F・ハミルトン 創元SF文庫 SFハ14−1、SFハ14−2 2004.2 原作1993
amazon.co.jp (上) (下)地球温暖化が進み、海岸線の変化した英国。解散した超能力部隊員だったグレッグ・メンダルは、超巨大企業イヴェント・ホライズンからの招聘を受けて、破壊工作の原因を探る。
超能力者と言っても”顔色を読む”グレッグ、少しだけ先の未来がわかるガブリエルという取り合わせなので、調査効率は良いものの、やってることは探偵で、出先での調査が欠かせない。やがて暴かれる巨大企業による陰謀。電脳ウイルス合戦、爆弾攻撃。
登場人物の行動は現代の価値観に基づくものだから、私のSF定義から外れる。温暖化した英国や省エネルギー生活の様子などは興味深い。それにしてもここに描かれる、電脳ウイルスやスーパー・ハッカーの様子はどうなんだろう。ハッカーの典型的な電脳オタクぶりを戯画化するのはお約束の読みどころだからまあ楽しめるとして、神経回路網生体システム・コア(NNコア)を汚染したウイルスが、脳内プロセッサも停止させてしまうというのはなあ。
ウイルスと呼ばれるものは、侵入先のコードを利用して活動するわけだから、ウイルスが活動できるのは同じOSのような大量の共通コードを前提とする。NNコアと脳内プロセッサは全然違うシステムだと思えて、特にNNコアのような企業の中核になる特注システムを汎用OSみたいな物だけで構築することに私はかなり違和感を覚えるんだけど。
まあ、この世界では私の常識的感性よりもはるかに電脳基幹システムが充実度を高めているんだろうという解釈はあり得る。
初稿:2004.4.11