ミラー・ダンス

 「ミラー・ダンス」ロイス・マクマスター・ビジョルド 創元SF文庫 SFヒ1−9、SFヒ1−10 2002.7 原作1994


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 邦訳されたビジョルドの作品はすべて、劣等意識を持った人間がみずから行動することで世界を変化させ、併せて自分の意識を改革するというそういう話。マイルズが主人公であることが多いのは、マイルズがより多くの劣等感を持っているからその克服も少しずつしか進まないところに原因がある。
 似たような劣等意識は私を含めてたぶん多くの人が持っていて、それが前向きに解消しないかなあと期待しているから、そうした本を読んで多いに楽しむことができる。

 さて本作は短編の焼き直しでもなく、出版社からの横槍も無くビジョルドが自由に仕上げた最初の作品だと推測できるから、これまでになく全体構成に筋が通ったものになっているだろうと期待したのだが、果たしてその通り。でもまあマイルズは巻のわりと早いうちに死んじゃう(もちろんその後復活する)ので、マイルズの活躍を期待しているとそこは期待外れ。活躍するのはマイルズのクローンであるマーク。そしてマークはマイルズではないからその活躍の仕方もマイルズとは異なる。マークがマイルズとは異なるというのは良く書き分けられていて、作品の肝であるし、著者の円熟のあかしでもある。
 そういうわけで、楽しく興味深く読めたビジョルド作品でした。


 初稿:2002.8.9

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